宵月楼－しょうげつろう－

【178】

月無しの　闇に紛れてこの想い　貴女に伝えよ　初夏（はつなつ）の風

【179】

宵闇に夏の風。
胸のざわめきを映すように髪を乱す。
ふと身を包んだ花の香に貴女を思い出して、切なさが胸を締め付ける。
貴女の傍にこの身を置いて、指先を頬に添えて、その瞳を覗き込みたい。
だがここに貴女は居らず、心の飢えを表すように、閉じた扇が硬く乾いた音を立てた。

上記二編は、友達の描いたがくぽを見て、書いたものです。
色気があって、でも静かな表情で、少し寂しげで。
そういう表情を描けるのって、すごく尊敬します。
どんなに言葉を重ねても、その切なさが表現できない気がします。

【180】

「あと１分」
真剣な顔で君は柱の上の時計を見つめている。
もう夕方なのにここに居座ってるのは、時報代わりに音楽を鳴らす時計のせいだ。
ぱちんと音をたてて長針が１２を指し音楽が流れると、隣の柵の中で狼たちが一斉に遠吠えを始めた。
それを君は目を閉じ、微笑んで聞くのだ。

お題：
「夕方の動物園」で登場人物が「見つめる」、「時計」という単語を使ったお話を考えて下さい。 http://shindanmaker.com/28927
実話ですね（＾＾）。
名古屋の東山動物園の狼たちは、すぐそばの時計の音楽で遠吠えしてくれます。
だからつい、時間を合わせて行ってしまうんですよね。
狼、大好きです♪

【181】

「妖狐とはそなたか」
見下すような冷たい視線と落ち着き払った口調。
構える小太刀には清明紋の星が刻まれ、全身から眩い気を放つ。
幼くともそれはいっぱしの陰陽師の姿で、俺は我知らず感嘆していた。
殺すのは惜しい。
この鋭き刀のような娘を手に入れたい。
そう思っていた。

お題：
「星」、「小太刀」、「妖狐」で創作しましょう。 http://shindanmaker.com/138578
診断メーカーを作ってしまいました。いつもお世話になっている恋愛お題ったーは、カタカナ語、現代風の言葉が多くて（アタリマエｗ）時代物を書くのに少し困ってしまったので、それなら時代物用語ばかりで作ってしまえ！とｗ
ただ、もっと恋愛系の語彙を増やしたいですね。常時募集中ですので、ツイッターで「#jidaiodai 」をつけて呟いてくださいませ。

【182】

歌声を電子の道にのせれば、それは一瞬で世界を巡るんだ。
巡り、そして帰ってくる。
だけど、歌を空へ放てば、星の海にそれは果てしなく広がって、どこまでもどこまでも先を目指す。
戻ってこないオレの歌を、いつかオレは迎えにいく。
星の海へ。
見知らぬ誰かの所まで。
いつか。

Vocaloid（レン）ネタ。


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