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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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【506】

満月の夜に、何処からか小川を笹舟が流れてくる。
一つ、二つと流れて来ては、くるくると踊るように気まぐれに向きを変え、まるで子犬が遊ぶように近づいたり離れたり。
忘れた頃にまた一つ。
時には葉っぱの帆を立てて、時には木の実の船頭を乗せて。
誰が流しているのだろうと流れに手を入れて一つ拾い上げてみれば、そこにはかすかに甘く香る梔子(くちなし)の花弁が乗っていた。
探しに、行ってみようか。
ふと、好奇心で胸がうずいた。

お題: 「満月」、「笹舟」、「梔子」で創作しましょう。 http://shindanmaker.com/138578
「梔子」=「くちなし」です。あまいいい香りがするんですよね。

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【505】

 船頭は、いまや飢えた狼の瞳で俺をにらみつけていた。
 いや、船頭だと思わされていただけで、この小船に二人きりになるのは仕組まれていたのだろう。
 雫の落ちる櫂を無造作に放り投げて、その男は船の隅に隠してあった刀を取り出すと鞘から引き抜く。
 正眼に構えた刀はぶれもせず、悪い足場でもぐらつかない。
 腕は良いようだ。そして、それに慢心せず、厳しい鍛錬をしているとみてとれた。
「俺を狙っていたのか。と、いうことは」
 もう二十年も前に自らの手で斬った従兄の顔が、その男に重なった。
「父の仇!覚悟!」
 俺は無言で刀を抜いた。
 奴の息子になら討たれてやってもいい。
 だが、それでも真剣に向かってくる相手に手を抜くことは出来ない。
 なぜなら、この男は己の父の存在と正義をその手で守る為に俺を殺さねばならないのだから。
 

お題:「雫」、「櫂」、「狼」で創作しましょう。 http://shindanmaker.com/138578
昨日は【はろうぃん】で、せめてかぼちゃ縛りで何か、と思っていたのですが、さすがに時代物では思い浮かばず(^^;)。
いや、時代物じゃなくても良かったんじゃ、と思ったのは夜が明けてからでした。


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【504】

 花の香の匂い袋を頼りに、面影しか覚えておらぬ人を探す。
 城下町は人が多く、匂いも雑多で、田舎育ちには目が回るような気がする。
 それでも必ず見つけると約定を交わしたからには、あきらめるわけにはいかない。
 懐から白い紙を取り出し、額にそっと当てて匂いと面影を映し、こっそりと空へ投げるとそれは白い烏に形を変えて飛び去った。
 それが人に見られれば、都合が悪いというのは知っていた。人は、己の持たぬ力を忌避する。下手をすれば、化け物と追われるかもしれない。
 それでも、手段は選ばない。
 どんな手を使っても、彼の人にたどり着く。
「待ってて」
 呟いて、烏の飛び去った方へ駆け出した。


お題:「城下町」、「匂い袋」、「烏」で創作しましょう。 http://shindanmaker.com/138578
カラスは、神の使いとか、式神とか、そっち方面のイメージが好きです。


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【503】

 夜のひとけの絶えた橋の上に、紅の着物に洗い髪をなびかせた女が現れる。
 橋の中央にぼんやりと立ちすんだまま、ただ橋の向こうに視線をさまよわせ、誰を待っているのか。
 それすらもうつろな瞳は忘れてしまったかのようで、それでも何かを待ち続けて橋の向こうに答えを探している。
 そして今夜も答えは得られないまま、そのまま朝焼けに溶けて消えていく。
 消え入る刹那、涙が一粒、その頬を伝った。 

お題:「橋の上」、「紅」、「洗い髪」で創作しましょう。 http://shindanmaker.com/138578
ちょっと切なくなってしまった。
いろいろ今大変で。
どんな精神状態でも、できればほのぼのしたもの、前向きなものを書く、というのが目標ではあるんですがね。
しゃばけシリーズの「やなりいなり」の橋姫の話に影響されたかもしれません。
あれは、切ないお話でした。
時花神の走っていく背中がね・・・。

しまった。
題名つけるの忘れてアップしてしまった・・・。


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【502】

猫の目のような細い三日月の夜。
すすきの原で、経師屋は懐から取り出した巻物をするりとほどいてみせた。
色鮮やかに描かれていたのは、鼓や笛を楽しげに奏でる小鬼たち。
それらが巻物から飛び出して、躍りながら楽を奏でる。
「さあ、宴を始めようか」
人もあやかしも入り乱れ、秋の宴が始まった。

お題: 「三日月」、「鼓」、「経師屋」で創作しましょう。 http://shindanmaker.com/138578


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オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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