宵月楼-しょうげつろう-
あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。
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【605】
街道を進む嫁入り道中は、隣の国から姫様が嫁いで来たのだという。
お琴は、その行列を山から見ながら、少し唇を尖らせた。
「おかしらぁ、お嫁さんなんか見えねえよ!おっさんばっかりじゃないか!」
短い着物のお琴は、木に登って手を目の上にかざしている。
その姿はまるで猿だか、花嫁道中の噂を聞きつけてどうしても見たいと駄々をこねたあたりは一応女だったのだな、とぼんやりと考えていた九郎は、その言葉に苦笑した。
「当たり前だろう。姫だぞ、姫。護衛ががっちりで見えるわけねえじゃねえか」
「えーっ!?」
「それに隣国から来るんだぞ。花嫁衣裳を着て移動するわけじゃねえよ。城に入ってからだろ」
お琴は何事か考えるようにきゅっと眉をひそめた。
そして、するすると木から下りると、九郎の着物を捕まえて上目遣いに見上げた。
嫌な予感がした。
この娘を赤ん坊の時に拾ってから、そのまなざしに勝てたためしがないのだ。
「・・・・・・なんだよ」
「・・・みたい」
「あ?」
「それ!その花嫁衣裳着たとこ!見たい!」
「馬鹿野郎!城ん中だぞ!」
「忍びだったらなんとかなる!お頭、凄腕だし!あたしも修行がんばってるし!」
「なるか!」
しかし、放っておくとこの暴走娘は一人で突っ走りかねない。
首根っこを捕まえて、九郎は深いため息をついた。
「わかったよ。仕方ねえなあ」
十五も年下の娘に情けない。
「ありがとう!お頭、大好き!」
だが、そう言って太陽のような笑顔を向けるお琴を見ていると、まあいいかと何故か思ってしまうのだった。
お題:「街道」、「琴」、「嫁」で創作しましょう。 http://shindanmaker.com/138578
お頭、三十歳。
お琴、十五歳。
くらいのつもりで。
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街道を進む嫁入り道中は、隣の国から姫様が嫁いで来たのだという。
お琴は、その行列を山から見ながら、少し唇を尖らせた。
「おかしらぁ、お嫁さんなんか見えねえよ!おっさんばっかりじゃないか!」
短い着物のお琴は、木に登って手を目の上にかざしている。
その姿はまるで猿だか、花嫁道中の噂を聞きつけてどうしても見たいと駄々をこねたあたりは一応女だったのだな、とぼんやりと考えていた九郎は、その言葉に苦笑した。
「当たり前だろう。姫だぞ、姫。護衛ががっちりで見えるわけねえじゃねえか」
「えーっ!?」
「それに隣国から来るんだぞ。花嫁衣裳を着て移動するわけじゃねえよ。城に入ってからだろ」
お琴は何事か考えるようにきゅっと眉をひそめた。
そして、するすると木から下りると、九郎の着物を捕まえて上目遣いに見上げた。
嫌な予感がした。
この娘を赤ん坊の時に拾ってから、そのまなざしに勝てたためしがないのだ。
「・・・・・・なんだよ」
「・・・みたい」
「あ?」
「それ!その花嫁衣裳着たとこ!見たい!」
「馬鹿野郎!城ん中だぞ!」
「忍びだったらなんとかなる!お頭、凄腕だし!あたしも修行がんばってるし!」
「なるか!」
しかし、放っておくとこの暴走娘は一人で突っ走りかねない。
首根っこを捕まえて、九郎は深いため息をついた。
「わかったよ。仕方ねえなあ」
十五も年下の娘に情けない。
「ありがとう!お頭、大好き!」
だが、そう言って太陽のような笑顔を向けるお琴を見ていると、まあいいかと何故か思ってしまうのだった。
お題:「街道」、「琴」、「嫁」で創作しましょう。 http://shindanmaker.com/138578
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HN:
宵月楼 店主
性別:
非公開
自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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