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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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【998】

任務がなにより最優先されるということは、俺たち末端の忍が一番に叩き込まれる心得だ。
俺たちは歯車でしかなく、任務次第では命も惜しまない。
相棒の背中を見送って俺は笑みを浮かべた。
あいつはこの任務を終えたら嫁をもらうし、少し早い贈り物だ。

【999】

その優しさが命取りだったんだ。
俺は届いた報せに唇を噛んだ。
危険な任務だというのはわかっていた。
一人が残るのも仕方ない判断だった。
だがそれがあいつである必要はなかったはずだ。
俺を生かそうとした優しさが痛い。
だが俺に泣く資格はないんだ。

【1000】

それができなきゃ忍びなんてやめてしまえ!
怒鳴って師匠は俺を殴り付けた。
その通りだ。忍なら仲間の死など当たり前だ。
死んだ相棒を忘れられない俺は忍失格だ。
だが師匠は俺を引き起こすと「ふりだけでいい」と呟いた。
だから今だけお前の為に泣こう。

【1001】

ときには非情という言葉も足りぬほどの非情を求められる。
それは人の心を殺さねば得られぬ鉄の意思であり、だが忍とて人であればどこかに歪みを生じるのは無理からぬ。
その歪みを私は優しく包み込もう。
我が夫が迷う時に帰りたいと思える場所になろう。

【1002】

宝禄火矢と毒鳥の子、どっちで逝きたい?
そう言ってやりたいのは山々だけどね、姉貴が選んだ男だし、ちっと優しすぎるけど情のない奴には下忍もついてこないしね。
認めてやってもいいよ。
あいつには絶対言ってやらないし祝言なんか出てやらないけどね!

書き出しをお借りして、忍もの連作です。
祝言を控えた忍者とその相棒、そして、嫁になる娘とその弟の心情、と言った感じで。
個人的には最初と最後の登場人物が気に入っています(^^)

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あなたからもらう唯一のもの/呼び声/雨/じばく HOME 花と植物は私

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宵月楼 店主
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自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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