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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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「主!ヘキジュ様!なんです、これは!」
翼猫のカタンは尻尾を膨らませて、主たるヘキジュの部屋の扉を開けた。
「おう、カタン。すまんな」
寝台の上で胡座をかいて、ヘキジュはへらりと笑った。
その周りには蔓がうねうねと伸び、そこかしこでケタケタ笑うものがある。
「お化けカボチャに手を出しましたね?」
そういうカタンの手にもカボチャの実がひとつ乗っている。
カボチャは仲間を見つけて嬉しいのか、ケタケタ笑った。
それを殴って黙らせて、ヘキジュを睨み付ける。
「プランター向きに改良したって聞いてなあ」
「どう見たって店を乗っ取られる勢いじゃないですか!このカボチャも店の裏口になってたんですよ?なんだってまたお化けカボチャに手を出したりしたんです?」
お化けカボチャの特徴は笑うことと子供のおもちゃになること。
酒屋の足しになりそうにはとても思えない。
「だってなあ」
ヘキジュはへらりと笑ってカボチャを手に取った。
「子供が遊びに来たら、お前も同じ年頃の顔馴染みが増えるだろ?」
「・・・へ?」
カタンは一瞬意味を取り損ね、間抜けな声を出してヘキジュを見返した。
「ずっと店番任せっきりだろう。休みやるっつっても聞かねえしなあ」
つまり主は使い魔たる自分に、子供らしく遊べと言っているのだろうか?
そこまで考えてカタンは思わず手にしていたカボチャを思いきりヘキジュに投げつけた。
「僕は使い魔なんですよ!」
カボチャは見事にヘキジュの頭にぶち当たる。
「おまっ・・・主に鈍器を投げつけといて」
「うるさいですよ!子供扱いはごめんです!全部商売の足しにしますからね!お化けカボチャがなってる間は酒屋は休業です!お菓子とおもちゃと子供でいっぱいにしてやります!」
捨て台詞を吐いて駆けていく足音を聞きながら、ヘキジュはカボチャと一緒にケタケタ笑った。
とっさにきびすを返して隠した顔が真っ赤になっているのに気づいていたことは、黙っててやろうと思った。
「お菓子か、いたずらか?・・・両方に決まってるじゃねえか。なあ」


【あとがき】

一足早いハロウィンです。まだ月末までに書くかもしれませんが。
これは、診断メーカーの「空想横丁」(http://shindanmaker.com/277254)の診断結果をもとにして書いたものです。

「エキドネ通りにある『酒屋』。銀板の看板が目印で「当たり外れが多い」と評判のようだ。お隣は『籠屋』です。」

店の名は【ドラシネの酒屋】
主人のヘキジュとその使い魔である翼猫のカタンがやっている小さな店です。酒を仕入れに飛び回るヘキジュの代わりに、カタンが猫耳尻尾の少年の姿で店番しています。

ただその世界にハロウィンがあるかはなぞなので、カボチャ祭りというか、実際にケタケタ笑うカボチャとお菓子をもらって歩く祭りをイメージして書きました。
楽しんでいただけたらうれしいです。


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お化けカボチャと翼猫 2 HOME 桔梗さんの魔法の指

HN:
宵月楼 店主
性別:
非公開
自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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