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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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空想横丁(http://shindanmaker.com/277254)より

【女神の小指】はケローネ通りにある『腕飾り屋』。
鉄製の看板が目印で「夜だけ出す秘密の品がある」と評判のようだ。
お隣は『地図屋』です。

この設定を元に、ツイッターでぽつぽつと落としてみた短文です。


ケローネ通りにある腕飾り屋【女神の小指】を知っていますか?
名前とは裏腹の武骨な鉄製の看板が目印で、店主は背中にコウモリの羽を生やした女の子。
昼と夜では雰囲気が全然違うらしいですよ?
夜だけ出す秘密の品があるとか無いとか。
僕は行ったこと無いですけどね。


腕飾りはいかが?
黒い翼の少女が笑う。
細い環から、宝石をちりばめた細工物まで、様々なものを揃えています。
どれもあなたを魅力的に見せることをお約束します。
でも、一番は夜にだけ売る特別な飾り。
それをつけた腕を相手に絡めれば、きっと相手はあなたの虜。


夜は秘密を抱き締める時間。
腕飾り屋【女神の小指】は壁の蝋燭に火を灯す。
揺らめく炎が作り出す影の中、黒い翼を持つ少女は猫のように笑う。
今日の客は二十代の女性。
詳しい事情は聞かない。
そっと彼女の腕に少女が触れると、妖しい光が指先に現れた。
指が腕を這うと光の軌跡が残る。
それは腕に絡まるツタの模様。
それを少女はほとんど指を止めずに書き上げた。
ツタはぼんやりと薄暗い店の中で輝いていたが、やがてゆっくり消えていった。
後には白い女性の腕だけが残る。
「はい、おしまい」
少女の声に女性は顔をあげた。
「これで終わりなの?」
「そう。これであなたが腕を絡めれば彼を捕まえられる」
代価を受けとる少女は囁いた。
「期限は次の満月。それまでに腕のツタを彼の心に巻き付けてしまいなさい」
足早に去る女性の背中を見送ってついたため息を、猫の目のような三日月だけが聞いていた。


いつも来てくれてありがとうございます。
拍手、コメントなどとてもうれしいです。

空想横丁はいろいろなお店を開けるので、とても楽しいです。
対抗して、あやかしキャラ作成を作ったので、明日はそれを載せてみようかなw

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空想横丁(http://shindanmaker.com/277254)より

【世界樹の一葉】は、リュンクス通りにある古本屋。ドアに埋め込まれたステンドグラスが目印で、「商品がどれも良質だ」と評判のようだ。ただし、少々高額。主人は無愛想だが、本当に客が求める本をよくわかっている。噂によると本の気持ちがわかるらしい。

この設定を元に、ツイッターでぽつぽつと落としてみた短文です。



「【世界樹の一葉】という店は別にやりたくて始めた訳じゃないんだ」と主人は黒い小さな丸眼鏡をくいっと押し上げて苦笑する。「知らない間に本にまとわり付かれるものだから、しまう場所がほしかったんだよ」しかしその膨大な数は、何年かけて集まったのだろうか。


柔らかく緩やかに波打つ長い栗色の髪と白い肌。黒眼鏡の奥に隠した瞳は薄い蒼。年の頃は二十代くらいに見えるが、落ち着きと、底の見えない微笑みが年齢不詳にしている。店が出来た時から年を取っていないように見えるのはどうしてだろう?


世界樹の一葉】が閉店すると、主人は内側から扉のステンドグラスにカーテンを引く。すると暗めの店内のそこここにぽわりと小さな灯りが浮かび始める。壁一面の、そして店内のありとあらゆる本棚から、ぽわり、ぽわり。そして淡い光たちはやがて口々に喋り始めるのだ。


主人は黒眼鏡を外すと、ひとつひとつに耳を傾ける。古い本は好みがうるさい。やはりどの本も最初の持ち主に思い入れがあって、どうしても選り好みをしがちなのだ。「大丈夫だよ。私がいい持ち主を見つけてあげるからね」彼の穏やかな声に本の心たちは嬉しそうに踊った。


「こんにちは」翼猫のカタンはステンドグラスのはまったドアをゆっくりと押し開けた。インクと紙の匂い。なにかが息を潜めているかのような緊張感。そして店の奥では年齢不詳の黒眼鏡の青年が微笑む。「やあ、ちょうど君にあげたい本があったんだ」


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お化けカボチャが主の部屋を占拠したのち窓から壁を伝って店の方に侵入するに至って、使い魔である翼猫のカタンは撤去することを諦めた。
この時期、お化けカボチャの蔓はそのケタケタ笑う実を支えるためにとても丈夫になり、引きちぎったりするのはとても無理なのだ。
天気は当分いいとのことなので、カタンはまず窓を閉めるのを諦めた。
次にお化けカボチャに飾りをつけた。
小さなとんがり帽や蝶ネクタイを着けたお化けカボチャは思ったよりも可愛く見映えがする。
「これはやっぱりお菓子が必要ですね」
幸い、材料は腐るほどある。
ほどよく熟れたカボチャは、笑い疲れたように目を閉じて静かにころんと蔓から外れるのだが、もうそれが十個ほど貯まっていた。
それを使ってクッキーやケーキを作る。
「お菓子か、悪戯か!」
叫びながら町をまわる子供たちに、ケタケタ笑うクッキーは大ウケだった。
「今まで酒屋なんて来たこと無かったけど、面白いね!」
最初にそう話しかけてきたのは、栗色の髪の少女だった。
商売柄、大人なら覚えているが、子供はあまり顔馴染みじゃない。
カタンはついいつものくせで礼儀正しくお辞儀をすると微笑んだ。
「いらっしゃいませ」
「やだ。あたしたちお客さんじゃないよ」
少女が笑う。
馬鹿にしているわけじゃなく、大人扱いの挨拶に照れたのを隠すようなくすぐったそうな笑い。
カタンは少しばつが悪そうに笑みを浮かべた。
「そう・・・だね。来てくれてありがとう。紅茶でもどう?」
「いいの?」
頷いてカタンは少女を店の窓際に配した小さなテーブルに案内した。
ケタケタ笑って出迎えるお化けカボチャに目を丸くする少女に椅子を勧める。
扉は開け放ち、窓だけでなく扉からも店内が見えるようにしておいた。
案の定、興味を引かれた子供たちが、最初はおずおずと、そしてだんだん好奇心いっぱいの顔をして店に入ってくる。
優しい紅茶の香りを漂わせて、カタンは微笑んだ。
「お化けカボチャがある間は、この店は子供優先だよ」
主のにやにや笑いが頭をかすめた。
「どうぞ」
「ありがとう」
少女はうれしそうに笑った。
「あ、まだ言ってなかった。私はアベリア。よろしくね・・・えっと」
「僕はカタン。この店の主の使い魔だよ」
「よろしくね、カタン」
花の名前の少女は、使い魔だと聞いてもまるで変わらない笑顔でそう言った。



この前の「お化けカボチャと翼猫」の続きっぽいもの、です。
カタンに同じ年頃の友達を作ってあげたい気がしたので、主の計らいにカタンがどうするか書いてみました。
・・・恋愛物は苦手です(^^;)。


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「主!ヘキジュ様!なんです、これは!」
翼猫のカタンは尻尾を膨らませて、主たるヘキジュの部屋の扉を開けた。
「おう、カタン。すまんな」
寝台の上で胡座をかいて、ヘキジュはへらりと笑った。
その周りには蔓がうねうねと伸び、そこかしこでケタケタ笑うものがある。
「お化けカボチャに手を出しましたね?」
そういうカタンの手にもカボチャの実がひとつ乗っている。
カボチャは仲間を見つけて嬉しいのか、ケタケタ笑った。
それを殴って黙らせて、ヘキジュを睨み付ける。
「プランター向きに改良したって聞いてなあ」
「どう見たって店を乗っ取られる勢いじゃないですか!このカボチャも店の裏口になってたんですよ?なんだってまたお化けカボチャに手を出したりしたんです?」
お化けカボチャの特徴は笑うことと子供のおもちゃになること。
酒屋の足しになりそうにはとても思えない。
「だってなあ」
ヘキジュはへらりと笑ってカボチャを手に取った。
「子供が遊びに来たら、お前も同じ年頃の顔馴染みが増えるだろ?」
「・・・へ?」
カタンは一瞬意味を取り損ね、間抜けな声を出してヘキジュを見返した。
「ずっと店番任せっきりだろう。休みやるっつっても聞かねえしなあ」
つまり主は使い魔たる自分に、子供らしく遊べと言っているのだろうか?
そこまで考えてカタンは思わず手にしていたカボチャを思いきりヘキジュに投げつけた。
「僕は使い魔なんですよ!」
カボチャは見事にヘキジュの頭にぶち当たる。
「おまっ・・・主に鈍器を投げつけといて」
「うるさいですよ!子供扱いはごめんです!全部商売の足しにしますからね!お化けカボチャがなってる間は酒屋は休業です!お菓子とおもちゃと子供でいっぱいにしてやります!」
捨て台詞を吐いて駆けていく足音を聞きながら、ヘキジュはカボチャと一緒にケタケタ笑った。
とっさにきびすを返して隠した顔が真っ赤になっているのに気づいていたことは、黙っててやろうと思った。
「お菓子か、いたずらか?・・・両方に決まってるじゃねえか。なあ」


【あとがき】

一足早いハロウィンです。まだ月末までに書くかもしれませんが。
これは、診断メーカーの「空想横丁」(http://shindanmaker.com/277254)の診断結果をもとにして書いたものです。

「エキドネ通りにある『酒屋』。銀板の看板が目印で「当たり外れが多い」と評判のようだ。お隣は『籠屋』です。」

店の名は【ドラシネの酒屋】
主人のヘキジュとその使い魔である翼猫のカタンがやっている小さな店です。酒を仕入れに飛び回るヘキジュの代わりに、カタンが猫耳尻尾の少年の姿で店番しています。

ただその世界にハロウィンがあるかはなぞなので、カボチャ祭りというか、実際にケタケタ笑うカボチャとお菓子をもらって歩く祭りをイメージして書きました。
楽しんでいただけたらうれしいです。


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冬がくる前に色んな色の糸を紡いで、手袋や毛糸の帽子やマフラーを編んでおかないと。
秋になると桔梗さんは忙しい。
木枯らしが吹く頃には、山の木の実やキノコを持って狐や狸や木霊の子が桔梗さんの家に冬支度を整えに来るのだから。
桔梗さんはそれを楽しみに、編み物を始める。

桔梗さんの指は魔法の指なのだ。何からでも糸を紡ぎ出すことができる。
毛糸から絹のような細いものまで自由自在だ。
縫うもの、編むもの、織るもの。
用途によって太さや柔らかさを変えて糸を紡ぎ、色々なものを作り出す。
自然の糸を使うと体にも心にも優しいものが出来上がる。

風が涼しくなると、桔梗さんはかぎ針を引っ張り出す。
夏の間は毛糸を扱うのは大変。
だから、秋に入るのを見計らって編み物を始めるのが毎年の習慣なのだ。
今年は何を編もうか。
そう考えながら桔梗さんは散歩に出る。
そして空や色づき始めた葉っぱからするすると毛糸を紡ぎ出した。


ツイッターでぽつぽつと書いた童話風なお話。
オチはない(^^;)
指で触れると糸になる設定は胡桃ちのさんの漫画よりお借りしちゃいました。すみません。


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HN:
宵月楼 店主
性別:
非公開
自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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