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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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【616】 雪

「君が好き」呟く僕の白い息 凍って君の街に降り積む

【617】 終わりに始まる僕と君

 年の暮れ、なんて言われても猫にはなんの関係もないけど、人間たちがばたばたしてていつも以上に忙しないことはわかる。
 大変だって顔して、いつもより早足で、野良猫に興味がないならともかく、邪魔扱いされるからたまったもんじゃない。
 ねぐらは追い出されるし、オオソウジとかで公園も空き地も段ボールひとつ落ちてない。
 寝る場所がなくて、僕は途方にくれていた。
 しかも寒くて、お腹も空いた。
「・・・ひゃあぁ・・・」
 お腹に力が入らなくて、にゃあと鳴くこともできない。
 僕はすとんと座ると、もう諦めて丸くなった。
 明日になったら死んじゃうんだな。
 ちょっとお腹が空いてるけど、寝てるうちなら苦しくないかなあ、なんて考えた時だった。
 ふわりと体が浮いて、なんだか大きくて暖かいものに包まれた気がした。
 もう半分ぼんやりした頭で、それでも少し顔をあげると、優しい目が僕を見てた。
 ああ、なんか安心する。
 そう思ったら急に眠くなった。
 眠る寸前、柔らかな声が、体に響いてきた気がした。
「もう大丈夫だよ。安心しておやすみ」
 うん。
 僕はうっとりとその声に包まれて眠りについた。
 明日起きたときも、そばに居てくれるかな。
 きっと僕は君を好きになるよ。
 だから、夢じゃありませんように。


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新年のご挨拶を申し上げます HOME 手を伸ばせない

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宵月楼 店主
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非公開
自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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