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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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急に秋の気配ですね。
でもまた残暑が戻ってくるんでしょうか?


【309】

小豆洗いは甘味屋だ。
ぜんざい、ぼた餅、串団子。
他の菓子も作るが、やはり小豆を使ったものが絶品だ。
味の秘密は、澄んだ井戸水だという。
今日も吉原に注文された菓子を届けに出向けば、洗い髪を垂らした姐さんたちが小豆洗いの菓子に無邪気な子供のように微笑むのだ。

お題:、「井戸」、「ぜんざい」、「洗い髪」で創作しましょう。
http://shindanmaker.com/138578

【310】

君を手に入れたかった。
だから、花を贈ろうと思ったんだ。
赤い赤い花を君に。
きっとよく似合うよ。
囁いて贈ったのは、深紅の薔薇。
君の胸に飾れば、薔薇は花弁を散らし君を彩る。
白いドレスが深紅に染まる。
さあ、きれいなその寝顔を僕だけに見せて。
これで永遠に君は僕のもの。

お題:「赤い赤い花を君に」

【311】

「キミが」
ぎこちない声が長く使ってなかった発声機関からこぼれる。
かすれを調整しもう一度口を開く。
「きみが」
言葉には意味がある。
意味を表すために抑揚をつけることを思い出す。
「君が」
やっと人間に近い発声ができたと判断して彼は言葉を続けた。
「私を目覚めさせたのか」

お題:「きみが、キミが、君が、」
ちょっと順番を入れ替えちゃいました。


【312】

「一緒にいたかっただけなのです」
雪女は自分の溶ける指先を見つめながら呟いた。
雫がまるで涙のように哀しく微笑む頬を伝う。
そして次の瞬間、まるで蒸発するように一瞬で体はかき消えた。
「待て!」
「さよなら」
少しだけ湿気を増した室内に微かな声がした。それで終わりだった。

お題:「一緒にいたかった」

【313】

好きなもの。
甘いもの。
昼寝にぴったりの日だまり。
息を飲むほどきれいな風景。
満天の星空。
赤く染まった月。
乱舞する蛍。
雪のように降る桜の花弁。
少し悲しげな三味の音。
雪が降る前の冬の冷たい空気の匂い。
何でもない振りをしていても僕を好きって染まった頬が語ってる素直な君。

お題:「何でもない振りをして」

【314】

僕の歩幅と五歳児の歩幅じゃ当然違いすぎるから、妹分の龍の娘は涙目になりながらも追いつこうと必死になる。
僕はその弱音を吐かない強さが好きで、つい「急がなくていいよ」って言葉を飲み込んでしまう。
だから、いつも意地悪だって責められるんだけど、やめられないんだよね。

お題:「急がなくていいよ」

【315】

君を愛してる。
囁くと、君は照れてそっぽを向く。
真っ赤な顔でちょっと口を尖らせて、そんな恥ずかしいことよく言えるねって呟く。
じゃあ、言うのやめようか。
言うよりもわかりやすい方法があるよね。
だから、しよ?
いっぱいキスを。
愛してるって一万回言うよりも伝わるでしょ?

お題:「だから、しよ?」


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【302】

顔を寄せるとふわりと白粉の匂いがした。
「ねえ、裏口からこっそり逃がしてくれる?」
内緒話をするように耳元で囁けば、街道沿いの安宿の一人娘など真っ赤になって頷く。
ご丁寧に幾らか金すら持たせてくれた娘の頬に口づけて、俺は宿を後にした。
一瞬後には娘の事など忘れていた。

お題:「街道」、「白粉」、「内緒話」で創作しましょう。
http://shindanmaker.com/138578
サイテーですね(^^;)。

【303】

あれが欲しいと駄々をこねる幼子にほとほと困り果てていた。
夜空を見上げては手を伸ばす。
しかし、幾万あろうとも、空の星には手が届かない。
機嫌を損ねる幼子に、俺は小さなたらいを持ってきた。
井戸の水を張ると、そこにはもうひとつの星空。
幼子は覗き込んで嬉しそうに笑った。

お題:「星に手は届かない」

【304】

ゆめかうつつか、うつつかゆめか。
霞の空に紅き月。
滴る雫で反物染めて、蝶を捕らえて散らして飾る。
愛し恋しのおまえの為に、この世に二つとない着物、
仕立ててその身を飾りに行こう。

お題:「ゆめうつつ」

【305】

何も思い付かないんだ。
君は欲しいものは自分で選ぶし、人から押し付けられるのは嫌いで、何をあげたらいいかさっぱりわからない。
だけど一緒に歩いているときに、ふと気づいたんだ。
花屋の店先で君が目元をほころばせることに。
だから、僕の気持ちを忍ばせた花束を君に贈るよ。

お題:「花束を君に」

【306】

あどけない寝顔に口づけて、すべてを許された気分で眠りに落ちる。

お題:「あどけない寝顔」

【307】

寂しくなんかないよ。
ちょっと仕事で三日会えないとか、そんなことくらいで駄々をこねるほど子供じゃないよ。
そう言ったら、君の手が僕のほっぺたを両側から挟んで、ぐいっと自分の方に向けた。
重なったくちびるが二センチだけ離れる。
そして、嘘つき、とそのくちびるが言った。

お題:「嘘つき、とそのくちびるが言った」

【308】

すき。何百年たっても君がすき。
きらい。君を待つ時間がきらい。
すき。でもやっぱり君しか要らないから、もう一度出会えるときを想えば胸が高鳴るよ。
早くまた、巡り会おうね。僕の大好きな君。

お題:「すき、きらい、すき」


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赤蜻蛉を見ました。
残暑厳しいですが、着実に秋は近づいていますね。
月が素敵な季節です。


【293】

車に乗り込む。
「朝早く、ごめん」
車内には貴方が、大きな荷物と一緒に乗っている。
「あの」
「さよならなんて言わないでよ」
そう言って、持ってきた箱を投げつける。
「プレゼント!」
中に入ってる指輪を見て、君が驚いた。
遠くへいく君へ、いつか私の元へ帰ってくるおまじない。

お題:
「早朝の車内」で登場人物が「さよならを言う」、「プレゼント」という単語を使ったお話を考えて下さい。
http://shindanmaker.com/28927

【294】

君を待つ 僕の隣に月見草

俳句の日なので、俳句を作ろう!と素人が考えた結果。
残念w


【295】

「親分さん?」
見上げて来る船宿の看板娘の視線に、疾風の十兵衛と呼ばれる駆け出しの若親分は、不自然に視線を外した。
弱冠十四にして親の家業を継いだのだ。
まだまだ貫禄には程遠い。
「おさやちゃん。この印籠の持ち主が来たら、教えてくんな」
それだけ言うのが精一杯だった。

お題:
「船宿」、「印籠」、「親分」で創作しましょう。
http://shindanmaker.com/138578

【296】

白い雲の浮かぶ高い空。
頭を垂れ始めた稲穂に、赤蜻蛉がつい、と留まり、気づけば少し温度の下がった風が、吹きすぎて蜻蛉を驚かす。
いつの間に虫の声が増えただろう。
まだ、残暑は厳しいはずなのに、忍び寄っている秋の気配。

【297】

背中に翼があるのなら、私はここから飛び立とう。
背なの翼は偽物で私を支えはしないけど、
堕ちる私は剥がれゆく羽と一緒に雪のよに、
あなたの元へ降るだろう。

お題:背中に翼があるのなら

【298】

手を伸ばす 君の面影 月の宵

【299】

いつか僕も死ぬのだろうか。
その時には君の手を握りしめて、君を見つめて逝けたらいいと思う。
君を何度も見送ったように、僕を見送って欲しい。
でも君は泣くかな。
だったら、手を繋いで、一緒に逝こう。
一緒にゆっくり年を取って、満足して、一緒に旅立とう。

お題:「君の手を握りしめて」

【300】

横を見れば、あどけない寝顔。
何度も目を覚まし、何度も確認する。
消えてない。
まだ、消えてない。
失うことになれた僕は、今、愛しい君を掌中にしても不安で仕方がない夜がある。
出来るだけ長く君といられますように。
今生も僕はそっと呪文のようにそう唱える。

お題:「あどけない寝顔」

【301】

本当は、見つけたら、君の都合なんか全部吹き飛ばして、傷つけてもいいから拐って、抱きしめて、口づけたい。
それくらい君に飢えている。
でも、泣き顔は見たくないから、それをこらえてもう一度知り合うところからちゃんと始めるんだ。
輪廻する君。
現世で待ちわびる僕。

お題:「傷つけてもいいから」


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なんか、いろいろ立て込んできました。
隙を見て、三つはついのべりたい(この日本語!文章書きとも思えない)と思っているのですが。
当分、掌編は無理っぽいです。
夏のお題で書くつもりだったのにな・・・orz


【287】

くしゃっと軽い音がして、目が覚めた。
足音を忍ばせて覗くと、寝静まった家の暗い廊下に君がぺたりと座り込んでいる。
側に落ちてる箱は君が【ユウメイナオミセノチョコレート】と言っていた奴だ。
「裏切者」
君の呟きが震えてたから、僕はすりよって顔を見上げた。
涙が降ってきた。

お題:
「深夜の廊下」で登場人物が「裏切る」、「チョコレート」という単語を使ったお話を考えて下さい。
http://shindanmaker.com/28927

【288】

一膳飯屋の主が寝込んだ。
囲炉裏端に布団を持ってきて横になっている彼に、私は桃を差し出す。
「これは何でぇ」
「桃ですよ。桃源郷の仙果。桃太郎の産みの親」
彼は不審そうにそれを見たが、一口食べると一気にたいらげてしまった。
「それ、高かったんだから、早く治って下さいよ」

お題:
「一膳飯屋」、「囲炉裏」、「桃」で創作しましょう。

http://shindanmaker.com/138578

【289】

「近づいてはダメ」
呪われた瞳を持つ彼女は、背を向けたまま塔の窓際に立っていた。
「お嬢様?」
声をかけて気がつく。
今まで彼女の目を封じていた布が外れている。
「最期に世界を見たかったの。例え物悲しい夜の景色でも」
「お嬢様!」
「さようなら」
そして彼女は夜に落ちていった

お題:
お題 『物悲しい夜に 顔を背けたまま あなたは 「さようなら」 と言いました。』 
http://shindanmaker.com/123977


【290】

「初めまして」
声をかけると、君は面食らって僕を見た。
ここ三ヶ月くらいかけて君の視界に入るように努力して来たのに、これは顔も覚えてもらってないかな。
「よくここで会うので一度お話したくて。構いませんか?」
何事も順序が大事だよね。
でも本当は、今ここで君を抱きしめたい。

お題:「今ここで抱きしめたい」

【291】

「いい匂い」
君に抱きついて笑うと、照れ屋の君は決まって嫌がって僕を押し退けようとする。
「なによ、それ」
「ほんとだよ。甘い蜜みたいな、いい匂いがするんだ」
「美味しそうとか言わないでよ?」
「美味しそうだよ」
わざとそう言って、僕は君に口づける。
甘い果物みたいな唇に。

お題:「あまい蜜のような」

【292】

「いつかあんたを置いていくときが来たら」
君はふっと思い出したように、その言葉を唇に乗せる。
「泣くよりも笑って見送って」
今思えば、なんてわがままで難しい。
僕の表情を見て、君は苦笑してそれ以上何も言わず、なだめるように口づけをくれたっけ。
それは、甘くほろ苦い思い出。

お題:「あまくほろ苦い思い出」



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気がついたら昨日の記事でついのべが100日目でした。
訪問者も、地味に地味に、やっとのべ199人きていただきました。
ありがとうございます。
これからものんびりゆっくりやっていきますので、気が向いたら遊びに来てくださいね。

おとつい辺りから、Jコミさんというサイトで、若木未生さん作、田村純子さんコミカライズの「XAZSA(ザザ)」が無料で公開してます。

いつも、若木さんの文章は、私の心臓の一番弱いところを一突きにしてきます。
ザザも、オーラバトラーも、グラスハートも。
それを田村さんが柔らかく、優しく、でも忠実にコミカライズされていて、読んでいて泣けてきました。
機会があったら一度読んでみてください。
ちなみに私は京平さんが好きです♪


http://www.j-comi.jp/book/comic/4351


【281】

あれからずっと僕はここで君を探してる。
「今まで来れなくてごめん」
顔をあげると、坂道の一番上に君が立っていた。
最後に見たときはコートだったけど、今は半袖だね。
涙に星が映って、とても綺麗だ。
待ってたよ。
「来てくれてありがとう」
これで、思い残すことはない。
さよなら。

お題:
「深夜の坂道」で登場人物が「探す」、「半袖」という単語を使ったお話を考えて下さい。
http://shindanmaker.com/28927

【282】

陰陽師といえども得手不得手はある。
ため息をついて振り返ると、式の十六夜はにっこりと微笑んだ。
「主様、仕事の選り好みなどしている余裕はございませぬ」
わかってるわよ、うちが貧乏なことくらい!
でも鰻の化け物なんてぬるぬるしてて嫌なのよ。
渋々、私は星の印を宙に描いた。

お題:
久遠さんは、「星」、「鰻」、「陰陽師」で創作しましょう。

http://shindanmaker.com/138578

【283】

「これで、最後」揺らぐ姿はもう透き通り始めている。
手を伸ばしても、もう触れることはできない。
僕を置いて、消えてしまう。
僕だけがとり残される世界で、どうやって生きろと言うの。
でも僕から顔を背けたまま、君は「頑張ってね」 と言った。
そっけない言葉の端が震えていた。

お題:
お題 『私だけが残った世界で 顔を背けたまま 君は一人、 「頑張ってね」 と言いました。』 
http://shindanmaker.com/123977
ちょっと改変しつつ。

【284】

僕なんか信用するからいけないんだよ。
人の来ない暗がりに君を引き込んで、あやかしらしくにやりと笑って見せる。
なのに君はちっとも怖がらない。
むしろ僕を引き寄せて、口づけて、上目遣いに僕を見て、無言で誘う。
その瞳が僕を貫く。
ごめん、欲情した。
止まりそうにないけどいい?

お題:「ごめん、欲情した」

【285】

神社、縁日、夏祭り。
飴やお面なんかの屋台を覗き込んでは、君は嬉しそうに笑う。
新調した浴衣がよく似合っていて、僕は他の男たちがみんな君を見てるようで、気が気じゃない。
なのに、上がった花火に紛れるように、どきどきしてる僕の腕に抱きついたりして。
それ、誘ってる?

お題:「それ、誘ってる?」

【286】

イマイチわからないんだけど、甘えるってどうすればいい?
途方にくれてそう言った僕を君は少し呆れて見て、次にしょうがないなあって笑った。
猫は甘えるのが仕事でしょ、なんて言葉と一緒にふわりと僕を抱き寄せ、ぽんぽんと背中を叩く。
胸がふわりと暖かい。
ああ、これでいいのか。

お題:「甘えるってどうすればいい?」


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宵月楼 店主
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自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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