宵月楼-しょうげつろう-
あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。
[168] [167] [166] [165] [164] [163] [162] [161] [160] [159] [158]
【488】
「あの鼓は!」
月下に突如響いたその鋭い音色に、花鬼は我知らず走り出していた。
幼い日、一度だけ迷い込んだ人間の宿場で、自分をかばってくれた人がいた。
助けだし、飯を食わせ、あまつさえ風呂に放り込み、そして、月明かりを浴びてその美しい音色を聞かせてくれた。
それに合わせて舞って見せれば、笑顔で誉めてくれた。
あとで知ったのだが、鼓の名手であるがゆえに、偉い人に請われては鼓を披露するため旅から旅の生活だということだった。
だから、もうこんな辺鄙なところには立ち寄らぬだろうと、思っていたのに。
あの日、自分だけをそばに置いて鼓を打っていたあの丘にたどり着くと、その人は月明かりを浴びて静かに笑った。
「私の鼓で舞うお前が忘れられなくてね」
「我も、その音色が恋しかった」
まるで恋情を告白するようにやっとそれだけを口にして、花鬼はほろほろと涙をこぼした。
お題:「宿場」、「鼓」、「笑う」で創作しましょう。 http://shindanmaker.com/138578
題名は適当です。ますます作成能力が落ちていて、浮かんでこない(^^;
参加しています。もしよろしければクリックお願いします。
にほんブログ村
「あの鼓は!」
月下に突如響いたその鋭い音色に、花鬼は我知らず走り出していた。
幼い日、一度だけ迷い込んだ人間の宿場で、自分をかばってくれた人がいた。
助けだし、飯を食わせ、あまつさえ風呂に放り込み、そして、月明かりを浴びてその美しい音色を聞かせてくれた。
それに合わせて舞って見せれば、笑顔で誉めてくれた。
あとで知ったのだが、鼓の名手であるがゆえに、偉い人に請われては鼓を披露するため旅から旅の生活だということだった。
だから、もうこんな辺鄙なところには立ち寄らぬだろうと、思っていたのに。
あの日、自分だけをそばに置いて鼓を打っていたあの丘にたどり着くと、その人は月明かりを浴びて静かに笑った。
「私の鼓で舞うお前が忘れられなくてね」
「我も、その音色が恋しかった」
まるで恋情を告白するようにやっとそれだけを口にして、花鬼はほろほろと涙をこぼした。
お題:「宿場」、「鼓」、「笑う」で創作しましょう。 http://shindanmaker.com/138578
題名は適当です。ますます作成能力が落ちていて、浮かんでこない(^^;
参加しています。もしよろしければクリックお願いします。
にほんブログ村
PR
この記事にコメントする
HN:
宵月楼 店主
性別:
非公開
自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
カウンター