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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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【1143】 鬼

赤い瞳がまるで鋭利な刃物のように俺を貫いた。
純粋な敵意に満ちた瞳。
「殺してやる」
血を吐くような呟き。
額に角が生え、爪が鋭くなり、牙が見え隠れする。
「お前にはその権利がある。全力で来るがいい」
お前の一族を滅ぼした仇として俺はこの殺意を受け止めよう。

お題:今日の書き出し/締めの一文 【 赤い瞳がまるで鋭利な刃物のように俺を貫いた 】  http://t.co/xa0YiAVQ


【1144】 井戸の中

「若殿様、お薬は飲まれましたか」
屋敷の隅の古い井戸にはあやかしが住んでいる。
病弱で一人臥せっていた私は、いつしか彼女と親しくなっていた。
「月乃はいつも私を気にかけるのだね」
「月乃を気にかけてくださるからですよ」
そう言う彼女の淡い笑みが私は好きだった。

お題:今日のお題 「井戸」 「薬」 「若殿」  http://t.co/AMef1Qc2


【1145】 なくした記憶

大切にしまって置いた記憶がない。
机を探しても、タンスを探しても、どこにもない。
僕は途方にくれて上を見た。
「あ」
天井を走って記憶を持った小鬼が逃げる。
「ちょっと待て!」
それは大切な・・・あれ?本当に大切なものだっけ?何の記憶だったかな・・・。

書き出しをお借りして。


【1146】 達磨

「切腹ね」
俺は残された上意書を横目で見た。
たかだか江戸家老の息子を痛めつけただけで何でこうなるかね。
「どうすんだ、お前」
呆れ顔の兄に俺はニヤリと笑った。
「家出て剣客にでもなるわ」
「じゃあ、これ持ってけ」
投げられた達磨の根付は俺を見るとため息をついた。
「この兄弟ときたら、先祖と違っていい加減に過ぎる」
達磨は目をぎょろりとさせてそう愚痴る。
「兄貴、これ」
「家宝だ。売るなよ」
「ああ・・・じゃなくて!」
「ちょっと煩いが、役に立つ」
ちょっとどころじゃないのは、幼い頃からの付き合いで身に染みているんだが。
「そもそも切腹の命が出ているのに逃げるとは何事」
「まあそう言うな。こいつの素行の悪さは噂になっているし、次男が行方をくらませても家がつぶれることはなかろうよ。諸国を見るのも修行になるしな。あんたがついていきゃ変なあやかしに襲われることもなかろう?」
「まあ、よかろう」
達磨は重々しく頷くと目を閉じ、根付に戻った。
「お前は美味そうなんだから、用心に越したことはないだろう?」
心遣いはありがたい。
俺はあやかしに好かれる質なのだ。食料として。
それにこれが永の別れになるかもしれない。無下にはできなかった。

お題:今日のお題 「切腹」 「根付」 「剣客」  http://t.co/AMef1Qc2


【1147】 犬妖

「雷が来まする」
不意に庭で声がした。
「雷雨でございまする」
その声と気配にただならぬものを感じて、俺は小太刀を手にすると縁側へ出る。
庭には茶色い犬が座っており、黒い瞳で俺を見ると尻尾をぱたりと振った。
「一夜の宿をお貸し願いたい」
そして律儀に頭を下げた。

今日のお題 「雷」 「小太刀」 「犬」  http://t.co/AMef1Qc2


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【1128】 すずめ

その翼では、もう飛べはしないだろう?
小さな雀の子に私はそう諭した。
「私の幹のうろに住まう限り、私はお前を守ってやろうよ」
雀は泣きはらした目で私を見る。
「こんな立派な木に住んでいいの?」
「私ももうそう長くはない。お前が歌ってくれれば寂しくないのだがね」


【1129】 紗綾

今日はずっと雨。
紗綾は鳥居の上で空を見上げる。
梅雨は明け、夏が来る。
梅雨の晴れ間を教えるあやかしはそろそろ眠りにつく季節。
「今年もお疲れ様」
神社の狐がそういうと紗綾は頷いて、ぽん、と跳んだ。
「明日はきっと晴れるよ」
最後の声と共に、また来年。


【1130】 女神の憂鬱

人の世は儚い、と呟いてため息をつく女神に、僕は苦笑した。
神にしてみれば確かに儚いであろうが、僕らには十分起伏があり充実している。
「そんなにつまらないですか?」
問うと女神は僕の頭をそっと撫でた。
「たった何十年かでお前が消えると思うと、愚痴りたくもなる」

お題今日の書き出し/締めの一文 【 人の世は儚い、と呟いてため息をつく 】 http://t.co/a8HWCWxj


【1131】 魅入られる

刀に魅入られてはいけないと幾度も注意されていた。
だけどそれは無理というものだろう。
我の影のようにこれは存在している。
今では互いがなければ生きてはいけぬ。
「お嬢、なに考えてんだ?」
「我の唯一の失策はこのロクデナシに惚れたことよの」
「後悔はさせねえよ」

お題:今日の書き出し/締めの一文 【 刀に魅入られてはいけない 】  http://t.co/xa0YiAVQ


【1132】 水まんじゅう

小豆洗いのこの夏のイチオシは水まんじゅうだという。確かに半透明のぷるんとした皮にほどよい甘さのあんがくるまれている様はとても涼しげでうまそうだ。ウグイスあんや白あんなど色を変えて目にも楽しい。なにより、楽しげにその説明をする小豆洗いが微笑ましいのだ。


土用の丑の日ですね。
高いのでうなぎは食べられません。気力で夏を生き抜きますw


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【1111】 夜の帳

星をほどいて月光と縒り合わせ、夜の縦糸に通して静寂を織る。
時折浮かぶ輝きは生まれては消えて行く夢の欠片。
暗く深い藍は眠りながら涙する君の哀しみ。
すべて君から拾い上げ、織り込んでいく。
いつか君に穏やかな夜が訪れますように。

書き出しをお借りして。


【1112】 雨の日

雨が降る。
雨足が強く、出掛けるのが億劫になる。
「おさんぽ、むり?」
座敷童が俺を見上げる。
「今日は無理」
「うにゅう、ざんねん」
彼女は最近近所の猫巡りがマイブームなのだ。
「晴れたらな」
「にぼしもってく」
お前が食いきる前に晴れるといいな。


【1113】 黒うさぎ

急いで走る黒うさぎ なんだかとっても急いでて 後を追うのも大変で 息切れ疲れて見失い その場に座り込んだけど やっぱり気になる黒うさぎ 疲れたときのそのために 休める場所を用意して 僕は待ってる黒うさぎ だからいつでも疲れたら 僕のところへ休みにおいで


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【1107】

主「暑い!白虎、風!」
白「何で俺が野郎に風吹かせにゃならんの」
青「だめです、主。こいつの風は男には暴風です」
主「じゃあ、青龍、雨」
青「いけません。無理に雨を呼べば天災となります」
主「頭、固いんだからなー。お前ら、暑くないの?」
青「式神ですので」
主「ずりぃ・・・」

主「この暑さ、なんとかならねえ?」
朱「あら♪アタシで良ければ扇ぐわよ♪」
主「いや、遠慮しとく」
白「オカマはお呼びじゃないってよ」
朱「オネエってお言い!」
主「朱雀が扇いでも熱風が来るんだよ」
朱「やっぱり我が主、優しいわ」
主「くっつくな、羽毛暑い」
朱「えー!?」

主「あれ?玄武、どこいった?」
青「庭にいるようですが?」
主「何してるんだ?玄武?玄武!」
玄「・・・呼んだ?」
主「うわあっ!何で首まで埋まってんだよ!」
玄「土、冷たい。地下水、ひやひや。一緒に、埋まる?」
主「・・・遠慮しとく」

主は高校生。
四神は
「白虎(風)」 女の子好きの遊び人。
「青龍(水)」 まじめでかたい。融通が利かない。
「朱雀(火)」 美人で細マッチョのオネエ(男)。
「玄武(地)」 ちょっとぼーっとした男の子。
です。
あほっぽくしようと思って設定したので、いろいろヒドイwww


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【空想の街】というツイッター企画で、黒狐の更夜(こうや)として遊ばせていただきました。
ほかの方のツイートも含んでいるのでここには掲載できませんが、まとめを作成しましたので楽しんでいただければ。


空想の街で三日間行われたお祭り(お盆のように、死者が帰ってくるお祭り)での黒狐の少年のお話です。
http://togetter.com/li/338038


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HN:
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オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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