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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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【889】 金の環の時

待っていた。
百年以上。
太陽の影に封じられたかの人を助けられる日を。
太陽が完全に金の環となったその瞬間、白いたおやかな手が現れる。
手を伸ばす。
しっかりとつかみ、僕は君を引っ張り出す。
「お帰り。遅くなってごめん」
腕の中の君を強く抱き締めた。

金環日食を見ながら、あの「真ん中からなんか出てきそうだな」と考えていたあやかし脳www


【890】 薫風

「薫風吹きすさぶねえ」
「馬鹿。それを言うなら寒風だろ?」
「でもこの時期の風っていったら薫風だよ。しかもこの吹き方ったら」
あいつは強い風に猫耳と髪をなびかせながら、尻尾を一振り。
ここは廃墟のビルの上。
確かに風は激しい。
「屁理屈だな。せっかく人の言葉を使うなら、正しく使え」
「どうせもう人間はいないんだからいいの」
人真似あやかしは、荒れ果てた地上を見下ろしてにやりと笑った。

ついのべを加筆修正。
たとえば人間が滅びた世界で、あやかしたちだけが存在しているとか。
まあ、あやかしは人が居てこその存在だと思うので、ゆるゆると消滅していくんだろうけど。


【891】 背中合わせ

背中合わせの僕らはいつも視線の先に互いを探す。
気配はするのに姿は見えない。
後ろを振り向けばいいのに、それには気づかない。
永遠に僕らは前だけを見て互いを求め続ける。
永遠に。

お題:今日の書き出し/締めの一文 【 背中合わせの僕らは 】 http://t.co/5mjWq5kZ


【892】 毒を含んだ徒花

「華やかなばかりの徒花といつまで陰口を叩かせておくのです?」
不機嫌な声音を隠そうともしない側近に彼は苦笑した。
「実際、身の丈に合わぬ金と屋敷を持った若造だし」
金にあかせた硝子の杯で酒を飲み干す。
「復讐するまでは軽んじられるくらいでちょうどいい」

お題:「屋敷」、「硝子」、「徒花」で創作しましょう。 #jidaiodai http://t.co/8r0616X1


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エールもありがとう!
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【886】 走馬灯?

「初めて眺めたけど、走馬灯ってあまり面白くないね」
呟くと、途端に頭をはたかれた。
「ひどい!僕、死にかけたのに」
「アホ!何が死にかけたや!ぴんぴんしとるわ!」
「あれ?走馬灯は?」
「頭打って気絶したくせに夢見ながら寝とったんやろ。おめでたいやっちゃ」

お題:今日の書き出し/締めの一文 【 初めて眺めたけど、走馬灯ってあまり面白くないね 】 http://t.co/5mjWq5kZ
ちょっとおばかなボケと関西風ツッコミは楽しいw


【887】 消えるなら

いつか消えてしまうなら今この場所で君の前で僕を消してやる。
忘れられないような方法で君に僕を刻み付けて。
だってどこかで君に知られずに消えてしまうなんて耐えられない。
僕の居た意味、僕の居た記憶を君だけが持っているのだから。
忘れないで、僕を。

書き出しをお借りして。こういうのも病んデレ?


【888】 大丈夫

「さあ、行こうか」
さらりと言って彼は笑った。
それはまるで遠足にでも行くような軽い口調で、思わず顔を見上げる。
だって、相手は剣の達人が五人。
とても勝ち目があるとは思えない。
だが頭に温かい手がのせられた。
「大丈夫だ。心配すんな」
それだけで安心できた。

末広がりのめでたい数字に、前向きな一編でよかった。


イラストを描くように、文章を書きたい。
イラストが思い浮かぶように書いて、誰かが描きたいとか、声を聞きたいとか、ワンシーンを頭の中に再現してニヨニヨできるとか、そうなってくれたら嬉しい。
やっといろいろ前向きになれてきた気がする。
そろそろ異種コラボも考えられる余裕が出てきた。

でもやっぱりプロになりたいとは欠片も思わんので、上昇志向の強い文章書きさんからみたらぬるいだろうなw
ぬるいで結構。
楽しんで書こう。


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【881】 君のためなら

天使のような君のためなら、僕はなんでもできる。その透き通った笑顔で「お願い」されたら、断れるわけない。欲しいものは買ってあげる。嫌なことは代わりにやってあげる。そして、君の唇が無邪気に言った。「あの子を殺して」君のために僕は人を捨てた。

お題:今日の書き出し/締めの一文 【 君のために僕は人を捨てた 】 http://t.co/5mjWq5kZ

【882】 贈り物

蒼い空から白い紙飛行機が落ちてきた。飛んできたんじゃない。空からまっすぐに僕の足元に落ちてきたんだ。踏みそうになった足を止める。拾い上げて広げるとそこには一言。「元気ですか?」君が落としたの?心配かけちゃったかな。空にのぼった君に。

書き出しをお借りして。

【883】 始まり

ヘッドフォンをして、世界から目を背けていた。耳から流れ込む音楽だけが僕の世界。目に映るすべては灰色で味気ないものだった。だけど不意に強引な手が伸びてきて、僕の耳からヘッドフォンを奪いさる。にこりと微笑んだ君を中心に世界は色づき始めた。

書き出しをお借りして。

【884】 待たないよ

待たないよ、面倒だから、なんて口では憎たらしいことを言って先を歩いていくけれど、その背中が実は後ろを気にしていることを知っている。歩幅が少し狭くなっているのを知っている。そして、そのうち手を伸ばして言うんだ。「ほら、迷子になるよ」

書き出しをお借りして。

【885】 あなたはだあれ

屋根に座った あなたはだあれ さみしがり屋の 意地っ張り

お題:あなたはだあれ・都々逸


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【847】 別れの朝

暁降ちの空の下、まだなにもかも微睡んできっと届かないと思っていたからひんやりした空気を吸い込みながら呟いた「さよなら」
壁の向こうから「さよなら」と返ってきて、僕は息を飲む。
ただそれだけの別れ。
見ていたのは薄紅に染まった空だけ。


【848】 空色の折鶴

空を切り取って青い折り紙を作った。
それを鶴に折って空に放り投げると、それは空を飛ぶ折鶴になるんだ。
胴体を膨らませるために息を吹き込むときにささやきも一緒に吹き込むと、折鶴は空を飛んで言葉を届けてくれる。
でも重いから一言だけだよ。


【849】 恋石食べた

空から恋石が落ちて来た。
「これ、何?」
受け止めた僕の手の中を覗いて君は言う。
「恋石。好きな人に飲ませると恋が叶うんだ」
「固くない?」
「雲みたいな感じ」
「ふうん」
そしてぱくんと僕の手から直に食べちゃった君がいたずらっぽく笑った。

サブ企画。書き出し指定。


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【846】 ここは?

「ここは天国か?」
「いいえ」
「じゃあ地獄だな」
「いいえ」
目の前で笑う男は少し目を細めた。
「よくお考えを」
そう言われて記憶を探る。
俺は自ら命を絶った。
あいつを殺して。
だが。
「死に損ねた?」
「殺人犯のおまけ付きでね」
男は警察手帳を出した。

書き出しをお借りして。
ファンタジーやあやかし風味にしたかったんですが、なんとなく現実的になってしまいました(^^;)


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HN:
宵月楼 店主
性別:
非公開
自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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