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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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「ふむ。我を起こしたのはそなたかえ?」
 戸口の前で倒れている先生の後頭部に、ちょこんと先ほどの猫が座っていた。
 ぱっちりと開いた目は紅く、口元には笑みが浮かんでいる。
「さっきの音、ですか?」
「ご名答じゃ。そなたはこやつよりも頭の働きが良いようじゃの。気に入ったぞ」

【twnovel/妖草紙
絡繰猫


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「先生、今」
「あああっ!そうだっ!思い出したっ!」
 突然の大声に驚く私を尻目に、先生は腰を浮かせた。
「あ、悪ぃ、野暮用を思い出したから出掛けて」
「待たぬか」
 目の端を黒いものが横切ったかと思うと、戸口に一歩踏み出した先生の体が揺らいで、うつ伏せに倒れた。
「先生?!」

【twnovel/妖草紙
絡繰猫


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私と先生はとりあえず場所を作ってそこに猫を置くとまじまじと見つめた。
 黒い天鵞絨のような毛並みと柔らかな曲線は本物の猫のようだが、触れれば背中や足に縫い目があるのがわかる。やはり作り物なのだ。
 私は思わず本物の猫にするように頭を撫でた。
 ぱちん!何かが弾けたような音がした。

【twnovel/妖草紙
絡繰猫


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「先生、これ、なんです?」
 私は猫の首根っこをつかんで、がらくたの中から引き上げた。
 ぴくりとも動かないそれを見せると、先生は首をかしげた。
「・・・なんだったっけな」
「覚えてないんですか?」
「猫、だな」
「そりゃ、見たらわかりますよ」
 いつものことだが、頼りない先生だ。

【twnovel/妖草紙
絡繰猫


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彼は変わり者だった。
 あやかしでありながら人の生活が好きで、人に交じって暮らしている。それだけならわりと居るのだが、彼は人の技術、特に絡繰に並々ならぬ興味を持っていた。
 今や彼の部屋は訳のわからぬ物で溢れている。
 だが、それは他のがらくたとは少し違っていた。
 猫、だったのだ。

【twnovel/妖草紙
絡繰猫


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HN:
宵月楼 店主
性別:
非公開
自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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