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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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【894】 一人

閉ざされた、たった一人の僕の世界にふいに風が吹く。顔をあげると、君が笑っている。優しく手を差しのべてくるそれが幻だと僕は知っていたけれど、ついこらえきれずに手を伸ばした。幻はふわりと揺らいでかき消える。そしてまた、僕はたった一人。

お題:今日の書き出し/締めの一文 【 閉ざされた、たった一人の僕の世界 】 http://t.co/8GpUt2o7


【845】 似合い

「お侍は介錯人か?」
控えの間にて目を伏せているとふいに声がした。
目を開けると子供がこちらを見ている。
「そうだ」
「刀は似合わぬな。鼓や笛の方が似合いではないか?」
そう言われてギクリとした。
嫌々の仕事だと見抜かれた気がした。

お題:「介錯」、「鼓」、「侍」で創作しましょう。 #jidaiodai http://t.co/evQperRL


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【888】 優しさ

指先から紅の雫がしたたり落ちていた。
「ああ、そんな顔をするなよ」
綺麗な方の指先で刃物を持った少女の頬を撫でて彼は微笑んだ。
白くなるほどきつく握った指を剥がしてやると、刃物は乾いた音を立てて落ちた。
「もう誰かを呪うのはこれで終いだ」
そして穏やかに…

お題:「雫」、「紅」、「呪う」で創作しましょう。 #jidaiodai http://t.co/evQperRL


【889】 僕だけ

君を守れるのは僕だけ。君を好きになれるのも僕だけ。君の味方でいられるのも僕だけ。君が愛していいのも僕だけだよ。ね、だから僕を愛してよ。

お題:
今日の書き出し/締めの一文 【 君を●●るのは僕だけ 】 http://t.co/8GpUt2o7


【890】 思い出を売る

「思い出を売りませんか?」
だらだらとツイッターを眺めていてふと目に入った呟き。
なんとなく気になってプロフを見に行くと、「思い出買います。内容をDMして下さい」
DMを送る。
「ご利用ありがとうございます」の文字を見たときには、送った内容を忘れていた。


【891】 思い出屋

私の仕事は思い出屋。
思い出を買い集めている。
売ってしまいたいくらいだから辛い思い出ばかりかと思えば、美しい思い出も意外と多い。
優しい思い出も、綺麗な思い出も、相手との関係が壊れた時には心に刺さる刃物となるからだ。


【892】 悪魔

ヤツのみぞおちにダイレクトアタック!もちろん得物は自慢の石頭だ。しかるのち思わず前屈みになったヤツの頭部に後ろ回し蹴りをくらわす。これでヤツはさいきふの・・・「作戦が全部駄々漏れだぞー」「え?」顔をあげたら悪魔の微笑みが目に入った。

書き出しをお借りして。

【893】 鬼ごっこ

「鬼ごっこしようよ。僕が鬼。え?どうして君が鬼じゃないかって?だって僕は君に捕まえてもらえるなら、ここで両手を広げて待っちゃうもん。鬼ごっこにならないでしょ?」と笑って見せたら、「五歳児が生意気だ!」ってはたかれた。年の差があるって辛いなあ。


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【885】 鏡

僕と君の世界は微妙にずれているから、直接触れることはできない。
鏡の中と外のように歪んだ姿が見えるだけ。
声も聞こえない。
届かない。
どうして泣いているの?
何を叫んでいるの?
届かない距離に焦れて打ち付けた拳は、君の姿をさらに歪ませただけだった。

お題:今日の書き出し/締めの一文 【 僕と君の世界は微妙にずれているから、 】 http://t.co/8GpUt2o7


【886】 たんぽぽ

眠っている君の柔らかな髪にそっと指を絡ませる。
ひよこの羽のような薄い黄色の髪に触れていると、胸の中がほかほかと暖かくなる。
窓辺に置いた小さな植木鉢に揺れるたんぽぽが君の本体。
春を呼ぶ花だから、僕の心も春にしてくれるのかな。

お題:今日の書き出し/締めの一文 【 眠っている君の柔らかな髪にそっと指を絡ませる 】 http://t.co/8GpUt2o7


【887】 拾って下さい

「拾って下さい」と書かれた段ボールが目に留まる。
その中には、男の子が一人、座っていた。
茶色と金の混じったふわふわの髪。
大きな褐色の瞳がじっとこちらを見つめている。
「うちに来る?」
思わず声をかけたら、しょげてた尻尾と耳がぴんと立った。

書き出しをお借りして。


ご訪問、拍手ありがとうございます。
やっぱりコロボックルといえば、佐藤さとるさんですよね!


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【882】 仕立屋
 
「私に合うサイズはあるかね」
偉そうにふんぞり返って彼は言った。
「無いですね」
僕は思わず苦笑する。
何しろ彼はコロボックルだったから。
「大丈夫ですよ。うちはオーダーメイドが基本ですから」
「頼もう」
僕の仕立屋人生で最小の仕事の始まりだった。

書き出しをお借りして。
何故か最初の一文を見たとき、手のひらに乗るほどの太っちょさんがふんぞり返っている姿が思い浮かんだのでした。


【883】 破壊

僕は右腕を失った。
奪ったのは君だった。
僕の利き腕をまるでおもちゃを壊すような無邪気さで刺し貫いて、君は微笑む。
「一つずつ奪ってあげる」
痛みに歪む僕の頬をそっと撫でて、君は囁いた。
「逃げても無駄よ。すべて、私が壊すの。いいわね?兄様」

書き出しをお借りして。
怖い怖い(^^;;;)


【884】 言霊

「黙れ、お前たちの声は空気を汚染する」
低い、だが耳に心地よい声が男たちを制した。
「声には言霊が宿る。欲望に彩られた声は聞くに耐えぬ」
「何!?」
男たちが一斉に襲いかかる。
その時、ただ一言「眠れ」と低い声が響いた。
それだけで静寂が訪れた。

書き出しをお借りして。
言霊使いのイメージで。


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【877】 泣き桜

花びらが君の涙だと気づいたのはきっと僕だけ。振り仰いだ桜は、誰の目にも可憐で美しく見えるのだろう。でも、彼女はいつも春になると、はるかな昔、自らの根元で命を落とした男を思い出して悲しみにくれる。そして、涙をもたない彼女は代わりに花びらを降らせて記憶を埋めるのだ。

お題:今日の書き出し/締めの一文 【 花びらが君の涙だと気づいたのはきっと僕だけ。 】 http://shindanmaker.com/219046


【878】 最期の賭け

殺されるか仕置きされるか、切腹するか。俺に残された道はこのどれかだ。それでもその死に方には天地ほどの差がある。頭を使え。うまく立ち回れ。闇に葬られるのはごめんだ。俺は生きた証を立てる。口許に笑みを刻んで呟いた。「さあ、勝負といこうか」

書き出しをお借りして。


【879】 恋情

矛盾しているでしょう?こんな気持ちは要らないと何度も思ったはずなのに、気がつけばそれは胸に芽生えて根をはり、花を咲かせてしまうのです。そうなってしまえばもう戻れない。枯れるまでそれに振り回されてしまう。本当に恋情とは厄介なものですよ。

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【880】

君の心に僕は居るのかな。なんて思っていたあの夏、僕は・・・。そこでいつも思考はぷつりと切れる。思い出しちゃいけないと言われているかのように。目の前の鏡に映るのは君の顔。僕は今、君とひとつだ。心も、体も。でもあの夏に何があったんだろう。

書き出しをお借りして。


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HN:
宵月楼 店主
性別:
非公開
自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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