宵月楼-しょうげつろう-
あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。
[53] [54] [55] [56] [57] [58] [59] [60] [61] [62] [63]
【655】 うさぎ うさぎ
雪うさぎ
雪うさぎ
鼻をつけたら冷たくて
周りを跳ねても動かない
赤いお目々はこっちを見ない
寂しいよ
寂しいよ
ねえねえ一緒に遊ぼうよ
だけどもやっぱり動かないから
そばに座って一緒に眠った
夢の中では遊ぼうね
呟く根付の兎の声に
葉っぱの耳がぴくりと揺れた
【656】 鬼の病
橋の上で鬼が一匹、欄干に腰掛けていた。
「元気じゃねえか」
声をかけると慌てて逃げようとしたから捕まえる。
「この間、商人に難癖つけてたって?薬が効かねえとか」
「いやその」
言い訳しようとした鬼が急に黙った。
視線の先には可愛らしい少女。
鬼はほわりと顔を赤くする。
確かに薬は効かねえ病だな。
お題: 「橋の上」、「薬」、「商人」で創作しましょう。 #jidaiodai http://shindanmaker.com/138578
【657】 僕の言葉
僕はただ、君の心に花が咲くような言葉を紡ぎたい。
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雪うさぎ
雪うさぎ
鼻をつけたら冷たくて
周りを跳ねても動かない
赤いお目々はこっちを見ない
寂しいよ
寂しいよ
ねえねえ一緒に遊ぼうよ
だけどもやっぱり動かないから
そばに座って一緒に眠った
夢の中では遊ぼうね
呟く根付の兎の声に
葉っぱの耳がぴくりと揺れた
【656】 鬼の病
橋の上で鬼が一匹、欄干に腰掛けていた。
「元気じゃねえか」
声をかけると慌てて逃げようとしたから捕まえる。
「この間、商人に難癖つけてたって?薬が効かねえとか」
「いやその」
言い訳しようとした鬼が急に黙った。
視線の先には可愛らしい少女。
鬼はほわりと顔を赤くする。
確かに薬は効かねえ病だな。
お題: 「橋の上」、「薬」、「商人」で創作しましょう。 #jidaiodai http://shindanmaker.com/138578
【657】 僕の言葉
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【654】
黄昏時に出会うものは、人かあやかしか判然としない。
人の形をしていてもあやかしかも知れぬし、一見あやかしのような風体でも人であるかも知れぬ。
だが、その男はそのようなことはどうでもよいと思っていた。
人であろうが、あやかしであろうが、謀る者はいる。刃を突きつける者、盗む者もどちらにもいる。
それと同じように、助けを求める者もどちらにもいるのだ。
だから、黄昏時に見つけた少年も、躊躇なく拾って介抱した。
たとえその少年が、茶金の輝くような髪をし、人よりも長く伸びた耳は柔らかな毛に覆われ、柔らかく太いふさふさとした尻尾を持っていたとしてもだ。
さすがに人目に晒すわけにもいかず、寂れた神社の社殿の軒先を借りて少年を横たえ、男はまだ五歳くらいの娘に手ぬぐいを渡した。
娘が手水鉢で濡らしてきた手ぬぐいで顔をぬぐってやると、少年は少し眉をしかめゆっくりと目を開けた。
琥珀色の美しい瞳が、宙をさまよう。
「目が覚めたか?」
男に言われて、ぼんやりとしていた瞳に次第に光が戻ってくる。
そして、にこにこと顔を覗き込む親子に気付いて、がさっと後ずさろうとした。
しかし力が入らず、ほんの少し動いただけで手の力が抜け突っ伏してしまう。
「ああ、いきなり動くでない。安心しろ。我らはお前を同行する力などないからな。ああ、この刀とてなまくらだ」
屈託なく笑って男はもう一度手ぬぐいを冷やそうと立ち上がった。
「美緒、見ててやってくれ」
「はい、父上!美緒が狐さんを見てます!」
「え?あ・・・」
名を美緒というらしい少女の言葉に少年は慌てた。耳も尻尾も誤魔化しようのないほど表に出ている。
「どうしたの?狐さん、具合悪い?」
蒼白になった少年の顔を美緒が覗き込んだ。思わず目が合って、少年は驚く。そこには好奇も恐れも存在せず、ただ純粋に心配だけがあふれていたのだ。
なぜかすとんと肩の力が抜けた。
少年はあきらめたようにごろりと仰向けになった。
「変な親子だな。俺が怖くねえのか?」
そう言うと、美緒は小首をかしげた。そして、ふさふさした少年の尻尾をそっと触ってみたりして、くすくすと笑う。
「怖くないよ?狐さん怖いかんじしないもん。尻尾気持ちいいし」
「こら、触るんじゃねえよ。むやみにあやかしにかかわるとろくな事ねえぞ。わかってんのかよ」
「まあ、その点は大丈夫だ」
戻ってきた男が笑って手ぬぐいを差し出した。思わず受け取ってしまい、少年は顔をしかめたが、文句は言わず顔を自分で拭う。
ひんやりとした感触が心地よかった。
「美緒は敏感だからな。こいつが怖くないと言えば、まあ、大体危険はないのだ」
「へえ・・・」
「ところで、怪我もなさそうだが、なんで起き上がれないのだ?」
男の問いに答えようとした少年よりも早く、少年の腹がぐう、と鳴った。
一瞬の静けさの後、親子は遠慮なく大笑いする。
「なんだ、腹が減って行き倒れていたのか」
「う、うるせえ!人の金はなかなか稼げねえんだよ!」
顔を真っ赤にして言い訳をしてみたところで、親子の笑いは止まらない。いい加減ばかばかしくなって、少年はごろりと背を向けた。幸い簡単には死なない体だ。拾われた時には、ちょっと目が回って山の斜面を滑り落ちてしまったが、怪我もなかったことだしあとで狩りでもすればいいのだ。
そう思っていた少年の目の前に、いなりずしが現れた。
「あ?」
「狐さん、運がいいね。美緒たち、今朝までいた宿場でいなりずし作ってもらったんだよ。狐さんだからおいなり好きでしょ?」
美緒の笑みにつられて、またもつい受け取ってしまう。
「どうぞ?」
すすめられて口にほおばると、今まで食べた何よりも美味しかった。
食べ物を体に入れたからか、少し力が戻る。ゆっくりと体を起こし、少年は呟いた。
「・・・うまい」
「でしょ?美緒もいなりずし大好き!はい、もう一個」
一個、と言いながら包みごと渡してくる美緒に、少年は慌てた。
「お前たちの飯だろう!」
「食べろ。この先何をするにもまずは腹ごしらえだろう。我らは少し歩けば街道でいかようにもなるからな」
男の言葉と、何よりも美緒が口の無理矢理入れようとするので、少年はありがたく五つあったいなりずしをすべて平らげた。もしかしたら使ってあったあげは稲荷社に供えたものだったのかもしれない。すっかり力が戻っている。
「ご馳走様」
手を合わせそう言うと、美緒が笑った。
「狐さん、お行儀いいね」
「なんだ、俺が行儀良かったらおかしいかよ」
「これからどうするのだ?路銀はないのだろう?」
男に問われ、少年は苦笑した。
「なんとかなるだろ」
「行くあてはあるのか?」
「いや・・・」
「では、我らと旅をせぬか。いや、少しの間だけでいい。我らも路銀を稼ぎつつの旅だ。多少稼いでお前に持たせてやれるまでだ。どうだ?」
男の申し出に少年は呆れた。
「俺は妖狐だぞ?わかってるのか?」
「わかっている。だが、一人残しておくのも心配でなあ」
「狐さん、美緒たちと一緒に来てくれるの?」
男の心配だけなら無用だと突っぱねることもできたが、美緒の目が期待にきらきらと輝くのを見て、少年は言葉を飲み込んだ。
自分を見上げてくるその瞳が心底嬉しそうだったのだ。
少年はため息をついて、ぽん、と拍手を打った。
すると、髪は黒く、耳は人のものにかわり、尻尾は消える。どこをどう見ても人にしか見えない姿になって、立ち上がった。
「・・・気が変わったら別れるからな」
「わーい!狐さんといっしょ!狐さん・・・じゃ、おかしいよね?お名前は?」
「名前?名前なんかねえよ。狐は狐だ」
「それじゃおかしいよ。父上」
「・・・そうだな。目が琥珀色だったから、琥珀、というのはどうだ」
「安直じゃねえか」
「琥珀!きれいな名前!」
「そうか、美緒は気に入ったか。じゃあ、琥珀で決まりだな」
「勝手につけてんじゃねえよ!俺の名前じゃねえのか!」
「琥珀、行こう!」
文句をつけていたはずが、琥珀と呼ばれて美緒に手を引かれて少年は思わず歩き出していた。男が後ろで楽しげに笑う。
「決まりだな」
「・・・仕方ねえなあ」
ほんの気まぐれで旅の道連れになるだけだ。その間の仮の名前だと思えばいいだろう。そう考えて、ため息をつくと少年はその名を受け入れた。
「ほんとに少しの間だけだからな!」
そう言って、琥珀は美緒を抱き上げた。
食わせてもらった恩を返すまで。それまでだと自分に言い聞かせて、それでも道連れのできた旅に胸が高鳴るのを抑えられずに笑った。
お題:「黄昏」、「琥珀」、「妖狐」で創作しましょう。 #jidaiodai http://shindanmaker.com/138578
つい長くなってしまいました。お題にミラクルが起きたのでwww
時間があったら加筆したいです。
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人の形をしていてもあやかしかも知れぬし、一見あやかしのような風体でも人であるかも知れぬ。
だが、その男はそのようなことはどうでもよいと思っていた。
人であろうが、あやかしであろうが、謀る者はいる。刃を突きつける者、盗む者もどちらにもいる。
それと同じように、助けを求める者もどちらにもいるのだ。
だから、黄昏時に見つけた少年も、躊躇なく拾って介抱した。
たとえその少年が、茶金の輝くような髪をし、人よりも長く伸びた耳は柔らかな毛に覆われ、柔らかく太いふさふさとした尻尾を持っていたとしてもだ。
さすがに人目に晒すわけにもいかず、寂れた神社の社殿の軒先を借りて少年を横たえ、男はまだ五歳くらいの娘に手ぬぐいを渡した。
娘が手水鉢で濡らしてきた手ぬぐいで顔をぬぐってやると、少年は少し眉をしかめゆっくりと目を開けた。
琥珀色の美しい瞳が、宙をさまよう。
「目が覚めたか?」
男に言われて、ぼんやりとしていた瞳に次第に光が戻ってくる。
そして、にこにこと顔を覗き込む親子に気付いて、がさっと後ずさろうとした。
しかし力が入らず、ほんの少し動いただけで手の力が抜け突っ伏してしまう。
「ああ、いきなり動くでない。安心しろ。我らはお前を同行する力などないからな。ああ、この刀とてなまくらだ」
屈託なく笑って男はもう一度手ぬぐいを冷やそうと立ち上がった。
「美緒、見ててやってくれ」
「はい、父上!美緒が狐さんを見てます!」
「え?あ・・・」
名を美緒というらしい少女の言葉に少年は慌てた。耳も尻尾も誤魔化しようのないほど表に出ている。
「どうしたの?狐さん、具合悪い?」
蒼白になった少年の顔を美緒が覗き込んだ。思わず目が合って、少年は驚く。そこには好奇も恐れも存在せず、ただ純粋に心配だけがあふれていたのだ。
なぜかすとんと肩の力が抜けた。
少年はあきらめたようにごろりと仰向けになった。
「変な親子だな。俺が怖くねえのか?」
そう言うと、美緒は小首をかしげた。そして、ふさふさした少年の尻尾をそっと触ってみたりして、くすくすと笑う。
「怖くないよ?狐さん怖いかんじしないもん。尻尾気持ちいいし」
「こら、触るんじゃねえよ。むやみにあやかしにかかわるとろくな事ねえぞ。わかってんのかよ」
「まあ、その点は大丈夫だ」
戻ってきた男が笑って手ぬぐいを差し出した。思わず受け取ってしまい、少年は顔をしかめたが、文句は言わず顔を自分で拭う。
ひんやりとした感触が心地よかった。
「美緒は敏感だからな。こいつが怖くないと言えば、まあ、大体危険はないのだ」
「へえ・・・」
「ところで、怪我もなさそうだが、なんで起き上がれないのだ?」
男の問いに答えようとした少年よりも早く、少年の腹がぐう、と鳴った。
一瞬の静けさの後、親子は遠慮なく大笑いする。
「なんだ、腹が減って行き倒れていたのか」
「う、うるせえ!人の金はなかなか稼げねえんだよ!」
顔を真っ赤にして言い訳をしてみたところで、親子の笑いは止まらない。いい加減ばかばかしくなって、少年はごろりと背を向けた。幸い簡単には死なない体だ。拾われた時には、ちょっと目が回って山の斜面を滑り落ちてしまったが、怪我もなかったことだしあとで狩りでもすればいいのだ。
そう思っていた少年の目の前に、いなりずしが現れた。
「あ?」
「狐さん、運がいいね。美緒たち、今朝までいた宿場でいなりずし作ってもらったんだよ。狐さんだからおいなり好きでしょ?」
美緒の笑みにつられて、またもつい受け取ってしまう。
「どうぞ?」
すすめられて口にほおばると、今まで食べた何よりも美味しかった。
食べ物を体に入れたからか、少し力が戻る。ゆっくりと体を起こし、少年は呟いた。
「・・・うまい」
「でしょ?美緒もいなりずし大好き!はい、もう一個」
一個、と言いながら包みごと渡してくる美緒に、少年は慌てた。
「お前たちの飯だろう!」
「食べろ。この先何をするにもまずは腹ごしらえだろう。我らは少し歩けば街道でいかようにもなるからな」
男の言葉と、何よりも美緒が口の無理矢理入れようとするので、少年はありがたく五つあったいなりずしをすべて平らげた。もしかしたら使ってあったあげは稲荷社に供えたものだったのかもしれない。すっかり力が戻っている。
「ご馳走様」
手を合わせそう言うと、美緒が笑った。
「狐さん、お行儀いいね」
「なんだ、俺が行儀良かったらおかしいかよ」
「これからどうするのだ?路銀はないのだろう?」
男に問われ、少年は苦笑した。
「なんとかなるだろ」
「行くあてはあるのか?」
「いや・・・」
「では、我らと旅をせぬか。いや、少しの間だけでいい。我らも路銀を稼ぎつつの旅だ。多少稼いでお前に持たせてやれるまでだ。どうだ?」
男の申し出に少年は呆れた。
「俺は妖狐だぞ?わかってるのか?」
「わかっている。だが、一人残しておくのも心配でなあ」
「狐さん、美緒たちと一緒に来てくれるの?」
男の心配だけなら無用だと突っぱねることもできたが、美緒の目が期待にきらきらと輝くのを見て、少年は言葉を飲み込んだ。
自分を見上げてくるその瞳が心底嬉しそうだったのだ。
少年はため息をついて、ぽん、と拍手を打った。
すると、髪は黒く、耳は人のものにかわり、尻尾は消える。どこをどう見ても人にしか見えない姿になって、立ち上がった。
「・・・気が変わったら別れるからな」
「わーい!狐さんといっしょ!狐さん・・・じゃ、おかしいよね?お名前は?」
「名前?名前なんかねえよ。狐は狐だ」
「それじゃおかしいよ。父上」
「・・・そうだな。目が琥珀色だったから、琥珀、というのはどうだ」
「安直じゃねえか」
「琥珀!きれいな名前!」
「そうか、美緒は気に入ったか。じゃあ、琥珀で決まりだな」
「勝手につけてんじゃねえよ!俺の名前じゃねえのか!」
「琥珀、行こう!」
文句をつけていたはずが、琥珀と呼ばれて美緒に手を引かれて少年は思わず歩き出していた。男が後ろで楽しげに笑う。
「決まりだな」
「・・・仕方ねえなあ」
ほんの気まぐれで旅の道連れになるだけだ。その間の仮の名前だと思えばいいだろう。そう考えて、ため息をつくと少年はその名を受け入れた。
「ほんとに少しの間だけだからな!」
そう言って、琥珀は美緒を抱き上げた。
食わせてもらった恩を返すまで。それまでだと自分に言い聞かせて、それでも道連れのできた旅に胸が高鳴るのを抑えられずに笑った。
お題:「黄昏」、「琥珀」、「妖狐」で創作しましょう。 #jidaiodai http://shindanmaker.com/138578
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【650】
暮れてゆく空に風花舞い踊る 春待つ君に仮初めの桜(はな)
【651】
ほんのりと赤く染まった空に、ふわりふわりと風花が舞う。
僕の元には降りてこないで、風に吹かれてふわりふわり。
夕焼けに染まったそれはまるで桜の花びらのようで、桜の好きな君にも見せてあげたいと思った。
君は今、空を見てるかな。
桜色に染まった風花は、君の元まで届くかな。
上の歌がひどい出来だったので、言葉を多くすることにして書きなおし。
【652】
太陽の光が差し込む踊り場で、僕は思わず足を止めた。
友達と笑い合いながら降りていく君の姿を見かけて。
明るい笑顔と跳ねる黒髪。
セーラーのえりがひらひらとひるがえる。
その瞬間、君に感じていた友情は、まるで違うものに変わってしまったんだ。
お題:「昼の階段」で登場人物が「見つめ合う」、「友情」という単語を使ったお話を考えて下さい。 #rendai http://shindanmaker.com/28927
「見つめ合う」が入ってなくて、リテイク(^^;)
【653】
昼ごはんのパンを買い込んで駆け上った階段で、誰かにぶつかった。
パンを取り落とすのも構わずとっさに手を伸ばす。
捕まえたのは細い腕。
君だとわかった途端、周りの音が消える。
見つめあった瞳に驚きと狼狽が浮かぶ。
赤くなった君が可愛い。
そして友情は化学反応をおこした。
なんだか甘酸っぱいものに挑戦したかったんです。
フォロワーさんたちが女の子女の子した可愛いものがお得意で、あまり出来ない分野なので挑戦してみました。
結果は見ての通り・・・難しいです。
ほんと尊敬です。
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【651】
ほんのりと赤く染まった空に、ふわりふわりと風花が舞う。
僕の元には降りてこないで、風に吹かれてふわりふわり。
夕焼けに染まったそれはまるで桜の花びらのようで、桜の好きな君にも見せてあげたいと思った。
君は今、空を見てるかな。
桜色に染まった風花は、君の元まで届くかな。
上の歌がひどい出来だったので、言葉を多くすることにして書きなおし。
【652】
太陽の光が差し込む踊り場で、僕は思わず足を止めた。
友達と笑い合いながら降りていく君の姿を見かけて。
明るい笑顔と跳ねる黒髪。
セーラーのえりがひらひらとひるがえる。
その瞬間、君に感じていた友情は、まるで違うものに変わってしまったんだ。
お題:「昼の階段」で登場人物が「見つめ合う」、「友情」という単語を使ったお話を考えて下さい。 #rendai http://shindanmaker.com/28927
「見つめ合う」が入ってなくて、リテイク(^^;)
【653】
昼ごはんのパンを買い込んで駆け上った階段で、誰かにぶつかった。
パンを取り落とすのも構わずとっさに手を伸ばす。
捕まえたのは細い腕。
君だとわかった途端、周りの音が消える。
見つめあった瞳に驚きと狼狽が浮かぶ。
赤くなった君が可愛い。
そして友情は化学反応をおこした。
なんだか甘酸っぱいものに挑戦したかったんです。
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【649】
一瞬、畳に鮮やかな紅葉が散っていると見紛うた
帰宅した男は、襖を開けたままその色に動きを止めた
倒れている彼女から次第に広がる真紅は、周りを秋の山の如く美しく染めている
広がる黒髪も、抜けるような白い肌も、紅葉に埋もれるように朱に包まれて
それはまるで秋の竜田の姫のよう
震える指を伸ばし、男はその朱に足を踏み入れた
まだ残る温もりを感じながら、彼女を抱き寄せる
その拍子に彼女の髪がはらりと流れ、額の角をあらわにした
その角に、そっと触れる
人は鬼ではないと、はかなくも力強い人の生き様が好きだと笑った彼女は鬼だった
だから哀しむかもしれない
それでも男は、もう自分を止められなかった
人は鬼ではない
だが、鬼になれるのだ
悲しみで
憎しみで
彼女の亡骸をかき抱く男の額には、赤く血に濡れた角が生えていた
お題: 「畳」、「紅」、「鬼」で創作しましょう。 #jidaiodai http://shindanmaker.com/138578
もう少し綺麗なだけにしようと思ったんですが・・・あれ?(^^;)
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一瞬、畳に鮮やかな紅葉が散っていると見紛うた
帰宅した男は、襖を開けたままその色に動きを止めた
倒れている彼女から次第に広がる真紅は、周りを秋の山の如く美しく染めている
広がる黒髪も、抜けるような白い肌も、紅葉に埋もれるように朱に包まれて
それはまるで秋の竜田の姫のよう
震える指を伸ばし、男はその朱に足を踏み入れた
まだ残る温もりを感じながら、彼女を抱き寄せる
その拍子に彼女の髪がはらりと流れ、額の角をあらわにした
その角に、そっと触れる
人は鬼ではないと、はかなくも力強い人の生き様が好きだと笑った彼女は鬼だった
だから哀しむかもしれない
それでも男は、もう自分を止められなかった
人は鬼ではない
だが、鬼になれるのだ
悲しみで
憎しみで
彼女の亡骸をかき抱く男の額には、赤く血に濡れた角が生えていた
お題: 「畳」、「紅」、「鬼」で創作しましょう。 #jidaiodai http://shindanmaker.com/138578
もう少し綺麗なだけにしようと思ったんですが・・・あれ?(^^;)
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【648】
すっかり紅葉も散っちゃった。
僕は久しぶりに森を歩く。
最近は寒い日が多くて外に出たくなかったけど、今日はどうしても用事があって出なきゃいけなくて。
都合よく天気がよくて少し暖かかったから、足を伸ばしてみたんだ。
春の桜、夏の青葉、秋の紅葉と森はいろんな顔を見せてくれるけど、冬の枯れ木の寒々しさだけは僕は好きじゃない。
なんだか寂しいし、木の間を渡る風の音も寒々しいし、とがった枝はどこかよそよそしく見えて。
手を当てるとその幹の中で、春を待って力をためてるのはわかるんだけどね。
「はあ。来るんじゃなかったかな」
冬の景色に風情を感じるような柄じゃないしね。
そう思って来た道を戻ろうとしたら、向こうの方から女の子が走ってくるのが見えた。赤い着物が、下草も葉っぱもないがらんとした木の間に良く見える。
「翡翠ー!見つけたー!」
凛音はばたばたと走ってきて、どーんと僕にぶつかるような勢いで飛びついてきた。いや、これはもう実際ぶつかったようなもんだよ。咄嗟に受け止められたからいいものの、着物姿で全力疾走なんて。
「おてんばが過ぎるよ、凛音。いったいどうしたの」
「今日ね、琥珀と桔梗堂さんに行って来たの」
「版元の?ああ、また話を売りに行ったのか」
桔梗堂は絵草子や仮名草子を売る小さな版元だ。琥珀とは顔なじみで、時々あやかしの話をしてはそれを本にした売り上げをもらっているらしい。
「それで?」
「これ、もらった!」
凛音が袂から紙の包みを出した。あ、これ、商売敵だって言ってた地蔵堂の瓦版じゃないか。
だけど、くしゃくしゃになった紙は凛音には重要じゃないみたいで、それに包まれた中身の方を大事そうに開いて僕に見せた。
「あ、金平糖」
「翡翠、好きでしょ?一緒に食べよ」
「そのためにわざわざこんなとこまで来たの?」
僕は呆れる。第一、この森は迷いやすくて有名なんだ。来ちゃいけないって言ってあるのに。
でも、見下ろした凛音が赤いほっぺたで息を弾ませて嬉しそうに笑ってるもんだから、小言は喉の奥に引っ込んでしまった。
まあ、いいよ。小言を言うのは瑠璃丸に任せておけば。
「じゃあ、帰ろうか」
「うん」
僕は金平糖をつまんで自分と凛音の口に一個ずつ放り込むと残りはもう一度凛音の袂にしまった。そして、小さな手を繋いで、歩き出す。
この子が迷わなくてすんだから、まあ、冬の木立も悪くないかもね。
そんな勝手なことを思って、僕はくすりと笑った。
お題: 「瓦版」、「金平糖」、「紅葉」で創作しましょう。 #jidaiodai http://shindanmaker.com/138578
あまり読んでない方には、誰が誰かの固有名詞で申し訳なく(^^;)
一応こちらに簡単な説明はあるのですが、翡翠は猫又、琥珀は妖狐、瑠璃丸は犬神、凛音は龍と人の子でして、カテゴリーの【オリジナル】に掌編がいくつかございます。
時代は江戸の頃、片田舎に四人で暮らしています。
なので二人とも着物ですね。
凛音は女の子なので赤い可愛らしいもの。翡翠は薄い色の着流しでしょうか。
そんなこんなで今回は翡翠のお話でした(^^)。
いつも拍手ありがとうございます♪
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すっかり紅葉も散っちゃった。
僕は久しぶりに森を歩く。
最近は寒い日が多くて外に出たくなかったけど、今日はどうしても用事があって出なきゃいけなくて。
都合よく天気がよくて少し暖かかったから、足を伸ばしてみたんだ。
春の桜、夏の青葉、秋の紅葉と森はいろんな顔を見せてくれるけど、冬の枯れ木の寒々しさだけは僕は好きじゃない。
なんだか寂しいし、木の間を渡る風の音も寒々しいし、とがった枝はどこかよそよそしく見えて。
手を当てるとその幹の中で、春を待って力をためてるのはわかるんだけどね。
「はあ。来るんじゃなかったかな」
冬の景色に風情を感じるような柄じゃないしね。
そう思って来た道を戻ろうとしたら、向こうの方から女の子が走ってくるのが見えた。赤い着物が、下草も葉っぱもないがらんとした木の間に良く見える。
「翡翠ー!見つけたー!」
凛音はばたばたと走ってきて、どーんと僕にぶつかるような勢いで飛びついてきた。いや、これはもう実際ぶつかったようなもんだよ。咄嗟に受け止められたからいいものの、着物姿で全力疾走なんて。
「おてんばが過ぎるよ、凛音。いったいどうしたの」
「今日ね、琥珀と桔梗堂さんに行って来たの」
「版元の?ああ、また話を売りに行ったのか」
桔梗堂は絵草子や仮名草子を売る小さな版元だ。琥珀とは顔なじみで、時々あやかしの話をしてはそれを本にした売り上げをもらっているらしい。
「それで?」
「これ、もらった!」
凛音が袂から紙の包みを出した。あ、これ、商売敵だって言ってた地蔵堂の瓦版じゃないか。
だけど、くしゃくしゃになった紙は凛音には重要じゃないみたいで、それに包まれた中身の方を大事そうに開いて僕に見せた。
「あ、金平糖」
「翡翠、好きでしょ?一緒に食べよ」
「そのためにわざわざこんなとこまで来たの?」
僕は呆れる。第一、この森は迷いやすくて有名なんだ。来ちゃいけないって言ってあるのに。
でも、見下ろした凛音が赤いほっぺたで息を弾ませて嬉しそうに笑ってるもんだから、小言は喉の奥に引っ込んでしまった。
まあ、いいよ。小言を言うのは瑠璃丸に任せておけば。
「じゃあ、帰ろうか」
「うん」
僕は金平糖をつまんで自分と凛音の口に一個ずつ放り込むと残りはもう一度凛音の袂にしまった。そして、小さな手を繋いで、歩き出す。
この子が迷わなくてすんだから、まあ、冬の木立も悪くないかもね。
そんな勝手なことを思って、僕はくすりと笑った。
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一応こちらに簡単な説明はあるのですが、翡翠は猫又、琥珀は妖狐、瑠璃丸は犬神、凛音は龍と人の子でして、カテゴリーの【オリジナル】に掌編がいくつかございます。
時代は江戸の頃、片田舎に四人で暮らしています。
なので二人とも着物ですね。
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そんなこんなで今回は翡翠のお話でした(^^)。
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HN:
宵月楼 店主
性別:
非公開
自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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