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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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【770】 悪戯狐

飛脚が一休みしようと足を止めたのは、寂れた稲荷の社だった。薄暗く、苔むした狐の像が不気味だ。と、そう思った飛脚は目を疑った。狐の目が光り、口がにたりと笑ったのだ。震えて立ちすくむ飛脚の脇を風のように少年が駆け抜けた。竹刀が狐に命中する。「痛ぇ!」狐が叫んだ。

お題:「稲荷」、「竹刀」、「飛脚」で創作しましょう。 #jidaiodai http://t.co/evQperRL

【771】 空の彼方

君は翼を持っている。遠く、遠く、どこまでも飛んでいける。高く、高く、空を舞うことができる。だからどうか、どこまでも行って。君が行けるところまで。君が目指すところまで。僕はここで、君が行く眩しい空を眺めていよう。

【772】 鎮魂

時間の流れがゆっくりすぎなのだ。我は我の本体である木を見上げた。それが我の時間であるとわかっているが、それでも人ははかなすぎて、まるで夢のように我を置いてゆく。我に愛を告げたあの男もまた然り。静かに進む彼の葬列に、我は涙の代わりに花びらを降らせた。

書き出しをお借りして。

【773】 黒猫

闇を切り取り、蛍火を嵌め込んで、黒猫を作った。
僕だけの、僕の気持ちを君に伝える黒猫を。
だけど、黒猫はするりと僕の手をすり抜けるとどこかに走っていってしまった。
蛍火の瞳だけを輝かせて、自由気ままに闇の中。
僕の揺れる思いのように居場所を定めず歩き回って、捕まえることなんてできやしない。
そうだよね。
真っ直ぐ走っていけるなら、黒猫に頼ろうなんて思わないもの。
ごめんね、と呟いたら、黒猫はそっと僕に寄り添って尻尾をくるんと足に絡めた。
一人じゃないよと言われた気がした。

自分提供の書き出しで。


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オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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