宵月楼-しょうげつろう-
あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。
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【479】
屋敷の庭は、紅葉が燃え上がるような紅で彩りを添えていた。
その紅に紛れて、人の背丈の倍はあろうかという高さの枝に、青年が一人座り込み空を見上げていた。
太い幹に背を預け、風に伸ばし放題の髪を遊ばせている。
昔なじみの招きで訪問したものの、普段山で暮らしている身にはどうにも居心地が悪くて、雲隠れを決め込んでいるのだ。
その首筋に、船の櫂がぴたりと当てられた。
「仙人とか呼ばれている割には、隙だらけだぜ?」
声はまだ少年のものだった。
「舟の櫂とはね・・・武蔵かよ」
「俺が武蔵なら、あんたの首はもう胴体から離れてるだろ」
その言い草に、仙人はくすりと笑うと右手を軽く上げた。
次の瞬間、突き出されていた櫂ごと放り投げられた少年が、木の下に落下していた。
「気配の消し方と剣筋はまあまあだな。だが、優位であるからといって気を抜かないことだ」
木の下から少年が真っ赤な顔でにらんでいる。
だが、高さのわりに怪我一つしていないということは、身も軽いのだろう。
「俺を呼びつけた理由は、これか」
少し離れた場所に現れた昔なじみに目をやる。
悪戯を仕掛けるようなその笑顔に、仙人は苦笑して木から飛び降りた。
猫のように威嚇する少年の髪をくしゃりとかきまわす。
「強くなりたいか?」
仙人の問いに少年は目を見開き、そして無言で頷いた。
「わかった。お前を預かろう」
お題:「屋敷」、「櫂」、「仙人」で創作しましょう。 http://shindanmaker.com/138578
そもそも仙人が剣術をやってもいいのか、という突っ込みはなしの方向で。
普段俗世を離れて山にこもっているのでそう呼ばれている、いわゆる通称のようなものと思っていただければ。
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屋敷の庭は、紅葉が燃え上がるような紅で彩りを添えていた。
その紅に紛れて、人の背丈の倍はあろうかという高さの枝に、青年が一人座り込み空を見上げていた。
太い幹に背を預け、風に伸ばし放題の髪を遊ばせている。
昔なじみの招きで訪問したものの、普段山で暮らしている身にはどうにも居心地が悪くて、雲隠れを決め込んでいるのだ。
その首筋に、船の櫂がぴたりと当てられた。
「仙人とか呼ばれている割には、隙だらけだぜ?」
声はまだ少年のものだった。
「舟の櫂とはね・・・武蔵かよ」
「俺が武蔵なら、あんたの首はもう胴体から離れてるだろ」
その言い草に、仙人はくすりと笑うと右手を軽く上げた。
次の瞬間、突き出されていた櫂ごと放り投げられた少年が、木の下に落下していた。
「気配の消し方と剣筋はまあまあだな。だが、優位であるからといって気を抜かないことだ」
木の下から少年が真っ赤な顔でにらんでいる。
だが、高さのわりに怪我一つしていないということは、身も軽いのだろう。
「俺を呼びつけた理由は、これか」
少し離れた場所に現れた昔なじみに目をやる。
悪戯を仕掛けるようなその笑顔に、仙人は苦笑して木から飛び降りた。
猫のように威嚇する少年の髪をくしゃりとかきまわす。
「強くなりたいか?」
仙人の問いに少年は目を見開き、そして無言で頷いた。
「わかった。お前を預かろう」
お題:「屋敷」、「櫂」、「仙人」で創作しましょう。 http://shindanmaker.com/138578
そもそも仙人が剣術をやってもいいのか、という突っ込みはなしの方向で。
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HN:
宵月楼 店主
性別:
非公開
自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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