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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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【792】 時雨の理由

朝になったら雨はあがっていると思っていたが、まだ少し時雨れている。
昨日とはうってかわって気のない降り方に空を見上げると、雨師がしょぼくれていた。
「どうした?北に行くんじゃないのか」
「北にはまだあれがおる」
「あれ?」
「雪女じゃ。すぐ怒るでの、会いたくないのじゃ」

【793】 青の鱗

空へと透かしてみれば、それはそれはきれいな青の鱗でした。私はそれを手のひらに握り混み、一つ深呼吸しました。それは愛しい龍の鱗。これを残して消えてしまった貴方を私は今から探しに行きます。ただ貴方に会いたくて堪らないのです。

書き出しをお借りして。

【794】 もふもふ

「我は「もふもふ」を欲する!」
先祖伝来の魔方陣から出てきた悪魔は開口一番そう言った。
「は?」
「可愛いのを頼むぞ。我らの世界には可愛いのがないのじゃ!」
そしてうちの猫を捕まえる。
「もふもふー!」
なんか人を呪うとか世界滅亡とかどうでもよくなってきた。

書き出しをお借りして。


ご訪問、拍手ありがとうございます。
暴風雨のご心配もありがとうございます(^^)。
こちらはあまり荒れませんでした。


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【789】 遊びをせんとや

雨師が手を降ると雨が落ちてくる。
風伯がそれを嬉しげに横殴りに変える。
「何でそんなにノリノリなんだよ!」
雨に負けまいと叫ぶと、宙を飛びながら二人はにっこり笑った。
「春になったでの」
「やっと共に遊べるのじゃ。冬は雪が大きい顔をしておるでの」
「ちったあ加減してくれ」

暴風雨、皆様大丈夫でしたでしょうか?
うちのほうは風は凄かったけど、短い時間で過ぎ去ってしまいました。
暴風雨になると、うちの雨師・風伯を出したくなります。
ちなみに平安の童の姿をしています。



【790】 戦乙女

燃える眼を見たことがある。色だけではない。そこに宿る憎しみが、悲しみが、瞳の紅を揺らめかせ、まるで燃え上がる炎のように見せていた。黙っておとなしくしていれば十人並みの娘だというのに、その瞳が彼女を美しく彩る様はまさに戦乙女だった。

書き出しをお借りして。

【791】 桜の下にて

どれだけの時をまどろみの中で過ごしただろう。気がつけば、僕は桜の中にいた。横たわる僕の上に、気まぐれに降る花びらが、世界を薄紅に染める。桜の下で死ぬのではなく、桜の下で目を覚ますのも悪くない。それは幾度目かの目覚めで初めての満ち足りた気持ちだった。

お題:桜
桜を題材に書き出しを書こうとして、うっかり自分でついのべにしてしまったもの。


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【787】 存在意義

おぼろ月は今宵も悲しげに照らす。生の気配が消えたこの世界で、僕はふらふらとさまよい歩く。機械はまだ自分の仕事を繰り返し、街に光は溢れ、音楽が流れていてもそこに人はいない。なぜ僕は目覚めたの?僕の存在意義は何?機械人形の問いかけに月は答えてくれない。

書き出しをお借りして。
ハロープラネットの夜バージョンな感じで。

【788】 遅刻寸前

春がヘッドスライディングしてきた。「教室に滑り込みしてくる奴がいるかよ」「だって、ギリギリ、だったん、だよ」切れ切れの声にかぶるようにチャイムの音。この調子じゃ家からここまでノンストップか。じゃああれは滑り込みじゃなくて転んだ拍子に突っ込んだんだな。

書き出しをお借りして。
春は季節だろうと思ったのですが、あえて人の名前にしてみました(^^;)。

いつもありがとうございます。


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【786】

 かすかに響く泣き声に辺りを見渡す。
 黄昏時の小さな稲荷の社(やしろ)。
 もう風雨に朽ちて鳥居の紅もほとんど残っていないような寂れた社だが、ここが俺の居場所だ。
 人が通わなくなって幾年経ったか覚えていない。仕えるはずの神も信仰を失って去っていった。それでも俺はここにいる。本体があるから。
 そんな場所だから、久しく人の声など聞いていなかったが、迷い込んだのだろうか。
 このまま夜になったらまずいだろう。
 俺は声をたどった。
 ぼろぼろの社の外れかけた扉から中をのぞくと、そこに子供がうずくまっていた。
 聞こえるはずもないのに思わず声をかけていた。
「おい、何を泣いている」
 驚いたことに、俺の声が聞こえたのか、子供はびくりと肩を震わせると泣き止んでこちらを見た。
 涙で潤んだ瞳が、少しおびえている。
 声が届くとは思わなかった俺は、逆にひるんで言葉を失い、二、三度馬鹿みたいに口を開け閉めした後、なんとか平静を取り戻した。
 返事がないので仕方なく扉の辺りにしゃがみこむ。
「怖がらなくていい。なにもせん。どうしてそんなに泣いているんだ?そろそろ帰らんと暗くなるぞ」
 できるだけ優しく言ったのが効いたのか、子供は目をごしごしとこすると立ち上がった。
 ぽてぽてと歩いて俺に近づく。
「・・・神様?」
「いや、神じゃない。あれだ」
 俺は俺の本体を指さした。
 社の前で苔むしている狐の石像。一体は崩れてしまって、かろうじて残っているのは俺の方だけだ。
「きつね・・・さん?」
「そうだ。普通は俺の姿は見えないはずなんだが、お前は珍しい目を持っているんだな・・・怖いか?」
 俺が聞くと、子供は勢いよく首を振った。勢いよく振り過ぎて首がもげるかと思ったが、それだけ否定してくれるのは、正直嬉しい。思わず笑うと、子供も嬉しそうに微笑んだ。
「怖くないならいいさ。さあ、帰れ。この辺りは人も寄らん。夜は危ないぞ」
「でも、いじめられるんだもん」
「それでここに逃げ込んで泣いていたのか」
 それでも、子供を返さねば神隠しかあやかしのせいだといわれて、下手をするとここを壊されかねない。こんな場所でも俺には唯一の居場所なのだ。
 俺は少し考えて、立ち上がった。境内とは名ばかりの狭い土地だが、人が来ないせいで自然だけは溢れている。
「お守りをやろう」
「おまもり?」
 子供の手に俺は鮮やかに色づいた紅葉の葉を一枚置いた。
「これを懐に入れておけ。いつでも迷わずにここに来られる」
「来てもいいの?」
「本当に困ったらな。それと、夜になる前に帰ると約束するなら」
「約束する!」
 子供は大事そうに紅葉を懐にしまった。そして、俺を見上げて笑った。
「ありがとう、きつねさん!またあしたね!」
 そして勢いよく駆け出していく。
「・・・毎日来るつもりか?」
 俺の呟きだけが、聞く者のない社に虚しく響いた。


お題:「黄昏」、「紅」、「泣く」で創作しましょう。 #jidaiodai http://shindanmaker.com/138578


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昨日はエイプリルフールでしたね。
嘘をお題の創作企画などがあって、楽しかったです。

【783】 嘘とほんと
 
嘘だとふざけて ごまかす僕の ほんとの心が 君を呼ぶ

嘘をお題に短歌や川柳、都々逸を作ろうという企画。
これは都々逸のつもりです。


【784】 贈り物
 
貴方からもらったものはただひとつ 優しい嘘で包(くる)んださよなら

もうひとつ。こちらは川柳になるのかな。季語がないので。
七と五からなる言葉の流れは、やっぱり心地いいですね。
日本人だなあ(^^)
この句は、返歌をいただけたのでうれしかったです。

【785】 四つ辻

「ああ、駄目です」
四つ辻で足を止めた少女に歩み寄って行商人は苦笑した。
「ここは迷うと闇に引き込まれるんです」
「誰?」
「ただの飴売りです。さ、これをお持ちなさい」
飴売りは背の荷物から取り出した墨色の飴を少女に渡して微笑んだ。
「渡せと言われたらそれを渡すんですよ」

お題:「四つ辻」、「墨」、「飴売り」で創作しましょう。 #jidaiodai http://t.co/evQperRL

飴売りさんはなにげに出番が多いですね(^^;)
今回はきっと、連れて行かれる代わりに飴を身代わりにするのです。


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HN:
宵月楼 店主
性別:
非公開
自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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