宵月楼-しょうげつろう-
あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。
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暑かろうとも風吹こうとも浴衣は乙女の心意気
男の浴衣も悪くはないが背筋を伸ばしてしゃんとしろ
君の欠片を夏に溶かして、僕は一人で秋に行く
君にほんとのことを話して、嫌われちゃうのが怖いんだ
いてもいいよの一言だけで孤独がしゅわりと溶けて行く
最近少し文章をさぼり気味(^^;;;)
暑いのと忙しいので余裕が無いなあと思います。
がんばりますw
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【あける左手】
浴衣姿のお前は、着慣れないのか動きがぎこちない。
「大丈夫か?」
祭りの人混みに足元が危うくて支えようにも、右手にたこ焼き、左手に焼きそば。
ええい、仕方ない!
「これ、やるよ」
通りすがる子供に焼きそばを押し付けて、空いた左手をお前に伸ばす。
歌をお借りして。
【ため息】
ソーダ水を注げば、コップの底から泡がのぼってくるはずだった。
でも透明なグラスにのぼってきたのは小さなため息で。
氷の中に注いで冷えた想いを、一気に飲み干して忘れてしまおう。
僕の口からも、小さなため息。
書き出しをお借りして。
【涙雨】
君とすれ違い、最後の会話を終えたあと、喫茶店のドアを開けて一人熱気の中へ体を放り出す。
乾いた心はぼんやりと欠けた部分をなぞっているが、あまり感情は動かない。
もうずっとわかっていたことだから、ただそれを確認するだけで。
代わりに、ああ、雨の匂いがする。
お題:今日の書き出し/締めの一文 【 雨の匂いがする 】 http://t.co/xa0YiAVQ
【空】
「空を見せて」と言った君は窓もない部屋で一人きり。
僕はありったけのクレヨンで壁に窓を描いて、一面空色で塗った。
「これが空?」
頷く僕に嬉しそうに笑う君。
そうだよ。これは君だけの青い空。
この破壊された地上に残された、たった一人の人類の為の空。
書き出しをお借りして。
この中の「僕」は人間ではありません。
【降参】
それは安っぽいおもちゃの指輪だった。
たったそれだけの幼い約束をすっかり忘れていた僕を、君は蹴飛ばしにやってきた。
「もう小指にしかはまんないよ」と笑う君に、僕は「今度はおもちゃじゃないから」って、諸手を上げて言ったんだ。
お題:今日の書き出し/締めの一文 【 それは安っぽいおもちゃの指輪だった 】 http://t.co/xa0YiAVQ
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【九夜月(くやづき)】
「何をしている?九夜月(くやづき)」
俺の声に振り返ったのは、黒い毛並みに金の瞳の猫。
少し睨むような目付きのせいで、金の瞳は上弦よりもやや満ちた、まさに九夜の月のよう。
真ん丸に満ちることのない瞳のせいでいつも損をしているこの猫が俺は妙に気に入っていた。
「お主は変わっておるな」
九夜月はそういうと、もそもそと俺の膝にのぼって丸くなった。
「特に強くもない猫又を望んで僕(しもべ)にする術者など聞いたこともない」
「そうか?まあ、お前が嫌ならいつでも契約解除していいんだぜ?それまでは暇潰しと思って一緒にいろよ」
「・・・ふん」
九夜月は力がないと言うが、猫又としてそれなりの能力は持っている。
人に化けるのも、能力を使うのも、自分のためにはしないだけだ。
過去に何かあったらしく、自ら封じているのだ。
しかし、その理由を誰にも明かさない。
そういうところも周りに敬遠される原因なのだろう。
「まあ、気楽に行こうぜ。俺だって下っぱの雇われ術師だしな」
「ふん、よう言うわ」
口ではそう言いつつも、九夜月は俺の膝の上で寝息をたて始めた。
心を開けとは言わない。
安心してくれる。それだけで妙に嬉しい気がして、俺は笑った。
もちろん、そのあと足がしびれて悶絶したわけだが。
【散る】
わかっていたんだ。君がいなくなることは。
儚い笑顔で春風と共に現れて、言葉を交わして、いつしか君を無意識に探すようになるまでたった二週間。
桜吹雪のなかで頭を下げた君に手を伸ばしたけれど、残ったのは握りしめた拳の中に、薄紅の欠片がひとつ。
お題:今日の書き出し/締めの一文 【 握りしめた拳の中に、薄紅の欠片がひとつ 】 http://shindanmaker.com/231854
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赤い瞳がまるで鋭利な刃物のように俺を貫いた。
純粋な敵意に満ちた瞳。
「殺してやる」
血を吐くような呟き。
額に角が生え、爪が鋭くなり、牙が見え隠れする。
「お前にはその権利がある。全力で来るがいい」
お前の一族を滅ぼした仇として俺はこの殺意を受け止めよう。
お題:今日の書き出し/締めの一文 【 赤い瞳がまるで鋭利な刃物のように俺を貫いた 】 http://t.co/xa0YiAVQ
【1144】 井戸の中
「若殿様、お薬は飲まれましたか」
屋敷の隅の古い井戸にはあやかしが住んでいる。
病弱で一人臥せっていた私は、いつしか彼女と親しくなっていた。
「月乃はいつも私を気にかけるのだね」
「月乃を気にかけてくださるからですよ」
そう言う彼女の淡い笑みが私は好きだった。
お題:今日のお題 「井戸」 「薬」 「若殿」 http://t.co/AMef1Qc2
【1145】 なくした記憶
大切にしまって置いた記憶がない。
机を探しても、タンスを探しても、どこにもない。
僕は途方にくれて上を見た。
「あ」
天井を走って記憶を持った小鬼が逃げる。
「ちょっと待て!」
それは大切な・・・あれ?本当に大切なものだっけ?何の記憶だったかな・・・。
書き出しをお借りして。
【1146】 達磨
「切腹ね」
俺は残された上意書を横目で見た。
たかだか江戸家老の息子を痛めつけただけで何でこうなるかね。
「どうすんだ、お前」
呆れ顔の兄に俺はニヤリと笑った。
「家出て剣客にでもなるわ」
「じゃあ、これ持ってけ」
投げられた達磨の根付は俺を見るとため息をついた。
「この兄弟ときたら、先祖と違っていい加減に過ぎる」
達磨は目をぎょろりとさせてそう愚痴る。
「兄貴、これ」
「家宝だ。売るなよ」
「ああ・・・じゃなくて!」
「ちょっと煩いが、役に立つ」
ちょっとどころじゃないのは、幼い頃からの付き合いで身に染みているんだが。
「そもそも切腹の命が出ているのに逃げるとは何事」
「まあそう言うな。こいつの素行の悪さは噂になっているし、次男が行方をくらませても家がつぶれることはなかろうよ。諸国を見るのも修行になるしな。あんたがついていきゃ変なあやかしに襲われることもなかろう?」
「まあ、よかろう」
達磨は重々しく頷くと目を閉じ、根付に戻った。
「お前は美味そうなんだから、用心に越したことはないだろう?」
心遣いはありがたい。
俺はあやかしに好かれる質なのだ。食料として。
それにこれが永の別れになるかもしれない。無下にはできなかった。
お題:今日のお題 「切腹」 「根付」 「剣客」 http://t.co/AMef1Qc2
【1147】 犬妖
「雷が来まする」
不意に庭で声がした。
「雷雨でございまする」
その声と気配にただならぬものを感じて、俺は小太刀を手にすると縁側へ出る。
庭には茶色い犬が座っており、黒い瞳で俺を見ると尻尾をぱたりと振った。
「一夜の宿をお貸し願いたい」
そして律儀に頭を下げた。
今日のお題 「雷」 「小太刀」 「犬」 http://t.co/AMef1Qc2
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じょきんじょきんと儚き絆(モノ)を切っては捨てる非情人(ビト)
口に含んだ炭酸水に 涙浮かべて君が笑む
夏になったら会えるよという 君の微笑み 盂蘭盆会(うらぼんえ)
僕のすべてをあげてもいいが 飽きられそうで怖いんだ
遮る術ない 苛烈な陽射しに 抗えもせず 溶けていく
人の縁など繋いで切れて 永遠なんてありはせぬ
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