宵月楼-しょうげつろう-
あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。
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【嘘の理由】
嘘だよ。君にはなに一つほんとはあげないよ。優しくてまっすぐな君は、僕のどこかにほんとがあるって、探してくれてるんでしょう?こんな僕にもほんとがあるって信じているのでしょう?そうやってずっと僕を気にしてくれるなら、僕は嘘ばかり君にあげる。ずっと。ずうっとね。
【嘘はダメ】
「・・・嘘です。忘れて」君が慌ててごまかしたそれを僕は笑みでもう一度引き寄せる。「だーめ」ごまかされてなんかあげない。 忘れるなんてもったいない。それとも聞こえなかったふりをしてもう一度言わせてあげようか。やっと君から引き出した「好き」の小さな呟きを。
【夕暮れ】
君の心を握りしめていたはずの右手が空っぽだと気づいて空を見上げたけどなにも感じない夕暮れ。
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白梟の羽が雪のように舞う。
俺はなにも考えられずただそれを見つめていた。
届かなかった指の先、撃ち抜かれた相棒が落ちていく。
散った羽は血に染まらず白いままで、それが目に痛い。
もう見ていられない。
いや、最期まで見なくちゃいけない。
でも、視界が羽で・・・。
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【義姉】
山猫のように優美なその美しさ。
すらりとした体つき。
目付きの鋭さをちょうどよく甘くする魅惑的な唇。
活動的でいて女性らしいひとつに結わえた長い黒髪。
非の付けどころのない女性。
そして、非の付けどころのない忍者。
とても追い付けない。
そして誇らしい、俺の義姉。
【詮議】
まるで大鷲が獲物を狙うような鋭いまなざしに、僕らは一斉に首をすくめた。
「それで?」
誰も口を開かない。
でも、確かに怖い先生だけど、ちゃんと話せばわかってくれる人だと思うんだ。
僕は拳を握った。
「僕ら」
顔をあげると目があった。
「薬草を探しに行ったんです!」
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【探偵と怪盗】
「逃げ道をあげるよ、怪盗さん」
探偵は余裕の表情。
彼の脇には開かれた窓。
私の背後にはもうすぐ警官が雪崩れ込んでくるドア。
とるべき道は一つだけど、誘いの裏が読めない。
「何を企んでるの?」
「企むのは探偵の仕事じゃないよ」
苦笑するその目が妙に優しいのは、何故?
お題:『テメェが石橋を叩き壊す前に忠告しに来てやったんだ』or『逃げ道をあげる 』【探偵】 #kuroyagi http://po.st/0HhzHr
残暑お見舞い申し上げます。
朝晩涼しくなりましたね。
温度差で風邪をひいている方が多いようです。
お気をつけて。
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「首、鎖骨、肋骨。綺麗」
ゆっくりと指が僕の体の線をなぞる。
座らされた椅子。
後ろ手に縛られた両手。
くつわを噛まされとらわれた僕を、君はうっとりと鑑賞する。
肋骨の形を撫でた指が腰へ降りると、身じろぎした僕を見上げて君は壊れた笑みを浮かべた。
「骨まで愛してあげる」
お題:本日の身体部位は「肋骨」、行動は「撫でる」、苦い作品を創作しましょう。補助要素は「堕落」です。 #karadai http://t.co/Ef6WvKqa
【脱出ゲーム】
ここはどこだろう。
気づけばそこは古びた街の一画。
石造りの街並みの向こうに時計塔が見える。
「タイムリミットは午後六時!」
ラッパを持った兎が叫ぶ。
なんだっけ。
ふと握ってた手を開けば、お守りがあった。
そうだ。
記憶が甦る。
僕はあの子と約束したんだ。
この悪魔の街を日暮れまでに脱出しなきゃ!
お題:次のツイートで『お守り、時計塔、タイムリミット、めくる、英語』の5つのワードのうち3つ以上を使ったTwitterSSを書きます。http://t.co/hbluUoCf
三つ使用、タグ入らずでしたw
【書き出し売りの少女】
「この書き出しいかがですか?」
書き出し売りの少女が街行く人に声をかける。
「いかがですか?」
しかし、誰も足を止めない。
とうとう少女はお腹を空かせて座り込んだ。
「一つくらい使ってもいいよね?」
空想の世界では少女は自由で幸せだった。
だが、それだけだった。
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【書き出し屋】
「この書き出しいかがですか?」
最近は夜店の屋台でも売ってるのか。
「売れる?」
「まあ、ぼちぼちだね。手軽に作家気分が味わえるってんで学生さんやサラリーマンが買ってくよ?手をかければ応えてくれるのも魅力だ。さあ、お兄さんもどうだい?」
「・・・いくら?」
書き出しをお借りして。
【線香花火】
ねえ、線香花火、しようか。
勝負もいいけど静かに二人でぱちぱちってはぜる音を聞いていたいんだ。
震える火の玉が落ちる前の一瞬思わず息を止めちゃったり、落ちた瞬間そんなお互いを顔を見合わせて笑いたいんだ。
ねえ、線香花火、しようよ。
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【あける左手】
浴衣姿のお前は、着慣れないのか動きがぎこちない。
「大丈夫か?」
祭りの人混みに足元が危うくて支えようにも、右手にたこ焼き、左手に焼きそば。
ええい、仕方ない!
「これ、やるよ」
通りすがる子供に焼きそばを押し付けて、空いた左手をお前に伸ばす。
歌をお借りして。
【ため息】
ソーダ水を注げば、コップの底から泡がのぼってくるはずだった。
でも透明なグラスにのぼってきたのは小さなため息で。
氷の中に注いで冷えた想いを、一気に飲み干して忘れてしまおう。
僕の口からも、小さなため息。
書き出しをお借りして。
【涙雨】
君とすれ違い、最後の会話を終えたあと、喫茶店のドアを開けて一人熱気の中へ体を放り出す。
乾いた心はぼんやりと欠けた部分をなぞっているが、あまり感情は動かない。
もうずっとわかっていたことだから、ただそれを確認するだけで。
代わりに、ああ、雨の匂いがする。
お題:今日の書き出し/締めの一文 【 雨の匂いがする 】 http://t.co/xa0YiAVQ
【空】
「空を見せて」と言った君は窓もない部屋で一人きり。
僕はありったけのクレヨンで壁に窓を描いて、一面空色で塗った。
「これが空?」
頷く僕に嬉しそうに笑う君。
そうだよ。これは君だけの青い空。
この破壊された地上に残された、たった一人の人類の為の空。
書き出しをお借りして。
この中の「僕」は人間ではありません。
【降参】
それは安っぽいおもちゃの指輪だった。
たったそれだけの幼い約束をすっかり忘れていた僕を、君は蹴飛ばしにやってきた。
「もう小指にしかはまんないよ」と笑う君に、僕は「今度はおもちゃじゃないから」って、諸手を上げて言ったんだ。
お題:今日の書き出し/締めの一文 【 それは安っぽいおもちゃの指輪だった 】 http://t.co/xa0YiAVQ
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赤いフードの赤ずきん。青いスカートのアリス。白い肌の白雪姫。あなたは誰がお気に入り?赤ずきんになりたいならその髪に深紅のバラの花冠を。アリスがいいなら青いドレスで全身を飾り、白雪姫に憧れるなら抜けるような白い肌をさしあげましょう。代価はあなた自身で如何?
【1134】 はじかれる
僕の世界には当たり前のように君がいて、でも君の世界には僕は全然必要なくて。はじかれた僕はただガラス玉の瞳で君をそっと見つめるんだ。君の世界の外から、僕のいない完成された世界をただ見つめるんだ。
【1135】 流れ
流れる川に願いを落として、もう手の届かない場所へ行ってしまえば、空虚な安心感を手に入れることができるのだろうか。それとも僕自身がどこまでも流されてしまえばいい?君のいないところまで。誰も手の届かない場所まで。
【1136】 もさもささん
もさもささんは朝の涼しいうちに僕の家の庭を通る。僕は運良く網戸だったらもさもささんを脅かさないように「おはよう」って声をかける。もさもささんは無口だから、黙って僕を見てそのもさもさの尻尾をふわんふわん揺らした後、ゆっくりと去っていくんだ。
【1137】 じょきん
一方通行の想いを、ハサミでじょきんと切ってみた。ばらりと解れた関係が地面に落ちた。今度は別の想いを切った。じょきん、じょきん。ばらり、ばらり。残骸が落ちる度に僕が欠けてゆく。最後に僕は薄っぺらい紙のようになった自分をじょきんと切った。それでおしまい。
お題:今日の書き出し/締めの一文 【 一方通行の想いを、ハサミでじょきんと切ってみた 】 http://t.co/a8HWCWxj
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