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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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空想横丁(http://shindanmaker.com/277254)より

【世界樹の一葉】は、リュンクス通りにある古本屋。ドアに埋め込まれたステンドグラスが目印で、「商品がどれも良質だ」と評判のようだ。ただし、少々高額。主人は無愛想だが、本当に客が求める本をよくわかっている。噂によると本の気持ちがわかるらしい。

この設定を元に、ツイッターでぽつぽつと落としてみた短文です。



「【世界樹の一葉】という店は別にやりたくて始めた訳じゃないんだ」と主人は黒い小さな丸眼鏡をくいっと押し上げて苦笑する。「知らない間に本にまとわり付かれるものだから、しまう場所がほしかったんだよ」しかしその膨大な数は、何年かけて集まったのだろうか。


柔らかく緩やかに波打つ長い栗色の髪と白い肌。黒眼鏡の奥に隠した瞳は薄い蒼。年の頃は二十代くらいに見えるが、落ち着きと、底の見えない微笑みが年齢不詳にしている。店が出来た時から年を取っていないように見えるのはどうしてだろう?


世界樹の一葉】が閉店すると、主人は内側から扉のステンドグラスにカーテンを引く。すると暗めの店内のそこここにぽわりと小さな灯りが浮かび始める。壁一面の、そして店内のありとあらゆる本棚から、ぽわり、ぽわり。そして淡い光たちはやがて口々に喋り始めるのだ。


主人は黒眼鏡を外すと、ひとつひとつに耳を傾ける。古い本は好みがうるさい。やはりどの本も最初の持ち主に思い入れがあって、どうしても選り好みをしがちなのだ。「大丈夫だよ。私がいい持ち主を見つけてあげるからね」彼の穏やかな声に本の心たちは嬉しそうに踊った。


「こんにちは」翼猫のカタンはステンドグラスのはまったドアをゆっくりと押し開けた。インクと紙の匂い。なにかが息を潜めているかのような緊張感。そして店の奥では年齢不詳の黒眼鏡の青年が微笑む。「やあ、ちょうど君にあげたい本があったんだ」


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女神の小指 HOME お化けカボチャと翼猫 2

HN:
宵月楼 店主
性別:
非公開
自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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