宵月楼-しょうげつろう-
あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。
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その翼では、もう飛べはしないだろう?
小さな雀の子に私はそう諭した。
「私の幹のうろに住まう限り、私はお前を守ってやろうよ」
雀は泣きはらした目で私を見る。
「こんな立派な木に住んでいいの?」
「私ももうそう長くはない。お前が歌ってくれれば寂しくないのだがね」
【1129】 紗綾
今日はずっと雨。
紗綾は鳥居の上で空を見上げる。
梅雨は明け、夏が来る。
梅雨の晴れ間を教えるあやかしはそろそろ眠りにつく季節。
「今年もお疲れ様」
神社の狐がそういうと紗綾は頷いて、ぽん、と跳んだ。
「明日はきっと晴れるよ」
最後の声と共に、また来年。
【1130】 女神の憂鬱
人の世は儚い、と呟いてため息をつく女神に、僕は苦笑した。
神にしてみれば確かに儚いであろうが、僕らには十分起伏があり充実している。
「そんなにつまらないですか?」
問うと女神は僕の頭をそっと撫でた。
「たった何十年かでお前が消えると思うと、愚痴りたくもなる」
お題今日の書き出し/締めの一文 【 人の世は儚い、と呟いてため息をつく 】 http://t.co/a8HWCWxj
【1131】 魅入られる
刀に魅入られてはいけないと幾度も注意されていた。
だけどそれは無理というものだろう。
我の影のようにこれは存在している。
今では互いがなければ生きてはいけぬ。
「お嬢、なに考えてんだ?」
「我の唯一の失策はこのロクデナシに惚れたことよの」
「後悔はさせねえよ」
お題:今日の書き出し/締めの一文 【 刀に魅入られてはいけない 】 http://t.co/xa0YiAVQ
【1132】 水まんじゅう
小豆洗いのこの夏のイチオシは水まんじゅうだという。確かに半透明のぷるんとした皮にほどよい甘さのあんがくるまれている様はとても涼しげでうまそうだ。ウグイスあんや白あんなど色を変えて目にも楽しい。なにより、楽しげにその説明をする小豆洗いが微笑ましいのだ。
土用の丑の日ですね。
高いのでうなぎは食べられません。気力で夏を生き抜きますw
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