宵月楼-しょうげつろう-
あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。
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【680】
何度も何度もケンカを繰り返し、相手を殴るために、何かを我慢するためにぎゅっと握り締めるばかりだった拳を、彼女は笑って優しく解いた。
解放された手のひらに自分の手を滑り込ませ、気がつけば手をつないでいた。
無邪気な笑みに、いつもなら口をついて出る憎まれ口がなぜかどこかへ行ってしまう。
「ね、ケンカばかりしてないで、いっしょにあそぼ?」
「・・・ばっかじゃねえの・・・おんなとなんかあそべっかよ」
そっぽを向こうとしたが、彼女の顔が泣きそうに歪んで妙に慌ててしまう。
「な、なくんじゃねえよ」
「・・・あそぶの、いや?」
「あ・・・えっと・・・ちょっとなら・・・」
「やったあ!じゃあ、いこうよ!」
ひっぱられる手を振りほどけずにつられて走ってしまう。
繋いだ手の暖かさが胸の中まで暖めるようで、いつしか笑っていた。
あの時の想いは今も変わらずに胸を暖める。
人を殴らなくなった左手は、十年たった今も彼女だけのものだ。
お題:本日の身体部位は「手のひら」、行動は「殴る」、なごやかな作品を創作しましょう。補助要素は「想い」です。 #karadai http://shindanmaker.com/73897
一応、なごやかになったかな。
最初は五歳、思い返している今は十五歳くらいのイメージで書いてみました。
五歳でケンカばっかりというのも逆に我慢しない分、ないことはないかな、と。
拍手ありがとうございます。
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何度も何度もケンカを繰り返し、相手を殴るために、何かを我慢するためにぎゅっと握り締めるばかりだった拳を、彼女は笑って優しく解いた。
解放された手のひらに自分の手を滑り込ませ、気がつけば手をつないでいた。
無邪気な笑みに、いつもなら口をついて出る憎まれ口がなぜかどこかへ行ってしまう。
「ね、ケンカばかりしてないで、いっしょにあそぼ?」
「・・・ばっかじゃねえの・・・おんなとなんかあそべっかよ」
そっぽを向こうとしたが、彼女の顔が泣きそうに歪んで妙に慌ててしまう。
「な、なくんじゃねえよ」
「・・・あそぶの、いや?」
「あ・・・えっと・・・ちょっとなら・・・」
「やったあ!じゃあ、いこうよ!」
ひっぱられる手を振りほどけずにつられて走ってしまう。
繋いだ手の暖かさが胸の中まで暖めるようで、いつしか笑っていた。
あの時の想いは今も変わらずに胸を暖める。
人を殴らなくなった左手は、十年たった今も彼女だけのものだ。
お題:本日の身体部位は「手のひら」、行動は「殴る」、なごやかな作品を創作しましょう。補助要素は「想い」です。 #karadai http://shindanmaker.com/73897
一応、なごやかになったかな。
最初は五歳、思い返している今は十五歳くらいのイメージで書いてみました。
五歳でケンカばっかりというのも逆に我慢しない分、ないことはないかな、と。
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HN:
宵月楼 店主
性別:
非公開
自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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