宵月楼－しょうげつろう－

【875】

空が青くて深いから、僕はもてあます気持ちを全部空に投げ捨てた。広がって、薄まって、時には雲になって雨を降らせたりすればいい。そしたら、この胸に抱えているよりも、きっと少しは昇華されると思うんだ。

【876】

僕の言葉でなにかが変わるなんて、そう思うのはやめたんだ。例えば君が泣いているのを止めたいとか、支えてあげるとか、励ましたいとか、全部思い上がりだ。僕の拙い言葉じゃ無理だから。今はただ、なんとなく好きだなって思ってくれたら嬉しいって、それだけ。

【877】

君が僕の文章を好きになってくれたらいいのに。時々、誰にもかえりみられない言葉たちが、キラワナイデと泣いているから。

【878】

壊したのは絆。優しい笑顔を砕いて棄てた。代わりに僕は笑みを浮かべた仮面を被る。人でなし。人でなし。平気な顔で人を斬るよ。言われても笑っていられるように、被った仮面はもう外れない。それでいいんだ。大丈夫。僕は笑える。だから僕を憎んでよ。

【879】

綴る言葉は嘘ばかり。語る話は作り事。薄ら笑いでペテンに掛けて、本性隠す嘘つきピエロ。

【880】

僕の言葉に少しでも君の心が震えてくれたらいいなと思うんだ。「上手だね」って誉めてもらうより「好きだな」って言ってもらえたら、きっと嬉しくて涙が出ると思うんだ。だから僕の言葉が君の元に届きますように。優しく君に寄り添ってくれますように。


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