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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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【548】

「こんなどしゃ降りに出歩きやがって」
そう言いながらバスタオルをずぶ濡れの頭の上からかぶされる。
犬でも拭くみたいにがしがし拭かれて「痛いよ!」って抗議したら、そのままタオルの上からぎゅうって抱きしめられた。
「寿命が縮んだぞ。これくらい我慢しやがれ」


「ラブプラス」ならぬ「オジプラス」で盛り上がったので、オジプラス対応を一つ。
ちなみにハガレンでは、エルリック兄弟より、ホーエンハイムがカッコイイと思う派です。
あ、おじさんの声は大塚明夫さんか、石塚運昇さんでお願いしますwww


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【547】

白い月が赤く染まった瞬間に、僕の中のあやかしが膨れ上がって人の形からはみ出す。
誰も見てない屋根の上に座っているのは、毛に覆われた尖った耳と緑に光る瞳、そして二股の尻尾を揺らすあやかしの僕。
そして見上げる僕に赤い月は誘惑するんだ。
人の血を見たくはないかい、と。


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【546】

「剣客と言われた日は遠くなりにけり、か」
 海風が、伸び放題の髪を乱暴にかき乱す。
 夕日が血のように赤く染まり、それが遠い昔に浴びた返り血を思い出させて、彼はかすかに苦笑した。
 着流し姿も、刀を佩かない腰の軽さも、もうすっかり体に馴染んでしまった。
 もし今、刀を手にすれば、その重さに耐えられないかもしれない、とすら思える。
 その、人を斬る、ということの重さに。
「おとうさーん」
 浜辺で遊んでいた娘が、迎えに来た自分を見つけて立ち上がり手を振った。
 それに軽く手を上げて応えて、ふと、その手を見つめる。
 今でも、時折右手が無意識に刀を探していることがある。
 そのたびに、それほどに剣を振るってきたのだと改めて思い知らされる。
 いまだに人を斬る感触を手が忘れていないことに、背筋が凍る。
 だが、もう人はあやめないと決めたのだ。
 愛しい娘を抱く手を血に染めないために。
 殺し、殺される世界に娘を巻き込まないために。
 刀の感触を握りつぶすように、一瞬拳をきつく握る。
 そして、駆けて来た娘が勢いよく飛びついてくるのを抱き上げ、彼は赤い夕日から逃れるように背を向けた。


お題:「浜辺」、「酒」、「剣客」で創作しましょう。 http://shindanmaker.com/138578
でも、数年後、彼は再び刀を手にするのだった、という風につなげるフラグ立てまくりですね。
娘の危機に再び剣をとる、とか、昔斬った相手の娘に命を狙われるとか、そういう感じで。


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【545】

「・・・寂しい」
 ぽつりと呟いた君の瞳から涙が一粒零れ落ちる。
 それがあまりにきれいで、思わず触れてしまいそうになった。
 無意識に伸ばした指を、はっと気付いて途中で押し留める。
 半透明の君の体。
 体を失くしてしまった君のためにかけた術は、君の姿をこの薄暗い部屋にとどめるだけのもの。
 触れてしまえば、術は儚く溶けて、君は消えてしまう。
 だから、見えるけど、話せるけど、君を抱きしめることも、涙を拭いてあげることも僕にはできないんだ。
「寂しいよ」
 濡れた瞳が僕を見る。
 術をかけてからずっと、笑ったことがない瞳。
 僕は、間違っていたのかもしれない。
 君を失いたくなくて必死だったけど、君はずっと寂しいままで。
 僕も、苦しいままで。
 だから。
「わかったよ。もう泣かないで」
 僕は指を伸ばすと君の涙をぬぐった。
 君はくすぐったそうに目を伏せる。
 少し冷たい、でも昔のままの柔らかな頬に触れて、そしてそっと抱きしめる。
 ああ、ずっと、こうしたかったんだ。
 きみを失うのが怖くてできなかったけど、君の笑顔を見たいから。
 君が僕の背中に腕をまわす。
 触れた部分から術が溶けていく。
 揺らいで消えていく君に、僕は微笑みかけた。
「いままで、寂しい思いをさせてごめんね。君が寂しくないようにすぐに追いつくから、ちょっとだけ待ってて」
「・・・うん、待ってる」
 濡れた瞳のまま微笑み返して、君は僕の腕の中から消えた。
 ずっと見たかったその笑顔だけを思い浮かべて、僕はナイフを振りかざした。

 お題:「思わず触れてしまいそうになった」
3つの恋のお題:思わず触れてしまいそうになった/闇にさらわれたかのよう/地下鉄のホームで君を見た http://shindanmaker.com/125562 より

拍手ありがとうございます。
連作は難しいですね。
基本こんな短い文章で人物描写までするのは無理があるのは分かっているのですが、つい、設定や名前をつけたくなるんですよね(^^;)。
区切りがあることで印象が変わってくるのは、文章力不足のせいです。
精進します。


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【544】

「やっと見つけた」
 少し息切れしている声に顔を上げると、そこには柔らかそうな茶色の髪の少年が立っていた。
「こんな騒がしいところにおられるので、探し当てるのに苦労しました」
「・・・あんた、誰?」
 もうだいぶ夜も遅くなって、ちょっとガラの悪い連中が増えてきたゲーセンで、その子はなんだか浮いていた。その子っていっても、中学生、頑張れば高校生で通りそうな男の子だから、大してあたしと変わらないんだろうけど、とにかく育ちの良さそうな雰囲気で、悪目立ちしている。
「お初にお目にかかる。我は御身の式。西の鍵を護りし血脈に連なりし姫。古の制約によりて、お迎えに参上しました」
「はあ?」
 なに言ってんだろう。
 いきなり彼から飛び出した時代劇みたいな台詞に呆然としたあたしを気にもとめず、彼はにっこり微笑むとあたしの手を握った。
 そのまま、あたしの前にひざまずき、手を自分の額に押し当てる。
「ちょっと!なにすんのよ!」
「刃となり、盾となりて、終生変わらず御身を護ると誓う」
 その時、確かにあたしは感じた。
 当たっている額から、あたしの手に、何か暖かいものが流れ込むのを。
 自分の中の何かが、それを待っていたと、涙が出るほど嬉しいと震えるのを。
 だから、どうすればいいのかあたしはわかっていた。
 だけど。
 あたしは次の瞬間、彼を振り払って、あとずさった。
「・・・駄目・・・」
「姫?」
 拒絶されるとは思ってもいなかったのか、彼が驚いてあたしを見上げる。
 そうだ。
 知っている。
 彼はあたしの刃。
 あたしの盾。
 死ねといえば、喜んで身を投げ出す道具。
 血に濡れた指先が脳裏をよぎる。
「あんたなんか、知らない!二度とあたしの前に現れないで!」
 叫んで、あたしはその場から逃げ出した。
 彼はもう誓いを口にしてしまった。
 だからもう遅いとはわかっていたけど、そうすることしか出来なかった。


お題:「夜のゲームセンター」で登場人物が「誓う」、「鍵」という単語を使ったお話を考えて下さい。 http://shindanmaker.com/28927 #rendai
えーっと、よくあるパターンですね?(^^;;;)
本日はちょっと気力が足りなくて、中途半端で申し訳ないです。

あ、昨日のお話は好評だったようでよかったです。
なにげに十夜さんは気に入っていますw
ぜひ声はゆっちーでご想像ください(イメージボイスはぬらりひょんの孫のぬらりひょん様/若い頃w)。


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宵月楼 店主
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非公開
自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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