宵月楼-しょうげつろう-
あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。
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【823】
「桜ってどうして泣きたい気持ちになるのかな」
呟いて我を見上げる少女が綺麗で、胸をつかまれる。
その昔、我と恋に落ちた魂が、転生してもそれを覚えているのだろうか。
ほろりと落ちた涙に耐えられず、思わず姿を現した。
「泣きたいなら袖を貸してやろうか」
【824】
桜鬼が咲かせた桜が、人の世とあやかしの世の境をあいまいにする。
見えなかったものが見え、見えてたはずのものが桜吹雪に隠されて、一夜の幻に惑わされる。
だが甘い幻にとらわれて己の名すらなくしたら、二度と戻っては来られない。
【825】
肩のところに桜の花びらの痣。それが生き別れた妹の証。
それを今、俺は目の前にしていた。
露になった肩。
白いそこに浮かび上がる花びら。
袈裟懸けに切り下ろされた刀傷。
花びらを覆い隠してゆく鮮やかな紅。
そして、俺の手から血にまみれた刀が落ちた。
【826】
花冷えに君が恋しい夢見月
【827】
ああ、桜が散る。
花びらがひらひらととらえどころなく風に舞う。
触れたくて、手を伸ばしても、触れられない。
その切なさはまるで君への気持ちにも似て。
ねえ、僕の気持ちが全部散ったら、君のこと忘れられるかな。
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「桜ってどうして泣きたい気持ちになるのかな」
呟いて我を見上げる少女が綺麗で、胸をつかまれる。
その昔、我と恋に落ちた魂が、転生してもそれを覚えているのだろうか。
ほろりと落ちた涙に耐えられず、思わず姿を現した。
「泣きたいなら袖を貸してやろうか」
【824】
桜鬼が咲かせた桜が、人の世とあやかしの世の境をあいまいにする。
見えなかったものが見え、見えてたはずのものが桜吹雪に隠されて、一夜の幻に惑わされる。
だが甘い幻にとらわれて己の名すらなくしたら、二度と戻っては来られない。
【825】
肩のところに桜の花びらの痣。それが生き別れた妹の証。
それを今、俺は目の前にしていた。
露になった肩。
白いそこに浮かび上がる花びら。
袈裟懸けに切り下ろされた刀傷。
花びらを覆い隠してゆく鮮やかな紅。
そして、俺の手から血にまみれた刀が落ちた。
【826】
花冷えに君が恋しい夢見月
【827】
ああ、桜が散る。
花びらがひらひらととらえどころなく風に舞う。
触れたくて、手を伸ばしても、触れられない。
その切なさはまるで君への気持ちにも似て。
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HN:
宵月楼 店主
性別:
非公開
自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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