宵月楼－しょうげつろう－

【252】

深夜の遊園地に忍び込む。
この町の管理用AIがその地下にある。
いや、居る。
ネットワークすべてを管理し文字通り人間の生殺与奪の権利を握っているのは、造られた少女。
ずっと迎えにこれなかった俺の半身。
「振られたかと思った」
「遅くなっただけだ」
そして町は停止した。

お題：
「深夜の遊園地」で登場人物が「振られる」、「ネットワーク」という単語を使ったお話を考えて下さい。 http://shindanmaker.com/28927

【253】

「この国は蜜柑の国なのです」と供侍が言う。
婚姻で見も知らぬ城へ入る私を気遣って、声が優しい。
「我が殿も民も温かな人柄ゆえ、ご安心下され」
太陽のような蜜柑を育てる国の城下町は、空気の色もどこか明るい感じがして、私は国許をたって初めて笑みを浮かべることができた。

お題：
「城下町」、「蜜柑」、「婚姻」で創作しましょう。 http://shindanmaker.com/138578

【254】

風呂上がり、コーヒーを入れてPCを立ち上げる。
照明を落とした殺風景な部屋に液晶画面が放つ光が音もなく淡く満ちると、世界に自分一人であるような気分になる。
だがその時、マナーモードにした携帯が低い音で震えた。
なぜあの人は、見透かしたようにかけてくるのだろう。

お題：
今日のお題は『マナーモード』『コーヒー』『液晶』です。 http://shindanmaker.com/14509


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