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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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【95】

気がつけば君の瞳が間近にあって、声もなく僕らは見つめあう。
暗い部屋に満ちた蜜のようにどこかとろりとした空気が体にまとわりついて、身動きが取れない。
ようやく動いた手で頬に触れると、君の目から一粒涙が零れて、触れた指先から僕を溶かした。

お題:
「夜の部屋」で登場人物が「見つめ合う」、「蜜」という単語を使ったお話を考えて下さい。

【96】

雨の音が聞こえる。
単調な雨垂れの音と時計の秒針の音が、どこか眠気を誘う。
静かな夜をたゆたいながら、君を思う。
明日は晴れるかな。
晴れたらどこか一緒にいこう。
雨に洗われて澄んだ空気がきっと気持ちいいよ。紫陽花をバックに笑う君を思い浮かべながら、僕は眠りについた。

【97】

書くもののカラーってやっぱり出る。
堅苦しい文章なんて書けないけど、かまわない。
ワンパターンかもしれないけど、それでもいい。
それしか書けないのは、それなら書けるってことで、読んだ時にあの人っぽいと思ってもらえるならそれは最強の武器なんじゃない?

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【90】

寝られないまま迎えた入学式の朝の、畳の上に薄い影が落ちる。
早々に着替えた制服の、セーラーの襟に広がる髪を愛しげに撫でる優しい指先が、この世のものではないことを彼女は知っていた。
だが、恐怖は無い。
それは、まだ生きている頃と同じ優しい母の指先だった。
 
お題:
「早朝の畳の上」で登場人物が「髪を撫でる」、「制服」という単語を使ったお話を考えて下さい。
 
ちょっとホラー風味?
どちらかというと昭和初期の文学的な雰囲気を目指したのですが(^^;)。


【91】

なくした痛みに溺れていないで、手の中に残っているものを大事にしよう、と思うんだ。
痛みは忘れないけれど、それでもそばにいてくれる人の温もりを拒んじゃダメだと思うから。
だから今は、僕の持っているほんの少しを、どこかになくしてしまわないようにそっと抱きしめていよう。

【92】

僕の真っ青な顔色に気づいて、ドッペルゲンガーはニヤリと笑った。
禍々しい自分の笑みに背を嫌な汗が流れた瞬間、僕はそいつに殴りかかっていた。
しかしかわされ転んだ僕の握りしめた拳は容赦なく踏み潰される。
「さよなら、今までの僕」
そして意識は暗転した。

お題:
題材[真っ青な,ドッペルゲンガー,踏み潰す,さよなら]バトルものっぽくやってみよう!

バトル、バトル・・・と頑張ってみたけど、あっさりやられちゃいました。


【93】

両腕いっぱいに花を抱えよう。
この花の一本一本が、伝えたい言葉。
いろいろな色の、大きい花も小さい花も、大事な僕の言葉たち。
もしとげがあったらちゃんと外して、枯れそうならもう一度命を吹き込んで。
一本抜き取っては、差し出すよ。
僕の言葉、受け取ってもらえますか?
 
【94】

ついりあ、というジャンルがあるんだって。
本当のことをついのべ風に書くとか。
でもついりあのタグをつけたら、どんな醜い感情もひどい台詞も「本当のことです」って言ってるわけで。
僕は臆病だから、本当のことはついのべの奥に隠して、本当か嘘か曖昧にしておきたいなあ。

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【86】

月のない夜に君の家の庭に行くよ。
君の部屋の窓に小石を当てるから、顔を見せて。
大丈夫。星明かりだけでじゅうぶん僕には見えるから。
そして、物語のように君を見上げて、永遠を誓うんだ。
足跡も残さずに朝には消えていても忘れないで。
僕は君が好きだってこと。

お題:
「深夜の庭」で登場人物が「誓う」、「跡」という単語を使ったお話を考えて下さい。


極甘ですねー(^^;;;)。
ロミジュリのイメージで。
でも内心、「僕」は猫のイメージだったりするのです。


【87】

文章に込められた気持ちを色で感じる青年がいた。
苦い思いは暗い色。嬉しい思いは明るい色。
そんな彼がいつも目を止めてしまうのは、桜の様な薄ら紅。
そういう文章を書く女性にいつも恋をする。
しかしそれは最初から実らぬ恋。
薄ら紅は、誰かに恋をしている心の色なのだから。

何がしたかったかというと、「決まってんだろ。恋する女が可愛いからだよ」BY 光流先輩(ここはグリーンウッド)がやりたかっただけなんです(^^;;;)。

【88】

闇夜のカラスがカアと啼く。
羽を広げて大袈裟に、
「行く先見えぬ人の世の、道先案内致しましょう」
黒猫、それをあざ笑い、
「鳥目の癖に偉そうに。我がその役引き受ける」
どちらにしてもこの闇に、紛れ消え入るその体。
一人迷子になりたくなくば、甘言何とぞご注意を。

「カートニアゴ」ですね(^^;)。
「黒猫とカラスがニヤニヤ」な雰囲気も入れたかったんですが、いっぱいいっぱいでした。


【89】

月の如くに気持ちが変わる 
君に恋して幾年も 
泣いて笑って怒って恥じらう 
君を見つめるだけの日々。
幾度目わからぬ涙の君を慰める手の行き場を変えて 
もう手を伸ばしてもいいですか?
涙に濡れるその唇に 
僕も触れてもいいですか?

1_darkさん(ついのべの大手さん)の「月をテーマに書いてみませんか」という企画に、いきなり飛び入り参加しました。
「月」といいつつ「月の様な女性」に変化させてしまって、ずれてる感は否めないんですがwww
結構参加者があって、同じテーマでも全然違うテイストの文章が上がってくるので、読んでいても面白いですね。
また参加してみようと思います。



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【84】

オールナイトの映画が終わる。
白々と灯りがついて、浸りきっていた世界の終焉を告げる。
少し現実に戻れなくてぼーっとしていたら、君が笑って僕の口に飴を放り込んだ。
「朝御飯までのつなぎね」
優しく笑う君に僕は手を差し出した。
「どうせ繋ぐなら、こっちでしょ」
 
お題:
「早朝の映画館」で登場人物が「手を繋ぐ」、「飴」という単語を使ったお話を考えて下さい。


【85】

雨の日は、沈みがちな気分が軽くなるように柔らかく。
晴れた日は、梅雨の晴れ間を浮き立たせるように鮮やかに。
私を見る貴方が少しでもこの雨の季節を好きになってくれるように、
私は精一杯装ってここで貴方を待ち続けるの。
私は、紫陽花。
雨の日のお日様。

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いつもありがとうございます。
拍手をいくつかいただけて、ブログ村へのアクセスもしていただけて、とてもうれしいです。
ついのべに関しては、ツイッターでRTしていただけたり。
読んでもらえなくてもきっと発信していくんだろうけど、反応があるということは本当に力になります。
これからも、よろしくお願いします(^^)。


【81】

心臓から痛い部分を外してはブリキの缶にしまっていく。
外すたびに、世界は暮れてゆく。
夕焼けが辺りを染める頃、最後の一欠片をしまってブリキの缶にふたをすると、世界は唐突に星もない闇夜になった。
いつの間にか現れた黒猫が、僕を嘲笑ってこう言った。

「大人の世界にようこそ」
 
【82】

あれから何百年経とうとも君の面影は薄れず、
それだけを抱いてさまよう僕を、なぜかいつも君はまっすぐに見つけ出す。
君を黄昏の世界に引き込めば失うことも待つこともないのに、
それだけはどうしてもできず、僕はまた君と巡り会う時を夢見てさまよい続ける。
 
毎月14日は「ツイノベの日」だそうで、まわってきたお題が「あれから」でした。
読むと結構震災関係が多かったんですが、当事者ではないので、通常営業であやかしものにしてみました(^^;)。


【83】

雷が鳴る夜は怖くて一つの部屋で寝る。
「もう小学生なんだから、一人一部屋ね」ってママに言われても、アレだけはダメ。
部屋を閉め切って、一緒に布団をかぶって、お互いのドキドキを感じると、
生まれる前に戻ったみたいで安心する。
だって、双子なんだもの。

お題:
「深夜の密室」で登場人物が「共有する」、「雷」という単語を使ったお話を考えて下さい。

子供口調はお題の使い方が難しい・・・orz
双子が、雷の夜はベッドの中で手を繋いでたら安心して寝られるよ、って場面で書いてみました。



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HN:
宵月楼 店主
性別:
非公開
自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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