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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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【673】

 まだ朝早い高架下に始発電車の音が響いた。
 裏切るつもりはないんだよ。
 ただね、手足が動かないんだ。
 なんだか血が止まんなくてさ。
 理解してないわけじゃないよ。君は彼らにとって命より大事なお嬢さんでさ、僕なんかが手を出していい人じゃなかった。
 でも、人に囲まれているはずの君が、なぜだかすごく寂しげでひとりぼっちに見えたから、僕はほっとけなかったんだ。
 やめとけばよかったかな。
 君はきっと悲しむだろうから。
 君のなきぼくろをよく泣き虫のしるしだってからかったけど、ほんとの涙に濡れるのは見たくないな。
 僕のこと裏切ったって恨んでもらった方がましな気がする。
 だから、僕を探さないでね。
 あの家から連れ出せなくて、ごめん。

 そして僕は暗闇に沈むように意識を手放した。



お題:「朝の高架下」で登場人物が「裏切る」、「黒子」という単語を使ったお話を考えて下さい。 #rendai http://shindanmaker.com/28927


ロミジュリ風恋愛の末、駆け落ちしようとしてフルボッコに・・・(;´Д`)
ひどすぎる(>_<)

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【672】

「寒っ」
 冷えた空気に体を震わせる。
 夜のグラウンドは誰もいなくて、昼間の喧騒が嘘のように静まり返っている。
 ずっと一人が楽だってそう思っていたけど、なぜかな、今夜は違うんだ。
 寂しい。
 寒いせいなのかな。
 それとも雨のせい?
 傘を叩く雨垂れの音を聞きながら、桜の木の下で携帯をいじる。
 いきなり電話したら君は驚くかな。
 でも今夜はメールじゃダメなんだ。
 あったかい君の声が聞きたいよ。


お題:「夜のグラウンド」で登場人物が「電話する」、「雨」という単語を使ったお話を考えて下さい。 #rendai http://shindanmaker.com/28927
特にこんな寒い日は、恋しい思いが募るかな?


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【671】

廃ビルのてっぺんに腰かけて、朝の冷たくて澄んだ風を感じながらまだ眠る町を眺める。
こんなにきれいな朝焼けに染まる町も、僕にとっては空虚でモノクロの写真のよう。
だってこの世界には君が足りない。
君一人いないだけで、世界はこんなにも色褪せる。
僕は溺れる人間が助けを求めるように、宙に向かって手を伸ばしてみた。
ねえ、早くこの手をつかんで僕をこの世界からひっぱりだしてよ。
君の体温を、声を、笑顔を、僕に早くちょうだい。
でないと本当に僕はこの色のない世界の底で溺れてしまうよ。
でも僕の手は何にも触れないまま、風に吹かれて冷えていった。


お題:「朝の廃ビル」で登場人物が「溺れる」、「風」という単語を使ったお話を考えて下さい。 #rendai http://shindanmaker.com/28927

廃ビルの上、縁の辺りで、猫耳尻尾の青年が座って足をぶらぶらさせながら、寂しそうに宙に向かって手を伸ばしてみてるイメージ。


ご心配ありがとうございます(^^)。
なんとか回復中。ぼちぼち頑張りますよー♪


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【666】

 弓なりの三日月映る井戸の中
 覗き込んだら後ろから
 背なを押されてさかさまに
 落ちてしまえばその先は
 冥土へ続く暗い路
 所々に曼珠沙華
 紅く揺らいで咲く他は
 荒地ばかりの殺風景
 帰る道など見つからず
 途方に暮れたら暗がりに
 緑の瞳を探してごらん
 運がよければ猫又が
 帰る扉を教えてくれる
 あとは見慣れた景色まで
 振り返らずに行けばよい


お題:「井戸」、「弓」、「猫又」で創作しましょう。 #jidaiodai http://shindanmaker.com/138578
京都の六道珍皇寺の井戸は、地獄に繋がっているそうです。
小野篁がそれを通って地獄へ行って、閻魔様の裁判の補佐をしていたとか(^^;)。


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【665】

 彼がふらりとその縁日に立ち寄ったのは、ほんの気まぐれだった。
 旅の空で通りがかった神社の参道にいくつかの店が出ていて、近隣の村人が集まっている。それをふと目にしたからだ。
 宿場ではないものの街道に近いせいか、旅姿のものもちらほら見かける。良くあることなのだろう。田舎にありがちな排他的な雰囲気は感じられず、垣根なく向けられる笑顔に心がふっと軽くなる。
 そのせいか財布の紐もつい軽くなり、気がつけば出店で飴玉と握り飯につけものがついたもの、そして饅頭を買い込んでいた。
 仕方なく座る場所を探して神社を囲む木々の間へ入り込むと、喧騒は少し遠くなり、鳥の声などがして妙に落ち着く。
「いいところだな」
 彼は呟くと座り込み、握り飯を一口ほおばった。
「・・・うまい」
 あっというまに一つたいらげる。そしてもう一つ食おうとして、そばの木の陰から何かがのぞいているのに気がついた。
「誰だ?」
 殺気は感じないが、なにやら気配が妙だ、といぶかしげに問うと、恐る恐る顔を出したのは子供だった。
「なんだ、近所のがきか?」
「おじさん、剣客?」
「難しい言葉を知っているな。そんな上等なもんじゃねえよ。旅をしている浪人だ。何だ、坊主。何かようか?」
「・・・う、ううん」
 子供は慌てて首を振るが、視線をたどって彼は苦笑した。
 饅頭を穴が開くほど見ていたのだ。
「やたらめったら刀は抜かん。来いよ。饅頭、欲しいんだろう?」
 親に買ってもらえる子供ばかりではないのは、自分の経験からわかっていた。
 だから饅頭を差し出してそう誘うと、子供はおずおずと近寄ってくる。
「いいの?」
「ああ、いいさ。俺は握り飯で腹いっぱいだからな」
 そう言って渡すと、子供はそれを受け取って嬉しそうに笑うとその場に座り込んだ。
「いただきます!」
 彼は夢中で食べ始めた子供を微笑ましく見ていたが、背後になにやら見慣れぬものを見つけて、ほんの少し目を見開いた。
 それはふさふさとした狐の尻尾だったのだ。
 子供に気付かれないように驚きを隠しよくよく見れば、人の子にしては少々違和感がある。
 きっと縁日の食い物のにおいに誘われたものの、金もなく見ているだけだったのだろう。その気持ちは痛いほどわかる。
「ごちそうさま!」
 饅頭を食い終わった子供は、にこにこと笑って手を合わせた。
 その口元についていたあんを指で拭ってやる。
「坊主、飴は好きか?」
「飴玉?好き!」
「じゃあ、もってけ」
「でも・・・」
「子供は遠慮なんかするもんじゃない」
 ためらう子供の手に飴玉を握りこませると、彼は立ち上がって子供の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「じゃあな。今度はもうちっとうまく化けろよ」
「え?!」
「尻尾、見えてるぞ」
「ええっ?!」
 慌てて後ろを確認する子供に背を向けて、彼はゆっくりと歩み去る。
「おじさん!ありがとう!ありがとうね!」
 背後から追いかけてくる声に、軽く手を上げる。
 その口元には笑みが浮かんでいた。


お題: 「縁日」、「饅頭」、「剣客」で創作しましょう。 #jidaiodai http://shindanmaker.com/138578
ちょっとうまく表現できない感じで、読みにくいと思います。申し訳ないです。
毎日書いてると、こんな日もありますなー(--;)。


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宵月楼 店主
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非公開
自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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