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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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世界を作るとあの子が大鍋をかき回す。ぐるぐる、ぐるぐる、大きなしゃもじでかき回す。鍋の中には渦巻きができて、思わず覗きこんだ僕の背中を、あの子は思いきり押した。「あっ!」渦巻きに飲み込まれる僕を、あの子が嬉しそうに見ている。「これでカンペキ」

【twnovel/twnvday】

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月が明るすぎて辛いのだと彼女は言った。俺の肩越しに切り取られた空を見上げて。「閉めてくんなまし」そう言う彼女の唇を俺はそっと塞ぐ。「嫌だ」「意地悪を言んせんでくんなまし」「行灯だけじゃお前がよく見えねえ」豪奢な着物の下の生身のお前を目に焼き付けておきてえんだ。

【twnovel/時代物】

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どうやら方向を見失ってしまったらしい。深い霧で足元すらおぼつかない。同じところをぐるぐると回っている気がする。と、その時、目の前にふうわりと蛍が現れた。導かれて足を動かすと、霧が晴れた。「いつまでも手がかかるね」もういない母の声がした。

【twnovel/twnvday】

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私は旧式だが、繊細でない分頑丈ではあるらしい。壊れても修理すればもつ為、もう何人もマスターを見送ってきた。悲しみを感じる機能はないが、するべきことを失うと途方にくれる。ならばもうこのまま朽ちてもいいのではないか。最新式が売れて行くのを見ながら、私はそう思っていた。

若い人間は私のような旧式は好まない。感情表現の機能がないのは味気ないのだそうだ。だが、新しいマスターはそこがいいのだと言った。「作り物のくせに恋人みたいな笑顔なんて変でしょ」「ああ、マスターは変人なのですね」「あんた、その口の悪さのせいで売れなかったんじゃないの?」  

【twnovel/機械執事】

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掌の上の僕の欠片を君は無造作にもてあそんでいる。それはきっと無意識で、だからこそ君と僕の繋がりを表しているかのようで、僕は嬉しくなってしまう。ねえ、壊れた僕でもまだ君のそばにいていいんだよね?欠片になっても、ずっと君が好きだよ。

【twnovel/書き出し】

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HN:
宵月楼 店主
性別:
非公開
自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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