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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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【525】

 庭先に、紅葉の葉がひらひらと落ちる。
 手も入れられぬにごった池に落ちた紅の葉は、ただそこだけが鮮やかに目をひいた。
 もう秋か。
 季節は変わり行くというのに、私はこの部屋から出ること叶わず、ただ屋敷とともに朽ちてゆくのか。
 ゆるゆるとその時を待つのは、性に合わぬと思った。
 廃屋に縛られたまま忘れ去られるくらいなら、いっそこの手で滅びるも一興。
 最期の時くらい、自らの手で選んでも許されるであろう。
 微笑んで、私は屋敷に火を放つ。
 紅葉に負けぬ紅の腕(かいな)が私の着物の袂をつかみ、やがて私を包み込むように抱きしめた。
 そのようなことをせずとも、ともに滅びるしか私には道はないのに。
 主を失った屋敷の寂しさを見たような気がして私は笑みを浮かべると、そっとその腕に身を預けて目を閉じた。



お題: 「廃屋」、「着物」、「紅葉」で創作しましょう。 http://shindanmaker.com/138578 #jidaiodai
屋敷を守るために縛られたまま、家が断絶し忘れ去られたあやかしのイメージで。



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烏と椿 HOME 冬の朝

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宵月楼 店主
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非公開
自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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