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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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【521】

 寂れた屋敷は、それだけで、なにか潜んでいそうに怪しい雰囲気を漂わせている。
 十兵衛は十手を握って、足音を忍ばせ、門をくぐった。
 近頃、人の居ないはずのこの屋敷でなにやら物音がすると、近くに住民が不安がって相談に来たのだ。
 本来武家屋敷など縁はないが、怪異であれば大変と無理矢理押し付けられたのだった。
「俺だって、好きであやかしの相手をしてるんじゃねえんだけどな」
 不満を漏らす声も自然と低くなる。
 晴れているというのに、なにやら翳っているような気までしてくる。
 そういえば、空気も少しひんやりとしているのではないだろうか。
 そう思ったとき。
 がさっ!
「うわああああ」
 物音に思わず十手を構えた十兵衛の目に映ったのは、飛び去っていく数羽の雀だった。
 途端に力が抜ける。
「・・・ははっ・・・」
 構えすぎていた自分が馬鹿のように見えて、十兵衛はがっくりと肩を落とした。
「情けねえ」
 そう言うと、その場にどっかりと座り込んだ。そして大声を張り上げる。
「畜生。出るならてめえから出やがれ。いくらでも相手してやらあ」
「じゃあ、お言葉に甘えようかね」
 背後からかけられた声に振り返ると、にっこり笑って男が立っていた。
 体は半分透き通って、背後の松が見えていた。
 

 「屋敷」、「十手」、「雀」で創作しましょう。 http://shindanmaker.com/138578
十兵衛はあやかしを見る目を持った人間で、十四歳で十手持ち(同心の下で働く町人。おまわりさんのような存在)です。
十四ではありますが、人間とあやかしの間を取り持って、なかなかに頑張ってるようです。

以前の十兵衛親分
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菊の頃
先駆けの雪

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自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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