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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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【1007】

紗綾はいつも思わぬところに座っている。
屋根の上、バス停、学校や神社。
おかっぱの髪を揺らして空を見ている。
雨に降られていても濡れることはなく、彼女が現れると次の日は梅雨の晴れ間が訪れる。
だから梅雨晴らしの紗綾は皆に好かれているあやかしなのだ。

【1008】

僕は雨の中、あの子のおかっぱ頭を探した。
今日は紫陽花の柄の浴衣に藤色の帯という姿で、神社の鳥居の上で足をぶらぶらさせていた。
「紗綾。大福食わないか?」
声をかけると嬉しそうに笑んで飛び降りる。
ぱくりと頬張る姿はとてもあやかしには見えなかった。


なるさんにつけていただいた設定がとても可愛くて、一気に気に入ってしまいました。
頭の中には、田舎の神社の鳥居の上に、おかっぱ頭の十歳くらいの女の子が座ってるイメージが居座っています。

設定:
おかっぱ頭の少女であり、梅雨の時期になるとどこからともなく登場して、屋根の上やバス停、また学校の教室や神社の縁の下などから雨空を眺めている。そのとき行き会った人と一言二言世間話をして帰る。
年齢は10~16歳ほど、服装はその時により、着物だったり制服だったりその時の流行りの服だったりと変化を遂げる。好物は塩大福であるという噂があるが定かではない。

追加設定:
姿を見かけると、そのあと梅雨の晴れ間が訪れる。だから梅雨晴らし。実際には晴れを呼ぶ力があるわけではなく、晴れる前に現れるだけなのだが、吉兆として村人に可愛がられている。
出没するのは山あいの田舎町。特に鎮守の森や裏山や田んぼが残るような風景の中。


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【994】 うつくし

妖怪「うつくし」は何もしない。
ただ風が吹き抜ける高い場所に座って、艶やかな黒髪を風に遊ばせ小さな声で歌っている。
笑みすら浮かべずただそうしているだけなのに、男たちは彼女に近づこうと、彼女を手に入れようとあがいて勝手に死ぬのだ。

書き出しをお借りして。
妖怪「うつくし」
ただそれだけの書き出しだったのに、風景が思い浮かびました。


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今月のお題は「あやかし」
ここぞとばかりに書きすぎました(^^;)


【983】 天狗の気配り

「朝だぜ、旦那」
烏天狗に起こされても天狗はぴくりとも動かない。
昨夜は犬神と飲んでいたらしくて、帰ってきたのは明け方近くだった。
だが部屋の隅に干物の包みを見つけて、烏天狗は苦笑した。
豪快な体に似合わず神経が細かいのが可笑しかった。


【984】 天邪鬼

本当のことを言ったって誰も本気にしないんだ。
だったら僕は嘘だけつこう。
そう言って、天邪鬼は二度と本当の気持ちを言いませんでした。
胸が押し潰されても笑って冗談を言っていました。
だから彼が消えてしまったときも誰も心配したりしませんでした。


【985】 蛍袋の花鬼

蛍袋の花鬼が手を伸ばすと蛍が指先に止まって明滅を繰り返した。
それをそっと花に籠めて彼女は囁く。
「道を照らしてやっておくれ」
そしてそれを道に迷った旅人に手渡した。
あやかしに惑わされそうな夜は、蛍袋を一輪身につけていると良いだろう。


【986】 河童、家を出る

水の底で水面を見上げる日々。
「俺、こんな生活でいいのかな」
呟く河童に仲間は嗤う。
外に出たら死んでしまうと。
だが、昔は河原で子供達と遊んだもんだろう。
「お前らはひきこもってろ!俺は外へ行く!」
水面の太陽がおいでおいでと呼んでいた。


【987】 九尾

「お嬢、何してるんだ?」
「動いちゃダメ」
妖狐が聞くと、座敷童はもふもふした妖狐の尻尾に抱きついてくる。
「尻尾数えるの!」
三つまでしかわからぬくせに?
苦笑して九本の尻尾で座敷童をくすぐると、陽射しが溢れる縁側に笑い声が弾けた。


【988】 持ち逃げ禁止

「待て」
「ひっ!」
犬神は煎餅の袋を抱えて逃げようとする煎餅小僧をつまみ上げた。
「煎餅は置いて行け」
「仲間が食べられるのは忍びないんで」
「お前以外はただの煎餅だ」
「他人とは思えないんでさ」
「歩き出してから言え」
袋は没収された。


【989】 雪女

「やっと見つけた」
俺は万年雪に隠された社にたどり着いた。
「会ってくれないのか?」
扉に向かって囁くと彼女は姿を現した。
純白に銀糸の煌めく着物。銀色の髪。
「雪女に惚れるなんてバカだよ」
「そう言うなよ」
彼女の唇はなぜか暖かかった。


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【982】 招き猫

古道具屋で父を見つけた。正確には育ての父だ。僕は彼を買い取り、家に持ち帰る。磨いて、欠けた部分を丁寧に補修する。「父さん?」呼び掛けると古い招き猫はぱちりと目を開けた。「久しぶりじゃの。助かったぞ」僕の父さんは招き猫の付喪神なのだ。

書き出しをお借りして。


6/14のついのべデーのお題は「あやかし」なので、いくつか書こうと思ってます。

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【965】 化け物に非ず

憐れむような瞳に腹が立った。
こちらは命を狙っているというのに。
鎖鎌を構えると、彼は指の先に狐火を生む。
自分が望んでも得られなかった力。
「あやかしの癖に人の武器を使うか」
「言うな!俺は化け物じゃねえ!」
稲荷の境内に殺気が満ちた。

お題:今日のお題 「稲荷」 「鎖鎌」 「憐れむ」  http://t.co/wIdYyeyK


【966】 蛍火

「男とか女とか、若いとか年取ってるとか、人間とか猫とかあやかしとか、そんなんどうだっていいよ。もっと大事なことは他にあるでしょ?」
黒猫はそう言って、人間の姿になると蛍の瞬きを指にとまらせた。
「あの人はいつもそれを教えてくれるんだ」


【967】 鬼の花嫁

白無垢を着た花嫁は、その夜、鬼と婚姻する。
否、婚姻という名の生け贄であると花嫁は知っていた。
「よう来た」
岩屋に一人残され名残の月を見ていた花嫁が驚いて声の方を見ると、そこには闇夜色の着物を来た鬼が立っていた。
美しさに声を失った。

お題:今日のお題 「闇夜」 「着物」 「婚姻」  http://t.co/wIdYyeyK


【968】 いわくつき

「長屋住まいのくせにいつまでも手放さねえんだから」
呆れて日本刀を眺める俺に、奴はへらへら笑ってやがる。
「せめて行李に隠しとけよ」
「無理だって梅之介も知ってるじゃないか」
「化け物刀じゃなあ」
「誰が化け物じゃ」
刀は人の形をとった。

お題:今日のお題 「長屋」 「日本刀」 「梅」  http://t.co/wIdYyeyK


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HN:
宵月楼 店主
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非公開
自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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