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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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【505】

 船頭は、いまや飢えた狼の瞳で俺をにらみつけていた。
 いや、船頭だと思わされていただけで、この小船に二人きりになるのは仕組まれていたのだろう。
 雫の落ちる櫂を無造作に放り投げて、その男は船の隅に隠してあった刀を取り出すと鞘から引き抜く。
 正眼に構えた刀はぶれもせず、悪い足場でもぐらつかない。
 腕は良いようだ。そして、それに慢心せず、厳しい鍛錬をしているとみてとれた。
「俺を狙っていたのか。と、いうことは」
 もう二十年も前に自らの手で斬った従兄の顔が、その男に重なった。
「父の仇!覚悟!」
 俺は無言で刀を抜いた。
 奴の息子になら討たれてやってもいい。
 だが、それでも真剣に向かってくる相手に手を抜くことは出来ない。
 なぜなら、この男は己の父の存在と正義をその手で守る為に俺を殺さねばならないのだから。
 

お題:「雫」、「櫂」、「狼」で創作しましょう。 http://shindanmaker.com/138578
昨日は【はろうぃん】で、せめてかぼちゃ縛りで何か、と思っていたのですが、さすがに時代物では思い浮かばず(^^;)。
いや、時代物じゃなくても良かったんじゃ、と思ったのは夜が明けてからでした。


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笹舟 HOME あやかしbot について

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オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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