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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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【421】

雀の声に目を覚ます。
身支度を整え、井戸へ行って釣瓶を落とし水をくむ。
顔を洗い、髪を適当に結わえようとしたところで、ひょいと元結紐が取り上げられた。
振り返ると、幼馴染みが櫛を持って立っている。
いつからか、髪を結ってもらうのが、すっかり毎朝の習慣になってしまった。

お題:
「釣瓶」、「元結」、「雀」で創作しましょう。

http://shindanmaker.com/138578
そういえば、釣瓶を調べていてたどり着いたのですが、「釣瓶落とし」というあやかしがいるんだとか。
森の中で、井戸の釣瓶を人間に落とすのだそうですが、かなりチャレンジャーな奴らだと思いました(^^;)。


【422】

曇天の下、俺は小さな苗を植える。
与えられるままに黙々と植える。
だが、太陽の恵みのないこの土地では、ほとんどすべてがほどなく枯れてゆく。
それを掘り返し、また植える。
それは俺に与えられた罰。
もう嫌だ、と呟いても逃げられない永遠の不毛な作業。

お題:題材[逃げられない,曇天,植える,もう嫌だ]一人称でやってみよう!
http://shindanmaker.com/9025
流刑惑星で、育ちもしない苗を延々植えるという刑罰。
何キロ平方メートルも人間は罪人一人で話し相手もなく、与えられた苗を育てようにもまるで育たず・・・と言うのを考えて、げんなりしてきました(^^;)。
悪いことは、したらアカンと言うことですね(違)。


【423】

君が好きだよ。
だから守りたい。
でも実際の僕はただの猫で、君が誰かに絡まれたってなにもできやしない。
君に甘えるのも恥ずかしいから、ついそっぽ向いて知らんぷりしちゃう。
でもいつか、きっと君に釣り合う男になるよ。
だからさ、強さと優しさは後付けでもいいかな?

お題:『強さと優しさは後付けでもいいかな?』
http://shindanmaker.com/134159

【424】

抱きしめて、キスをして、好きだよってたくさん言うよ。
もちろん、言いたいこと言い合って、小さい喧嘩もするだろうけど、君を嫌いになるなんてあり得ない。
いつだって、何度だって、僕は君に恋をする。
自分でも不思議なんだから、どうして、なんて聞かないでね。

お題:抱きしめて、キスをして

【425】

ためらいならいつもある。
君の人生を奪うためらいが。
君の人生を僕に結びつけていいのか。
僕の乱暴な独占欲なのではないか。
僕は、君が欲しいあまりなにも見えていないんじゃないか。
でも、君は僕の頬を両手で挟み、目を覗き込んで微笑むから、僕は安心して衝動に身を任せた。

お題:衝動に身を任せた

【426】

皮膚に食い込んだ君の爪の先が、僕に赤い痕を残す。
笑む余裕すら無くした僕の唇が、君に赤い痕を残す。
愛してるの言葉より気持ちを語る、徴を刻む。

お題:皮膚に食い込んだ君の爪先


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【416】

「お?」
違和感を感じたと思ったら、手に持った煎餅から手足が生え真ん中にぱちりと目が開いた。
そして手の中から逃げ出すと小屋の端までてけてけと走ってから振り返る。
「仮にも妖狐なら気配で気づけ!危うく食われるところだったわ!」
地団駄を踏んで怒るが、ちっとも怖くない。

お題:「小屋」、「せんべい」、「怒る」で創作しましょう。
http://shindanmaker.com/138578
「煎餅小僧」が出ましたwww
煎餅が怒る、と脳内で組み立ててしまった私に、友人が「煎餅小僧」って言うもんだから、もう頭から離れないwww
煎餅小僧、なかなか好評でした。また出てもらおう。


【417】

でき損ないの欠陥商品。
それが僕に貼られたレッテル。
歌う人形として作られたはずなのに、歌わない。
人に従順に作られたはずなのに、動かない。
廃棄された外の世界で、僕は起動するための唯一のアクションを感知する。
人の体温で包まれる行為。
抱き締められて僕は目覚めた。

お題:『出来損ないの欠陥商品 』
http://shindanmaker.com/134159
ひさしぶりのKAITOネタです。

がらくたのなかで、目覚めるKAITO。
ウタウタイの魂を宿した人形。

というイメージで。


【418】

ちりん。
俺の手には見慣れない鈴があった。
いつの間にこんな鈴を手にしていただろう。
赤い紐をつまんでしげしげと眺める。
ちりん。
もう一度涼やかな音がした。
そして。
「こんにちは」
気がつけば、目の前に巫女姿の少女。
「鈴彦姫と申します」
どうみても普通じゃないが、超可愛い!

お題:題材[見慣れない,鈴,眺める,こんにちは]一人称でやってみよう!
http://shindanmaker.com/9025

【419】

床の上に影が長く伸びる。
秋も深まってくると、夕方には肌寒い。
温かいコーヒーを持ってきてくれた君を、そっと引き寄せる。
足の間に君を座らせて、後ろから包み込むように抱き締める。
ほら、すごくあったかい。
え?コーヒー?
もちろん飲むよ。
君がいれてくれたんだもの。

お題:「夕方の床の上」で登場人物が「抱きしめる」、「コーヒー」という単語を使ったお話を考えて下さい。 http://shindanmaker.com/28927

【420】

機織りする君がいつも微かに口ずさんでいた歌。
柔らかな旋律。
歌詞は教えてくれない。
でも僕はそれを聞くのが好きだった。
君の声と優しさが耳に心地よくて。

「あなたを思って機を織る。嫁入り衣装の布を織る」

今、主のいなくなった機織り機から歌がきこえた、気がした。

お題:歌がきこえた、気がした


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【410】

満月の夜に、絡まる蔓の葉の一枚一枚から夜露を集める。
それを使って丁寧に墨をすり、心をこめて筆を走らせる。
この間、一言も口をきいてはならぬ。
また、人の灯火は月光の力を散じてしまうから、灯してはならぬ。
出来た護符は、あやかしを人から守るものだ。
故に、人には渡せぬよ。

お題:久遠さんは、「月夜」、「護符」、「蔓」で創作しましょう。
http://shindanmaker.com/138578

【411】

降り下ろされた切っ先が、竜を一刀両断した。
その切り口から転がり落ちた赤い石が、雲間から射し始めた陽光に不気味に輝く。
剣士はためらいなくそれを踏み潰した。
竜の心臓石を求めて幾人が竜に挑み、命を落としただろう。
だが、それももう終わる。
「さよなら、最後の竜」

お題:題材[取り出された,雲間,踏み潰す,さよなら]ファンタジー風やってみよう! http://shindanmaker.com/9025

【412】

俺は神を望んだわけじゃない。
縋りつける相手を望んだんだ。
縋れるなら、悪魔だろうと化け物だろうと構いはしなかった。
そして、救ってほしいと思ったことなどない。
ただ、俺と共に地獄へ落ちてくれれば、それでよかったんだ。
だから、神や救いなど、いらない。
失せろ。

お題:『神を望んだわけじゃない。縋りつける相手を望んだんだ。』
http://shindanmaker.com/134159

【413】

月夜になると根付の兎がぴょんぴょんと跳ねて落ち着かぬ。
兎と月は縁深いゆえ、力も高まるのであろう。
そう思っていると、満月の晩、誰かに揺り起こされた。
見れば見慣れぬ童がちょこんと座っている。
「何者だ?」
「ねつけ」
「根付?」
笑う童の頭には長い兎の耳が揺れていた。

お題無しで、月夜をモチーフにしてみました。
以前から時々登場させている根付の兎さんですが、少し力がついて、月夜なら人型になれるようになりました。
でも、まだ耳を隠すのは無理のようですw


【414】

満月に、どっか行っちゃいそうな気がして君をぎゅっと抱き締めた。
君は僕を抱き締め返して呆れた顔で笑う。
「かぐや姫なんかじゃないんだし」
それなら月からの使者を全員ぶちのめすだけでいいから、話は早いのに。
時間の流れは止めようもなく僕らを押し流そうとする。

【415】

蛍を見ると甘くほろ苦い思いに胸が締め付けられる。
君はうれしそうにはしゃいで、でも僕が捕まえてあげようとしたら、慌てて止めたっけ。
蛍は死んだ人の魂が宿っていることがあるから、捕まえちゃダメだと。
そうだね。
今ならわかるよ。
僕は指にそっと止まった蛍に囁いた。

お題:あまくほろ苦い思い出


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【404】

空が高すぎて、両手を伸ばしても届かない気がする。
雲もなく広すぎて、自分一人きりのような気がする。
うるさかった蝉の声がやんで、ふと静けさに押し包まれる気がする。
だから、秋は物悲しいのだと、心のどこかで納得する。

【405】

奉行所の奥座敷に引き立てられた少年を見て、同心たちは息を飲んだ。
少年は燃える様な紅の髪と瞳を持ち、全身に怒りをみなぎらせていた。
さながら、あやかしである。
「殺すなら殺せ!」
鋭い牙をちらつかせて叫ぶ少年にみな怯えたが、奉行だけは何故かうっすらと笑みを浮かべていた。

お題:「奉行所」、「紅」、「牙」で創作しましょう。
http://shindanmaker.com/138578
フォロワーさんに続きが気になると言っていただきました。
この奉行が何を考えているのか。
少年は何者なのか。
私も気になります。
短くていいので、先に続けられる方向で書いてみたいです。


【406】

全身に叩きつける雨の中で、燃えるように熱い背中をかばうように自分で自分を抱き締める。
翼をもがれ、地におとされた。
背中の傷はまだ血を流している。
しかし、天に縛られないこの解放感!
「おら、いくぞ」
私の頭を優しくはたいて歩き出した男のために、私は天を捨てたのだ。

お題:本日の身体部位は「背中」、行動は「はたく」、痛々しい作品を創作しましょう。補助要素は「雨」です。
http://shindanmaker.com/73897

【407】

「さあ、殺すがいいさ」
切っ先をのどに感じながら、負け犬が笑う。
「あと一突きでお前の勝ちだ。だが、俺は初めてお前の手を血の穢れで染め、お前の脳裏に亡骸として焼き付くだろう」
そして、うっとりと呪いの言葉を口にした。
「俺を忘れることは許さない。永久に」

お題:負け犬が笑う。


【408】

流れる涙に唇を寄せる。
しょっぱいはずの涙が、僕には甘い蜜のような雫。
だから、口づけて、悲しみを受け止めるのもちっとも苦じゃないんだ。
無理に笑わなくていいよ。
ちょっとずつ元気になろう?
僕が、抱き締めててあげる。

お題:あまい蜜のような

【409】

君がもし世界のすべてに否定されたと感じても。
周りの人が君ばかり責めていると思っても。
僕だけは君を裏切らない。
絶対にそばから離れない。
だって。
僕は君のものなんだから。
だから、一人で泣かないで。
僕を信じて。

お題:俺は君のもの


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星新一さんのお誕生日だそうで、ツイッターのついのべクラスタは星さんにちなんで「ノックの音がした」と「エヌ氏」で創作祭りでした。

【397】

廃屋のような小屋を訪れると、かの刀鍛冶は一瞥を俺ではなく腰の刀にくれた。
「鞘に納めたか」
「抜き身では暴れる」
鞘は、あやかしの命を求めるこの刀の妖力を封じるよう、特別に拵えた。
龍を配したは刀を無闇と抜かぬ戒めだ。
これはただ龍の娘を守るためにのみ存在する刀なのだ。

お題:「廃屋」、「鞘」、「龍」で創作しましょう。
http://shindanmaker.com/138578
刀関係のお題が出ると、うちでは犬神の瑠璃丸の出番です。
刀鍛冶は妖刀で有名な村正の設定ですが、年齢も性別も決めていないという(^^;)。
あやかしにあやかし斬りの刀。
これでも話を書きたいです。


【398】

「寝てるし!」
勉強を一緒にしようって言ったのは、あんたでしょ?
なに気持ち良さそうに熟睡してんの。
幼馴染とはいえ、女の子の部屋でそんな態度でいいと思ってんの?
心がきゅっとするから腹いせに鼻をつまんでやろうと思ったけど、見透かしたようにまぶたが震えて手を引っ込めた。

お題:本日の身体部位は「まぶた」、行動は「震える」、ほんわかした作品を創作しましょう。補助要素は「心」です。
http://shindanmaker.com/73897
昨日に続いてちょっと恋愛色の強いものを。
本人、こういうものは得意としておりませんので、シテュエーションが浮かんでもかなり悶えながら書いていますw


【399】

ノックの音がした。
それはいつもなにかを連れてくる。
いい知らせ。
わるい知らせ。
どっちが多かったかな。
でも、今日だけは待ち遠しくて仕方なかった。
「どうぞ」
開いた扉から貴方が覗きこんだ。
「綺麗だ。じゃあ、行こうか」
「うん」
白いタキシードのあなたの腕をとった。

お題:ノックの音がした
星新一デーにちなんで。


【400】

ノックの音がした。
闘病生活も長かったし潮時だな。
俺は病室に入ってきた死神を見て微笑んだ。
だが、死神は困った顔をしている。
「あの、怖くないように、お迎えに際して理想の姿をとるという規約があるのですが、本当にこれでいいんでしょうか」
「何を言う!猫耳は正義だ!」

お題:ノックの音がした
もう一個。
申し訳ありませんwww
真面目じゃないのも書きたかった。
いや、真面目に書いてるんですよ?一応。
とりあえず、受けてRTいただいたので、個人的に満足です(^^)。


【401】

急な豪雨は、まるで巨大な結界のように街を封じ込めた。
花束を抱えた私は、胸に巣食う悲しみと痛みを洗い流してくれればいいと、傘もささずに雨の中を歩いた。
在りし日のあなたを思い浮かべながら、あなたに渡すはすだった花束を抱えて、あてもなくさまよった。

お題:題材[巨大な,花束,巣食う,在りし日]グリム童話風にやってみよう!
http://shindanmaker.com/9025
これはもう、申し訳ないほど、童話風じゃないです(><)。
単語を使うので精一杯でした。
あと、童話って、ですます鯛じゃないですか。文字数くうんですよね。
実質タグを使うと130字しか使えないので、文体は自分のものでやってしまいました。


【402】

炎のなかで君が形を失う。
それはもう魂の入っていない空っぽな入れ物に過ぎなかったけど、それでも見ていることはできなくて僕は背を向ける。
すべてを地に返し、君はまた新しく生まれる。
「早く戻っておいで」
僕の呟きはもう届かないけれど、せっかちすぎると苦笑された気がした。

お題:もう君には届かない

【403】

君に話しかけることができない。
時々見かけても、追いかける勇気なんかなくて、ぼんやりと背中を見送る。
知り合うきっかけをつかみたくても、近所の人間の顔さえ知らないこんな時代だもの。
いきなり「君の名は?」なんてできやしない。
でもいつか、きっと君を振り向かせるよ。

お題:君の名は


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宵月楼 店主
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自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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