宵月楼-しょうげつろう-
あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。
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【679】
川のほとりで子供が二人、並んで水面を見つめている。
秋には和歌に詠まれるほど美しい錦のような竜田の川も今は名残りの紅葉すらなく、冷たい水がたださらさらと流れている。
「姫様は眠ってるの?」
「そう、眠ってる。竜田の姫様は秋の姫だから、冬は静かに眠ってる」
「秋まで起きないの?」
「ううん、春になったら新芽が芽吹く。姫様も新芽のように新しく目を覚ます」
「じゃあ、もう少し?」
「うん、もう少し」
雪はもう所々にしか残っていない。
静かな地面の下で、木の枝の中で、春を待つ新しい命を脅かさないように。
子供たちは内緒話をするように、声を潜めてくすくす笑って森の中へ跳ねていった。
枯れ木の間に兎の耳が、ひょこひょこ揺れて茂みに消えた。
お題:「和歌」、「紅」、「内緒話」で創作しましょう。 #jidaiodai http://shindanmaker.com/138578
早く春になれの気持ちを込めて。
おまけ:同じお題で短文を。
和歌に読まれた紅の竜田の川のもみじより内緒話で唇を寄せた頬のがなお紅い。
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川のほとりで子供が二人、並んで水面を見つめている。
秋には和歌に詠まれるほど美しい錦のような竜田の川も今は名残りの紅葉すらなく、冷たい水がたださらさらと流れている。
「姫様は眠ってるの?」
「そう、眠ってる。竜田の姫様は秋の姫だから、冬は静かに眠ってる」
「秋まで起きないの?」
「ううん、春になったら新芽が芽吹く。姫様も新芽のように新しく目を覚ます」
「じゃあ、もう少し?」
「うん、もう少し」
雪はもう所々にしか残っていない。
静かな地面の下で、木の枝の中で、春を待つ新しい命を脅かさないように。
子供たちは内緒話をするように、声を潜めてくすくす笑って森の中へ跳ねていった。
枯れ木の間に兎の耳が、ひょこひょこ揺れて茂みに消えた。
お題:「和歌」、「紅」、「内緒話」で創作しましょう。 #jidaiodai http://shindanmaker.com/138578
早く春になれの気持ちを込めて。
おまけ:同じお題で短文を。
和歌に読まれた紅の竜田の川のもみじより内緒話で唇を寄せた頬のがなお紅い。
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HN:
宵月楼 店主
性別:
非公開
自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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