宵月楼－しょうげつろう－

【183】

三味線屋は闇夜に紛れて船宿から滑り出す屋形船を見つめた。
そこに乗り込んだ商人が標的であったが、仕留めるには誘きだし、三味の糸を絡めねばならぬ。
水に入ることは苦ではないが、糸は思いの通りに飛ぶだろうか。
いや、弱気になれば己が死ぬ。
仕事人とはそういう生業なのだ。

お題：
「船宿」、「三味線」、「仕事人」で創作しましょう。 http://shindanmaker.com/138578
調子にのって「仕事人」って入れたら、速攻三味線とのコンボで返されたｗｗｗ

【184】

空気が黄昏に染まる日には、病院の一番端の部屋で子供の笑い声が聞こえるという。
楽しそうに笑うだけで、悪さはしない。
いや、入った人間をくすぐるとか、なくしたものがその部屋で出てくる、という程度だという。
「じゃあ、祓う必要はないですよ」
線の細い祓い屋は、そう言った。

お題：
「夕方の病院」で登場人物が「くすぐる」、「線」という単語を使ったお話を考えて下さい。 http://shindanmaker.com/28927
ほんとうは、「めんどくさそうに」って入れたかったんですが、字数制限に泣く泣くカット。
祓わなくていいなら、やらなくてもいいじゃん、というめんどくさがりの祓い屋もいいかな、とｗｗｗ


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