忍者ブログ

宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

[488]  [487]  [486]  [485]  [484]  [483]  [482]  [481]  [480]  [479]  [478

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【あける左手】

浴衣姿のお前は、着慣れないのか動きがぎこちない。
「大丈夫か?」
祭りの人混みに足元が危うくて支えようにも、右手にたこ焼き、左手に焼きそば。
ええい、仕方ない!
「これ、やるよ」
通りすがる子供に焼きそばを押し付けて、空いた左手をお前に伸ばす。

歌をお借りして。


【ため息】

ソーダ水を注げば、コップの底から泡がのぼってくるはずだった。
でも透明なグラスにのぼってきたのは小さなため息で。
氷の中に注いで冷えた想いを、一気に飲み干して忘れてしまおう。
僕の口からも、小さなため息。

書き出しをお借りして。


【涙雨】

君とすれ違い、最後の会話を終えたあと、喫茶店のドアを開けて一人熱気の中へ体を放り出す。
乾いた心はぼんやりと欠けた部分をなぞっているが、あまり感情は動かない。
もうずっとわかっていたことだから、ただそれを確認するだけで。
代わりに、ああ、雨の匂いがする。

お題:今日の書き出し/締めの一文 【 雨の匂いがする 】  http://t.co/xa0YiAVQ


【空】

「空を見せて」と言った君は窓もない部屋で一人きり。
僕はありったけのクレヨンで壁に窓を描いて、一面空色で塗った。
「これが空?」
頷く僕に嬉しそうに笑う君。
そうだよ。これは君だけの青い空。
この破壊された地上に残された、たった一人の人類の為の空。

書き出しをお借りして。
この中の「僕」は人間ではありません。


【降参】

それは安っぽいおもちゃの指輪だった。
たったそれだけの幼い約束をすっかり忘れていた僕を、君は蹴飛ばしにやってきた。
「もう小指にしかはまんないよ」と笑う君に、僕は「今度はおもちゃじゃないから」って、諸手を上げて言ったんだ。

お題:今日の書き出し/締めの一文 【 それは安っぽいおもちゃの指輪だった 】  http://t.co/xa0YiAVQ


参加しています。もしよろしければクリックお願いします。
にほんブログ村 小説ブログ 掌編小説へ
にほんブログ村
 

拍手[1回]

PR

この記事にコメントする

お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード
携帯用絵文字   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

都々逸いつつ HOME 九夜月/散る

HN:
宵月楼 店主
性別:
非公開
自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
カウンター
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

忍者ブログ [PR]
template by repe