宵月楼-しょうげつろう-
あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。
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デリケートなことに向き合うと語る言葉を失う僕は卑怯ものでしょうか。いくつもいくつも自分本意の慰めや励ましで人を傷つけたから、僕の中にはもう語る言葉はないのです。だからそっと祈っています。あなたが笑顔でいられますように。今は無理でも、いつかは。きっと。
【1139】
たとえ身の内に激しい情熱や、憤りや、悲しみがあるとしても、穏やかな文章を綴ることができる。そんな人になりたい。
【1140】
親しくても、言葉の刃は痛いんだよ。乱暴な言い方が通じるだろうって、甘えてないかい?放った言葉が刃になってる自覚があるなら、その刃が関係を切り刻む覚悟もするべきだよ。刃を突きつけられて、好意なんて感じる余裕が持てると思うかい?
【1141】
例えば、君の中の僕がとるに足らないものになっていた時の絶望。
【1142】
くっついて、離れて。
僕らはおはじきのように。
ベーゴマのように。
弾きあって、止まって、寄り添って、押し退けあって。
時々傷だらけになるけど、やっぱりここに戻ってくるんだ。
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赤いフードの赤ずきん。青いスカートのアリス。白い肌の白雪姫。あなたは誰がお気に入り?赤ずきんになりたいならその髪に深紅のバラの花冠を。アリスがいいなら青いドレスで全身を飾り、白雪姫に憧れるなら抜けるような白い肌をさしあげましょう。代価はあなた自身で如何?
【1134】 はじかれる
僕の世界には当たり前のように君がいて、でも君の世界には僕は全然必要なくて。はじかれた僕はただガラス玉の瞳で君をそっと見つめるんだ。君の世界の外から、僕のいない完成された世界をただ見つめるんだ。
【1135】 流れ
流れる川に願いを落として、もう手の届かない場所へ行ってしまえば、空虚な安心感を手に入れることができるのだろうか。それとも僕自身がどこまでも流されてしまえばいい?君のいないところまで。誰も手の届かない場所まで。
【1136】 もさもささん
もさもささんは朝の涼しいうちに僕の家の庭を通る。僕は運良く網戸だったらもさもささんを脅かさないように「おはよう」って声をかける。もさもささんは無口だから、黙って僕を見てそのもさもさの尻尾をふわんふわん揺らした後、ゆっくりと去っていくんだ。
【1137】 じょきん
一方通行の想いを、ハサミでじょきんと切ってみた。ばらりと解れた関係が地面に落ちた。今度は別の想いを切った。じょきん、じょきん。ばらり、ばらり。残骸が落ちる度に僕が欠けてゆく。最後に僕は薄っぺらい紙のようになった自分をじょきんと切った。それでおしまい。
お題:今日の書き出し/締めの一文 【 一方通行の想いを、ハサミでじょきんと切ってみた 】 http://t.co/a8HWCWxj
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その翼では、もう飛べはしないだろう?
小さな雀の子に私はそう諭した。
「私の幹のうろに住まう限り、私はお前を守ってやろうよ」
雀は泣きはらした目で私を見る。
「こんな立派な木に住んでいいの?」
「私ももうそう長くはない。お前が歌ってくれれば寂しくないのだがね」
【1129】 紗綾
今日はずっと雨。
紗綾は鳥居の上で空を見上げる。
梅雨は明け、夏が来る。
梅雨の晴れ間を教えるあやかしはそろそろ眠りにつく季節。
「今年もお疲れ様」
神社の狐がそういうと紗綾は頷いて、ぽん、と跳んだ。
「明日はきっと晴れるよ」
最後の声と共に、また来年。
【1130】 女神の憂鬱
人の世は儚い、と呟いてため息をつく女神に、僕は苦笑した。
神にしてみれば確かに儚いであろうが、僕らには十分起伏があり充実している。
「そんなにつまらないですか?」
問うと女神は僕の頭をそっと撫でた。
「たった何十年かでお前が消えると思うと、愚痴りたくもなる」
お題今日の書き出し/締めの一文 【 人の世は儚い、と呟いてため息をつく 】 http://t.co/a8HWCWxj
【1131】 魅入られる
刀に魅入られてはいけないと幾度も注意されていた。
だけどそれは無理というものだろう。
我の影のようにこれは存在している。
今では互いがなければ生きてはいけぬ。
「お嬢、なに考えてんだ?」
「我の唯一の失策はこのロクデナシに惚れたことよの」
「後悔はさせねえよ」
お題:今日の書き出し/締めの一文 【 刀に魅入られてはいけない 】 http://t.co/xa0YiAVQ
【1132】 水まんじゅう
小豆洗いのこの夏のイチオシは水まんじゅうだという。確かに半透明のぷるんとした皮にほどよい甘さのあんがくるまれている様はとても涼しげでうまそうだ。ウグイスあんや白あんなど色を変えて目にも楽しい。なにより、楽しげにその説明をする小豆洗いが微笑ましいのだ。
土用の丑の日ですね。
高いのでうなぎは食べられません。気力で夏を生き抜きますw
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腕の中で冷えていくあなたを引き留める方法を、ずっと考えていた。
動けないままあなたが僕の届かないところへ行こうとするのを見つめて、僕は一日を無駄にした。
やがて空になった頭に素敵な方法が思い浮かぶ。
僕があなたについていけばいいんだ。
そして僕らは永遠を手に入れた。
お題:僕は一日を無駄にした
【1124】 僕へ
遠くから眺めるだけの方がまだましだったかも知れない。
僕は今、君の隣で笑ってる。
君があいつを見るその視線を視界に入れないようにしながら。
君の恋を応援するふりをしながら。
だから今はこらえろ。
家に帰ったら頭からシャワーを浴びて、馬鹿みたいに泣かせてやるから。
歌をお題にいただいて。
【1125】 桃
駆け落ちをして、小屋のような粗末な家に暮らしはじめて半年。その人はまるで親戚でも訪れるようにふらりと現れた。「兄上!」妻の声に穏やかに笑ってその頭を幼子にするように撫で、懐紙を取り出して桃をころりと二つ置いた。「妹を頼む」この人はきっとそれだけ言いに来たのだ。
お題:今日のお題 「小屋」 「懐紙」 「桃」 http://t.co/ok4WXYjz
【1126】 鬼ごっこ
「もういいかい」
夕焼けの下で、君を探して僕は言う。
クスクス笑う君の声に振り返っても、そこには夕日に焼けた僕の影だけが長くのびて、誰もいない。
ねえ、どこに行っちゃったの?
僕はあの日からずっと君を見つけられずに、いつまでたっても鬼のままだよ。
歌をお題にいただいて。
【1127】 殺し屋
左手が殺し屋を始めた。
鮮やかな手つきで標的を葬り去る。
僕自身には迷惑をかけないと言わんばかりに、返り血も浴びず、証拠も残さず、ただ標的が死ぬ瞬間を見せられることだけが苦痛だったがそれも知らない人間ばかりですぐ慣れた。
でも、次の標的が君だったなんて。
書き出しをお借りして
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今日こそは。そう決心してお店のドアを開ける。
「いらっしゃいませ」
色とりどりの花に囲まれて微笑む貴方に頭がぼうっとするわ。
「贈り物ですか?」
「あ、あの」
「はい?」
花を選びながらお話に持ち込むのよ。
でもダメ。気づいたら貴方の袖をつかんでた。
「貴方を下さい!」
歌をお借りして。
【1119】 トケイソウ
君との出会いを待ちわびて待つ時間は、僕には何の意味も無い。君と会える間だけ、僕は時を刻みたい。だから針はそれまで止めておくよ。 (時計草)
企画「花と植物は私」
【1120】 オシロイバナ
色づいた頬を隠すために、秋には白粉を用意しましょう。今はまだ、染まっている頬にも気づかずに、ただまっすぐにあなたを見つめる瞳。 (オシロイバナ)
企画「花と植物は私」
【1121】 その先
「ねえ、全部終わらせるのが望み?」
僕は君に問いかける。
全部消して終わらせたってそれは再始動(リセット)できる訳じゃない。
終わってしまえば先はないんだ。
でもね、終わらせなければ何かが起きるかもしれないよ。
なにも感じなかった君が、今一筋涙を流したように。
【1122】 忘れ形見
「じさま。これは何?」
親無しの茜は昔お侍だったという近所のじさまが大好きだ。
皆は怖いというが、じさまは嘘は言わぬのだ。
「それは簪じゃ」
「かんざし?」
「もう持ち主がおらぬ。大人になったらやろうよ」
大きな節ばった手が茜の小さな頭を撫でた。
お題:時代物でおじいさんと幼子のお話ください。
あほっぽい四神ウケたでしょうか(^^;)
熱中症にはくれぐれもお気をつけて。
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