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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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【649】

 一瞬、畳に鮮やかな紅葉が散っていると見紛うた
 帰宅した男は、襖を開けたままその色に動きを止めた
 倒れている彼女から次第に広がる真紅は、周りを秋の山の如く美しく染めている
 広がる黒髪も、抜けるような白い肌も、紅葉に埋もれるように朱に包まれて
 それはまるで秋の竜田の姫のよう
 震える指を伸ばし、男はその朱に足を踏み入れた
 まだ残る温もりを感じながら、彼女を抱き寄せる
 その拍子に彼女の髪がはらりと流れ、額の角をあらわにした
 その角に、そっと触れる
 人は鬼ではないと、はかなくも力強い人の生き様が好きだと笑った彼女は鬼だった
 だから哀しむかもしれない
 それでも男は、もう自分を止められなかった
 人は鬼ではない
 だが、鬼になれるのだ
 悲しみで
 憎しみで
 彼女の亡骸をかき抱く男の額には、赤く血に濡れた角が生えていた


お題: 「畳」、「紅」、「鬼」で創作しましょう。 #jidaiodai http://shindanmaker.com/138578
もう少し綺麗なだけにしようと思ったんですが・・・あれ?(^^;)


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春はまだ遠く(ついのべ他) HOME 冬の木立

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宵月楼 店主
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非公開
自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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