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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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【544】

「やっと見つけた」
 少し息切れしている声に顔を上げると、そこには柔らかそうな茶色の髪の少年が立っていた。
「こんな騒がしいところにおられるので、探し当てるのに苦労しました」
「・・・あんた、誰?」
 もうだいぶ夜も遅くなって、ちょっとガラの悪い連中が増えてきたゲーセンで、その子はなんだか浮いていた。その子っていっても、中学生、頑張れば高校生で通りそうな男の子だから、大してあたしと変わらないんだろうけど、とにかく育ちの良さそうな雰囲気で、悪目立ちしている。
「お初にお目にかかる。我は御身の式。西の鍵を護りし血脈に連なりし姫。古の制約によりて、お迎えに参上しました」
「はあ?」
 なに言ってんだろう。
 いきなり彼から飛び出した時代劇みたいな台詞に呆然としたあたしを気にもとめず、彼はにっこり微笑むとあたしの手を握った。
 そのまま、あたしの前にひざまずき、手を自分の額に押し当てる。
「ちょっと!なにすんのよ!」
「刃となり、盾となりて、終生変わらず御身を護ると誓う」
 その時、確かにあたしは感じた。
 当たっている額から、あたしの手に、何か暖かいものが流れ込むのを。
 自分の中の何かが、それを待っていたと、涙が出るほど嬉しいと震えるのを。
 だから、どうすればいいのかあたしはわかっていた。
 だけど。
 あたしは次の瞬間、彼を振り払って、あとずさった。
「・・・駄目・・・」
「姫?」
 拒絶されるとは思ってもいなかったのか、彼が驚いてあたしを見上げる。
 そうだ。
 知っている。
 彼はあたしの刃。
 あたしの盾。
 死ねといえば、喜んで身を投げ出す道具。
 血に濡れた指先が脳裏をよぎる。
「あんたなんか、知らない!二度とあたしの前に現れないで!」
 叫んで、あたしはその場から逃げ出した。
 彼はもう誓いを口にしてしまった。
 だからもう遅いとはわかっていたけど、そうすることしか出来なかった。


お題:「夜のゲームセンター」で登場人物が「誓う」、「鍵」という単語を使ったお話を考えて下さい。 http://shindanmaker.com/28927 #rendai
えーっと、よくあるパターンですね?(^^;;;)
本日はちょっと気力が足りなくて、中途半端で申し訳ないです。

あ、昨日のお話は好評だったようでよかったです。
なにげに十夜さんは気に入っていますw
ぜひ声はゆっちーでご想像ください(イメージボイスはぬらりひょんの孫のぬらりひょん様/若い頃w)。


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HN:
宵月楼 店主
性別:
非公開
自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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