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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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台風一過。
青空が高いです。
秋が来ました。


【392】

「介錯を頼む」
穏やかな笑みを浮かべる親友に、俺は返す言葉もなかった。
罪は彼のものではない。
毒薬を入れたのは別の人物だ。
だが、彼は要人暗殺の罪をかぶって死んでいくというのだ。
「俺に出来ることは他にないのか」
「お前だから頼むのだ」
烏の様な黒い瞳は、もう揺らがない。

お題:「介錯」、「薬」、「烏」で創作しましょう。
http://shindanmaker.com/138578

【393】

触れたのは指先。
普段背中をはたく手とは全然違う優しい感触に、どきりと鳴った心臓。
感づかれていないか、気になってあなたの顔をこっそりうかがうと、そっぽを向いてるあなたの顔も真っ赤で、私はなんだか安心する。
少しだけ、友達からはみ出た瞬間。
動き出す、私たちの関係。

お題:本日の身体部位は「指先」、行動は「はたく」、ドキドキする作品を創作しましょう。補助要素は「感触」です。
http://shindanmaker.com/73897

【394】

少年の能力はサイコメトリー。
強すぎる力に部屋に閉じ篭った彼を引っ張り出して、毎度陰惨な死体を見せるなんざ、俺たちは人間じゃない。
だが、その能力が犯人逮捕には必要だった。
「ここだよ」
俺の声に、背のペンギンのリュックが震える。
本当は身を翻して逃げ出したいだろうに。

お題:題材[閉じ篭った,ペンギン,翻す,ここだよ]推理ものっぽくやってみよう! http://shindanmaker.com/9025

【395】

綺麗な心を押し込めて、君は、汚れた体だと自分をおとしめる。
だからなに?
人がどう言おうが関係ないよ。
だって僕には君しかいない。
君だけが欲しい。
その体も、心も、全部僕がもらってあげる。
だから、自分を嫌わないで。
僕を拒絶しないで。

お題:きれいな心、汚れた体。

【396】

見える位置に残された赤い痕に誘われて、僕はもう一度唇を寄せる。
痕はすぐに消えるだろう。
だから、何度でも赤い痕をつけてあげる。
なめらかな白い肌に花弁のように散らして彩る、僕の徴。

お題:見える位置に残された痕


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台風、すごい勢いでしたね。
被害に遭われた皆さんにお見舞い申し上げます。
最近は地震も豪雨もちょっとタガが外れてる感じで、怖いです。


【387】

「これは何?」
黄昏色の果実を両手で包み込んで、幼子は不思議そうに問うた。
「枇杷だ。うまい」
「食べるの?」
するりと皮を剥いて差し出すと、彼女はおずおずとかぶりついた。
「おいしい!」
にっこり笑い、茶色の瞳をきらきらさせて、彼女は枇杷をきれいに食べてしまった。

お題:「黄昏」、「茶」、「枇杷」で創作しましょう。
http://shindanmaker.com/138578

【388】

今日も天気は雨模様。
永遠の雨に降り込められるこの館では、あなたが太陽を見ることはない。
だから、どうか俺を呼んで欲しい。
今はまだ力が足りず、あなたを助けることはできないけれど、いつかきっとここから連れ出すから。
必ず本物の太陽を、青い空を見せるから。

お題:題材[永遠の,雨模様,助ける,欲しい]恋愛ものっぽくやってみよう!
http://shindanmaker.com/9025


【389】

きっと依存してる。
それは認める。
君と離れてる時間はあまりにもゆっくり流れるし、声を聞きたくてずっと電話していたいし、でもきっと声を聞いたら会いたくてたまらなくなるし。
どうしようもなくて、結局、今夜も長い夜を耐えて朝を待つ。
それが恋。
重度の君依存症。

お題:きっと依存してる

【390】

一目見たときから僕の世界は君だけだった。
薄暗い白黒の世界に、鮮やかな色がついた。
ひんやりとした空気が、ほわりと暖かいものになった。
永遠にも思える生がつらくなくなった。
僕が僕であるために、君が必要なんだ。
だから、また僕と恋をしてくれる?
君を好きでいさせてくれる?

お題:一目見たときから俺の世界は君だけだった

【391】

どうしよう。
我慢なんて出来そうにない。
今すぐ抱き寄せたい。
でも、伸ばした手が肩に触れる直前、君が振り返って無邪気な笑顔を見せるから、手は行き場を失ってしまう。
ここで手を止めずに、君の髪や頬に触れるだけの勇気があればいいのに。

お題:我慢なんてできそうにない


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【382】

血のような紅だ。
朝焼けに燃える空を見上げて、俺は思った。
体はぴくりとも動かない。
流れ出る血はもう止めようもない。
どうせ埋もれるなら、血ではなく紅葉に埋もれたかった。
あの日一緒に見た紅なら、俺を優しく包み込んでくれただろうに。
ああ、ひどく寒い。
あの微笑みが恋しい。

お題:久遠さんは、「朝焼け」、「紅」、「紅葉」で創作しましょう。
http://shindanmaker.com/138578

【383】

「やぁ、お嬢さん。こんにちは」
行く手を阻んだ白兎。
何故、人間の姿なの?
「僕が誰だかわからない?」
私は言葉を飲み込んだ。
もちろん貴方を知ってるわ。
でも、言ったら夢が覚めそうで。
「大丈夫だよ。言ってごらん」
兎の耳が頭の上で私の言葉を待っている。

お題:
題材[行く手を阻む,うさぎ,飲みこむ,やぁ]ボーイ・ミーツ・ガールでやってみよう!
http://shindanmaker.com/9025

【384】

君が隣にいるだけで、ドキドキして眠れないって知ってる?
普段ならひだまりにいれば三分で熟睡なのに、いつまでも寝られないじゃない。
昼寝が足りなくて寝不足になったら、責任とってくれるんだよね?

お題:ドキドキして眠れない

【385】

あわれっぽく鳴いてみる。
見上げて体をすりつける。
喉をならして前足でつつく。
ああ、もう。
どうやったって君は仕事が大事。
どうしたら振り向いてくれるんだろう?
今まで秘密にしてたけど、やっぱり奥の手を使うしかないよね。
猫のままじゃ埒があかないんだから!

お題:どうしたら振り向いてくれる?

【386】

明るい日の光の下、こんなに笑っていられるのは君のお陰。
向日葵みたいな笑顔を見せてくれるから、僕もつられて笑ってしまうんだ。
幸せを絵にかいたような、この時間が僕の宝物。
だから、ずっと隣で笑っていて。

お題:ずっと隣で笑っていて欲しい


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【375】

ひょこんひょこんと跳ねてきた雪兎は、頭に見慣れぬものをつけていた。
それは短いながらも立派な鬼の角だった。
「もしかしてあの時の鬼?」
「しかたあるまい。主の気は強くてこのような姿でなくば近づけぬ」
墨の様に黒い瞳がつぶらで、思わず笑ってしまう。
「なんじゃ、笑うな!」

お題:久遠さんは、「雪兎」、「墨」、「鬼」で創作しましょう。
http://shindanmaker.com/138578

【376】

もうだめだ。逃げられない。
膝をついた俺の手を柔らかく包む手があった。
顔をあげればいつのまにか少女が俺を見上げている。
「もう大丈夫。主様は我が守る」
にこりと微笑む。
「人情、教えてくれた主様に恩返し」
ああ、この子はあの時の子狐か。
手当てした腕の傷痕が白く残っていた。

お題:題材[逃げられない,人情,包む,もう大丈夫]ハートフルな感じでやってみよう! http://shindanmaker.com/9025

【377】

時々、迷う。
袋小路に入りこむ。
出口が見つからない。
そんなときはどうすればいい?
とりあえずその場にしゃがみこんで空を見上げてみるけど、雲は浮いてるだけで何も言っちゃくれない。
ほんと、どうしよっかな。

【378】

僕が人間じゃなくても、平気で笑って「知ってたよ」なんて言える女の子なんて、君しか知らない。
それでも僕を見て、僕の手をとって、僕を愛してくれる女の子なんて、君しか知らない。
他は知らなくていい。
ただ、君だけでいい。

お題:君しか知らない

【379】

とっさに手を握った。
引っ張って走り出す。
道を選び、追っ手を撒き、ひとけのない物陰で足を止める。
やっと振り返ると、まっすぐな瞳が僕を見つめていた。
「怖くないの?こんな裏通りに、有無を言わさず連れ込んでるんだよ」
僕の言葉に君は迷いもなく首を振った。
「信じてるから」

お題:裏通りに連れ込んで

【380】

僕は君の温もりを忘れない。君が僕の温もりを魂に刻んでまた生まれてくるように。

【381】

気づいたら一人だった。
拾われて一人じゃなくなった。
でもどこかで自分は一人だと感じていた。
君と出会った。
仲間じゃなくて家族になった。
一人じゃないとやっと思えた。
君もそうだと笑った。
だから、いつか一人になっても忘れないように、手を繋いで温もりを感じて、僕らは眠る。

お題:僕らは眠る


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9月になったとたんに台風です。
・・・少しワクワクしてるなんてことは、ナイショですよ?w


【371】

汚れない真っ白な百合が、そこここに咲いている。
家を失い、保護してくれる類系もなく、唯一与えられたのは切腹する情けのみ。
用意された場所すら野の原だったが、心は百合のように澄みきっていた。
裃を引き抜き、袷を広げる。
これが、俺の生き様だ。
百合の花弁が風に散った。

お題:「切腹」、「裃」、「百合」で創作しましょう。
http://shindanmaker.com/138578

【372】

飛べない鳥は君?
ううん、飛べない鳥は僕。
いつまでも黄昏に立ちすくんで、君に追い付けない。
生き急ぐ、眩しい君に追い付けないまま、また君が時間を駆けて行くのを僕はただ見つめる。

お題:飛べない鳥

【373】

「いい夢だったのに」
起こされて僕は口を尖らせた。
「もう少し寝ていられたら、どうなったと思う?」
「さあ?」
君は素っ気ない。
だから、手を掴んでぐいと引き寄せて、腕の中にすっぽりと君を包み込む。
「夢の続きをどうか、させてもらえませんか?」
答えは聞かなくてもいいよね?

お題:夢の続きをどうか

【374】

秋になると少し寂しいよね、と君は少しらしくないことを言う。
普段は感傷なんて吹っ飛ばす元気な君が、何処にもいかないで、と手を繋いで僕を見上げる。
馬鹿だな。
行くわけないじゃない。
置いていかれるのは、いつも僕。
痩せてしまった君を抱き締めて、僕は悲しみを圧し殺した。

お題:何処にもいかないでと手を繋いだ


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HN:
宵月楼 店主
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オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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