宵月楼－しょうげつろう－

【186】

図書館が深夜、どうなっているか知ってる？
みんな本の中から出てきて、思い思いに過ごすんだ。
夏の宵は少し浮かれるから、管理人にとっては大変。
愛されるのも結構ストレスたまるのか、わがままになっちゃって。
え、西瓜が食べたいって？
ダメだよ。紙に染みができちゃうでしょ。

お題：
「深夜の図書館」で登場人物が「愛される」、「西瓜」という単語を使ったお話を考えて下さい。 http://shindanmaker.com/28927

【187】

霧の中で誰かにぶつかった。
柔らかな感触で女だと知れる。
だが、相手は慌てて立ち上がり、何も言わずに走り去った。
おいおい、挨拶もなしか？
俺は仕方ないなとため息をついて立ち上がり、一歩踏み出して何かを踏んだことに気付いた。
拾い上げればそれは麒麟の彫り込まれた櫛。
砂をはらえば、相当いいものだとわかる。
そして、花の残り香がふわりと立ち上った。
珍しい細工だから、案外、容易に持ち主が見つかるかもしれない。
俺は、それをそっと懐へしまった。
我知らず、笑みが浮かんでいた。

お題：
「霧」、「櫛」、「麒麟」で創作しましょう。 http://shindanmaker.com/138578
１ツイートじゃ足りなかったので、追記。


参加しています。もしよろしければクリックお願いします。

にほんブログ村

[0回]