宵月楼－しょうげつろう－

【508】

　我を封じる小太刀を手に、そなたはやって来た。
　我はそれを微笑んで迎える。
　人として生まれて出会えたならば、とは思わない。
　我が鬼であればこそ、祓い人たるそなたがこの地を訪れたのだから。
　だから、ただ、最初は戯れであった出会いも、惹かれあった運命も、互いの素性を知った後の胸の痛みも、今はすべて抱き締めてそなたに封じられよう。
「さあ、封印を」
　促すと、決意を秘めた瞳が我を見た。
　降り下ろされる小太刀。
　地に突き刺さり、我を封じる結界の陣が広がってゆく。
　そして。
　陣の中には我と、そなたが居た。
　ああ。そなたは本当に、強く、潔い。
　なにも言わず、微笑み、手を繋ぐ。
　共に。
　永久に。
　紅葉舞い踊る季節、こうして我らは長き眠りについた。


お題：「封印」、「小太刀」、「紅葉」で創作しましょう。 http://shindanmaker.com/138578
ツイッター小説の140字が書けなくなっちゃいました。
今はツイッターでの発表はしてないし、まあ、いいか(^^;。


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