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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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【あやかしたちの節分】

【鬼】 ひどい!俺たちがなにしたって言うんだ!恵方巻きだけにしとけよー(;´д`)

などと鬼の小言が聞こえてきそうな日でしたが、うちのあやかしたちはこんな感じでした。


【凛音】 ♪おっにはそとー ふっくはうちー ぱらっ ぱらっ ぱらっ ぱらっ まめのおとー♪

【琥珀】 おい凛音、鬼が居ないとこにまけよ。それから、食い過ぎんなよ。腹痛になるぞ!

【凛音】 はーい!風邪はそとー♪怪我はそとー♪貧乏はそとー♪

【瑠璃丸】 凛音、それは・・・・・・外聞が悪い。

【翡翠】 いいじゃない。いっそ悪いこと全部祓っちゃえ!

【凛音】 祓っちゃえー!(にこにこにこ。ばらばらばらばら)

とりあえず、行事は体験させるのが教育方針ですんで、鬼に当てないように豆をまいたようです(^^)


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【662】

 飴売りが街道沿いの茶店で行き合ったのは、少し旅にくたびれた風の若い男だった。
「旅は長いのですか?」
「そうだな。もう三年になるか」
 そう言って、男は飴売りの風体に少し目を細める。
「お子がおありで?」
「あ、ああ。旅立つときにはまだ三才であった。もう父のことなど覚えてはおらぬだろう」
 寂しげな笑みを浮かべる男に、飴売りは荷物から小さな包みを取り出した。
「それを持って一度戻られてはいかがです?」
 だが、男は首を横に振ると、その包みといくらかの銭、そして懐紙に二つの名前を書いて飴売りに渡した。
「妻と子の名だ。江戸へも行かれるなら、それがしの代わりに渡してはくれぬか。八丁堀の役宅で幾軒か尋ねても所在がわからねば、銭は取っておいてくれて構わぬ」
「八丁堀?旦那は同心でいらっしゃるんで」
「以前はな。今は役目も返上してのただの仇討ち旅だ。妻と子は離縁したゆえどこにいるかもわからぬ。気が向かねば捨て置いてくれ」
 寂しげな笑みのまま、男は江戸に背を向けて歩み去った。
 飴売りは優しく微笑むと、江戸へ歩き出した。


お題: 「街道」、「飴」、「同心」で創作しましょう。 http://shindanmaker.com/138578


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【660】

 こんな雨の夜は、酒を酌み交わそう。
 お前の嘆きを憐れむことも、俺の虚しさをなぐさめることも、何もせずにただゆっくりと盃を重ねよう。
 何も言わずともわかるのだから、雨の音、火のはぜる音だけを肴に、ただ酒を酌み交わそう。


お題:「雨」、「酒」、「憐れむ」で創作しましょう。 #jidaiodai http://shindanmaker.com/138578
演歌か!(^^;;;)


【661】

恐ろしいことじゃ。
我らはなにもしておらぬというに、やつらは手当たり次第につぶてをぶつけて追い払おうとする。
さらに大音声にて脅されれば、我らはこの場より去るほかはない。
ほんに【豆まき】とは恐ろしき行事じゃ。
まあ、次の日には戻ってきて、落ちた豆を拾うて食うがの。

お題:節分
節分ですので、桔梗堂的には鬼視点でw


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【659】

 盗人は橋の上、渡るに渡れずため息をつく。
 今来た道を戻れば、櫛の持ち主である少女が奉公している商家に行ける。
 渡りきって進めば、盗みの依頼を受けた女の家だ。
 女は少女の父親の後妻で、それなりに裕福であるのに奉公だの行儀見習いだのと理由をつけて少女を家から追い出したという。
 そのうえ、少女の母親の形見である櫛を盗んでこいと言ってきたのだ。
 もちろん依頼を受けて盗みをする稼業であるから、金さえもらえばどんな依頼だろうとこなすのが信条だ。
 だから情にほだされるわけには行かない。
 どんなに女の性根が悪くても、仕事だと割り切って忍び込んだ。
 そこまでは良かった。
 しかし、運悪くこっそり持ち出すところを少女に見つかってしまったのだった。
 少女はほんの少し寂しげな顔をして櫛を彼に手渡し、深く頭を下げた。
「奉公人には過ぎた品で、そうそう着飾って身につけるというわけにもいきません。義母さまが使ってくださるなら、そのほうが櫛も喜びましょう」
 真っ直ぐな瞳だった。
 盗人はその瞳に気圧されて、何も言わずに櫛を手にその場をあとにした。
 その義理の母が、実は高価なこの櫛を売りはらおうと考えているととても言い出せなかった。
 だが、足が重い。前に進まない。
 どんなにあくどい奴の依頼でもこれほど迷うことはなかった。
 どうすればいい。
 目を閉じる。
 手の中の櫛が重い。
 そしてやがて目を開けると、彼は橋を渡りきった。
「・・・盗み返してやる」
 少女にそのまま返しても、きっと女はまたこの櫛を狙うだろう。
 だったら一度手渡し、売られる前にもう一度盗んでやる。
 彼はにやりと笑って路地へ消えた。

 
お題:「橋の上」、「櫛」、「盗人」で創作しましょう。 #jidaiodai http://shindanmaker.com/138578
見つかる時点で間抜けな泥棒さんですね、という突っ込みはなしで(^^;)


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【658】

 浪人は、川原で一人ため息をつく。
 わずかな仕事で日銭を稼ぎ、仕官などするあてもなく、このまま何の生きがいもなく生きてゆくのも虚しいだけ。
 いっそ武士など辞めてしまおうか。
 腰の刀を外して、川へ捨ててやろうかと思ってみたりもする。だが、いざとなるとその手はなかなか離せない。
 ふと見上げた月は細い三日月で、まるで情けない己をあざ笑う猫の目のようだ、と思った瞬間、背後でにゃあと鳴き声がした。
 男はびくりと振り返る。
「ほんとうに後悔しない?」
 三日月程度しか光の無い夜では、声はすれども人の姿は見えず。
 よくよく目を凝らしてみれば、まるで翡翠のような緑色の瞳が己をじっと見据えていた。
「まあ、身の振りかたなんて人それぞれだけどね、川に捨てちゃ河童が迷惑するんだよ。どうせなら置いてけ堀あたりに行っといでよ。嫌でも身ぐるみ剥いでくれるよ」
 声と共に闇を切り取ったような黒い猫が姿を現す。
 翡翠の瞳がにやりと三日月のように細められた。
「ね、猫・・・猫が・・・!化け猫!」
 しゃべったのが目の前の猫であると気付いて、浪人はがたがたと震えだす。
 そして、猫が大きなあくびをした途端、慌てて逃げ出した。
「うわー、失礼な奴」
 くすくす猫が笑うと、川面にぽちゃんと丸いものが浮かび上がった。
「猫又よ。とりあえずは感謝する。あのようなものを投げ込まれては、錆びれば川が汚れるし取り戻そうとされては荒される。どちらにしても迷惑なだけだからな。だがいささか意地が悪かったのではないか?」
「河童の大将はお人よしだなあ。脅かすのが一番後腐れないじゃないか。武士ならまさか化け猫に腰抜かしました、なんて言えないでしょ?」
 それにね、と猫は少し苦笑した。
「なんだかんだ言って、しっかり持って帰ったじゃない」
 刀を捨てられないなら、まだ悩むことなんかないのだ。それにあの男は気付くだろうか。
「まあ、どっちにしろむいてないことは確かだけどね。だって、僕を見ても刀抜かなかったもんねえ」
「確かに」
 笑う河童に尻尾を振って見せて、猫は川原をあとにした。
 単に人を脅かして遊びたかっただけだったのだが、まあ、役に立つのも悪くない気分だった。


お題:「三日月」、「翡翠」、「浪人」で創作しましょう。http://shindanmaker.com/138578
いつも拍手ありがとうございます。


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宵月楼 店主
性別:
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自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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