宵月楼-しょうげつろう-
あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。
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【55】
僕らは多分、馬鹿みたいにハイになっているんだと思う。
夕方、ホテルの部屋に入った途端、まず押し入れを開けて枕を取り出した。
そして飛び交う枕。
普段はめんどくさいとかかったるいとかが口癖なのに、壊れたように笑いあう、僕ら。
修学旅行、恐るべし。
お題:
「夕方のホテル」で登場人物が「笑い合う」、「枕」という単語を使ったお話を考えて下さい。
【56】
半袖。
日射し。
草いきれ。
茹でたトウモロコシ。
君の額に光る汗。
蚊取り線香の匂い。
いつの間にか近づいている、夏の気配。
・・・ねえ、まだ六月だって、知ってる?
【57】
まだ夜明け前。
ベランダに出て、うっすらと白み始めた空に手を伸ばす。
消えていく星と手を繋ぐように。
遥か遠くにいる君と手を繋ぐように。
ねえ、君はどうしてる?
君の夢に僕はいるかな?
起こして聞いてみたい思いを、苦笑して風に散らした。
お題:
「早朝のベランダ」で登場人物が「手を繋ぐ」、「星」という単語を使ったお話を考えて下さい。