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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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【476】

 あやかし退治は、まあ、「見える」者にとっては比較的似合いの商売なのではないかと、常々左京は思っていた。
 何ゆえかわからぬが、「見える」せいであやかしは必要以上にこちらに関わりを持とうとする。
 それは、姿を見られたことへの怒りであったり、構われたい為のちょっかいであったり、見えるために過剰な反応をする己への悪戯心であったりするのだが、見えぬ人間よりもよほどあやかしがらみの厄介は増えるものなのだ。
 それゆえ、身を守る為には往々にして封じたり、祓ったり、最悪の場合は斬ったりせねばならない。
 要は、人のためと称してすることでそれを行うことで生計とできるのであれば、無駄がない。
 一石二鳥である。
 そして、都合のいいことに、左京は侍として剣の腕を磨く環境に恵まれた。
 もっとも今は浪人であり、それゆえにこのような商売をせねばならないのだが。
 今日も、先祖伝来の刀を持ち、依頼である山に分け入っていた。
 夜も更け、星空は真珠をちりばめたように美しい。
 何故か山は静かで、人に害をなすあやかしがいるときの胸騒ぎはまるで感じられない。
 こんな時は、あやかしがいないか、もしくは害をなすものではない可能性が高いと、経験が教えてくれる。
 しかし、依頼は退治であるし、前金ももらっている。
 依頼人の納得を得ねば、今後の商売に差し支える。
「さて、どうしたものか」
 左京の声は、台詞のわりにはのどかに夜気に溶けた。

お題: 「星空」、「真珠」、「侍」で創作しましょう。 http://shindanmaker.com/138578


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月見酒 HOME 掌編未満 10/1

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