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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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【1123】 思いついた答え

腕の中で冷えていくあなたを引き留める方法を、ずっと考えていた。
動けないままあなたが僕の届かないところへ行こうとするのを見つめて、僕は一日を無駄にした。
やがて空になった頭に素敵な方法が思い浮かぶ。
僕があなたについていけばいいんだ。
そして僕らは永遠を手に入れた。

お題:僕は一日を無駄にした

【1124】 僕へ

遠くから眺めるだけの方がまだましだったかも知れない。
僕は今、君の隣で笑ってる。
君があいつを見るその視線を視界に入れないようにしながら。
君の恋を応援するふりをしながら。
だから今はこらえろ。
家に帰ったら頭からシャワーを浴びて、馬鹿みたいに泣かせてやるから。

歌をお題にいただいて。


【1125】 桃

駆け落ちをして、小屋のような粗末な家に暮らしはじめて半年。その人はまるで親戚でも訪れるようにふらりと現れた。「兄上!」妻の声に穏やかに笑ってその頭を幼子にするように撫で、懐紙を取り出して桃をころりと二つ置いた。「妹を頼む」この人はきっとそれだけ言いに来たのだ。

お題:今日のお題 「小屋」 「懐紙」 「桃」  http://t.co/ok4WXYjz


【1126】 鬼ごっこ

「もういいかい」
夕焼けの下で、君を探して僕は言う。
クスクス笑う君の声に振り返っても、そこには夕日に焼けた僕の影だけが長くのびて、誰もいない。
ねえ、どこに行っちゃったの?
僕はあの日からずっと君を見つけられずに、いつまでたっても鬼のままだよ。

歌をお題にいただいて。


【1127】 殺し屋

左手が殺し屋を始めた。
鮮やかな手つきで標的を葬り去る。
僕自身には迷惑をかけないと言わんばかりに、返り血も浴びず、証拠も残さず、ただ標的が死ぬ瞬間を見せられることだけが苦痛だったがそれも知らない人間ばかりですぐ慣れた。
でも、次の標的が君だったなんて。

書き出しをお借りして


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【1118】 ほしいのは

今日こそは。そう決心してお店のドアを開ける。
「いらっしゃいませ」
色とりどりの花に囲まれて微笑む貴方に頭がぼうっとするわ。
「贈り物ですか?」
「あ、あの」
「はい?」
花を選びながらお話に持ち込むのよ。
でもダメ。気づいたら貴方の袖をつかんでた。
「貴方を下さい!」

歌をお借りして。


【1119】 トケイソウ

君との出会いを待ちわびて待つ時間は、僕には何の意味も無い。君と会える間だけ、僕は時を刻みたい。だから針はそれまで止めておくよ。  (時計草)

企画「花と植物は私」


【1120】 オシロイバナ

色づいた頬を隠すために、秋には白粉を用意しましょう。今はまだ、染まっている頬にも気づかずに、ただまっすぐにあなたを見つめる瞳。 (オシロイバナ)

企画「花と植物は私」


【1121】 その先

「ねえ、全部終わらせるのが望み?」
僕は君に問いかける。
全部消して終わらせたってそれは再始動(リセット)できる訳じゃない。
終わってしまえば先はないんだ。
でもね、終わらせなければ何かが起きるかもしれないよ。
なにも感じなかった君が、今一筋涙を流したように。


【1122】 忘れ形見

「じさま。これは何?」
親無しの茜は昔お侍だったという近所のじさまが大好きだ。
皆は怖いというが、じさまは嘘は言わぬのだ。
「それは簪じゃ」
「かんざし?」
「もう持ち主がおらぬ。大人になったらやろうよ」
大きな節ばった手が茜の小さな頭を撫でた。

お題:時代物でおじいさんと幼子のお話ください。


あほっぽい四神ウケたでしょうか(^^;)
熱中症にはくれぐれもお気をつけて。


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【1105】 その理由

「別に良かったんだ。あんたが死んでようと生きてようと」
そう言うと背を向けた。だけど強がりはその真っ直ぐな瞳に見透かされてしまう。
本当はあんたが死ぬと思っただけで全身が凍りついたこと。
まだ震える手を、優しい手が包みこんだ。
「ありがとう。守ってくれて」

書き出しをお借りして。


【1106】 真夏が来た

朝起きると隣に真夏が寝ていた。
「チェンジで」
「ひどい。開口一番それですか?」
「暑すぎるんだよ。熱中症になるだろうが」
「冷夏の時もありますけど?」
「今年は?」
「暑い方ですね」
「ほれみろ」
「アイスティ飲みます?」
「…飲む」
まあ、帰せるとは思ってないさ。

書き出しをお借りして。意外と家庭的な真夏ちゃん。


梅雨あけましたね。
ご挨拶ありがとうございます。暑中お見舞い申し上げます。
暑いですが、皆様体調はいかがですか?

閲覧、拍手、ありがとうございます。
最近記事更新にいっぱいいっぱいでお礼もしてませんでした。
申し訳ありません。
これに懲りずにまたきてくださいね。


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【1097】 花火

夜空に開く花を僕らは黙ってみていた。
隣の君は去年と同じ朝顔の柄の浴衣で、髪をまとめて少し大人びている。
次で最後。
大輪の花に照らされて君は笑い、そして花が散ると同時に消えた。
最後に唇が「またね」と言って。
君がいなくなった夏から、もう五年が経つ。

今月のついのべデーのお題「花火」で。
今回は空想の街に参加していたので、これしか書けませんでした。


【1098】 空想の街

空想の街に美しい物語の欠片が降ってくる。
銀に輝く氷のように、ちょっと目を離すとつかみ損ねる儚い欠片。
それをつかまえて、つかまえて、流れる物語を追ってゆく。
いくつもの美しい物語を追いかけて、空想の街を駆けてゆく。

空想の街は本当に不思議でした。物語がいろんなところに発生して、それぞれが流れてゆくのをリアルタイムで追っていくのです。


【1099】 対峙

刀を取れ。その腐った性根を叩き直してやる!と叫ぶ俺の言葉にもお前はへらへらと笑っている。
笑いながら人を斬ることができる奴だ。
口許に笑みを張り付けた獣だ。
飼い慣らせないなら殺せという命令すら意に介さぬお前は、それでも俺に「あんたならいいよ」と呟いた。

書き出しをお借りして。


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【1087】 似ている

あなたとわたしは似ていると言えるかもしれない。
あなたの一番はわたしではなく、私の一番はあなたでもなく、だからこそ一番の人間がかき乱す心を穏やかにしてくれる居場所となれる。
ただひとつ違うのは、わたしには実は一番なんて居ないということ。

書き出しをお借りして。


【1088】 時を遡る

どうして未来に行くことはできるのに過去に行くことはできないのだろう。
墓標の前に立ちすくんで少年は呆然とそんなことを考えていた。
「バカだな」とあの人の声がする。
「そんなことしたら時間軸が滅茶苦茶だ」
「三日だけでいいんです」
あなたの死に目に会いたかった。

書き出しをお借りして。


【1089】 夏休みと世界と僕ら

どこまでいこう。
どこまでもいこう。
世界の果てだって見てやるくらいの勢いで、僕らは駆け出すんだ。
時間なんていくらあっても足りないよ。
まだ全部知っちゃいないんだもの。
終わらせてなんかあげないよ!


【1090】 小指

小指を失ったので、約束はできません。
否、約束するという行為を最後の指切りとともに私は捨ててしまったのです。
そう言う私にあの方は笑みを浮かべる。
「指切りなど形式だ。残りのお前すべて使って約束をしろ。もう離れぬと」
指切りの代わりに強く抱き締められた。


【1091】 無心

彼は息をするように真剣を振るう。
無造作に、だが的確に闇を切り裂く度、血潮がもみじ葉のように辺りを染める。
だがその瞳に生を断ち切った感情の揺れは一切存在しない。
彼自身が刀であるかのように、正確に、冷静に、淡々と彼は刀を振るい続けるのだ。

お題:今日の書き出し/締めの一文 【 彼は息をするように真剣を振るう 】  http://t.co/xa0YiAVQ

書き出しをお借りして。


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HN:
宵月楼 店主
性別:
非公開
自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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