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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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【637】

 大げさな奴らだなあ。
 前方の鎖鎌、後方の三節棍。
 ついでに右には槍、左には刀と来た。
「もう逃げられねえぜ。里抜けなんざ俺が許さねえ」
 俺の前に立ちふさがった男はにやにやと笑うとこれ見よがしに鎖鎌を振り回した。
 そういやあ、里にいる時からやな奴だったよなあ。俺を目の敵にして。
 俺たちの里はいわゆる隠れ里で、皆、傭兵や忍びとして戦いに出るのが生業だ。
 戦闘能力が高いということは、利用されるだけではない。脅威とみなされれば里ごと潰されることにもなりかねない。
 それゆえ里を抜けることにも厳しい。
 それはわかっている。だが。
「おめえら、お頭の命で動いてねえだろ」
 俺が冷静に指摘すると、奴はぎくりと顔色を変えた。
「な、なにを」
「だってよ、俺、ちゃんとお頭に仁義通してきたもんよ。抜けたって噂だけで手柄欲しさに飛んできやがったんだろう」
「うるせえ!やっちまえば、なんとでも言えるんだよ!」
 音をたてて鎖鎌が風を切った。それを合図に他の連中も飛び掛ってくる。
「あー、あー、やだねえ」
 俺は頭上に張り出していた木の枝に飛び乗った。
 対象を失って奴らがひるんだ一瞬の隙をついて、煙玉を三つほど大盤振る舞いしてやる。
 煙が広がる寸前、鎖鎌を持った奴が俺を見上げた。
 俺は奴に思いっきり舌を出してやった。
「あばよ」
「畜生!待ちやがれ!」
「やだね」
 そして煙にまぎれてその場を離れる。
 お前らは返り討ちにしねえ。
 だが、俺もやらせねえ。
 俺はもう、二度と血は流さないと決めたんだ。


 お題:「仁義」、「鎖鎌」、「見上げる」で創作しましょう。 #jidaiodai http://shindanmaker.com/138578
抜け忍みたいな感じですかね。
もっと傭兵集団っぽいイメージで、いろんな武器を出してみました。

いつも拍手ありがとうございます。
昨日の話ですが、疑わしいものはむやみに食べちゃいけませんよね。
地獄のものを口にすると、地上に戻れなくなるという話は結構あります。黄泉戸喫(よもつへぐい)と言うんだったかな。
こういう話は調べるとなかなか面白いですよ。


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ついのべ、三編 HOME 川のほとり

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オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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