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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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【882】 仕立屋
 
「私に合うサイズはあるかね」
偉そうにふんぞり返って彼は言った。
「無いですね」
僕は思わず苦笑する。
何しろ彼はコロボックルだったから。
「大丈夫ですよ。うちはオーダーメイドが基本ですから」
「頼もう」
僕の仕立屋人生で最小の仕事の始まりだった。

書き出しをお借りして。
何故か最初の一文を見たとき、手のひらに乗るほどの太っちょさんがふんぞり返っている姿が思い浮かんだのでした。


【883】 破壊

僕は右腕を失った。
奪ったのは君だった。
僕の利き腕をまるでおもちゃを壊すような無邪気さで刺し貫いて、君は微笑む。
「一つずつ奪ってあげる」
痛みに歪む僕の頬をそっと撫でて、君は囁いた。
「逃げても無駄よ。すべて、私が壊すの。いいわね?兄様」

書き出しをお借りして。
怖い怖い(^^;;;)


【884】 言霊

「黙れ、お前たちの声は空気を汚染する」
低い、だが耳に心地よい声が男たちを制した。
「声には言霊が宿る。欲望に彩られた声は聞くに耐えぬ」
「何!?」
男たちが一斉に襲いかかる。
その時、ただ一言「眠れ」と低い声が響いた。
それだけで静寂が訪れた。

書き出しをお借りして。
言霊使いのイメージで。


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【881】 恋し憎し

我の毛を編み込んだ組紐に鈴をつけて、ちりんちりんと鳴らしたら、かの猫又はじゃれつくだろうか。
恋文も読まぬ。
季節の花に結びつけた和歌も解さぬ。
焦れて直接口説こうにも、気まぐれで顔を出したり出さなんだり。
いっそ絞め殺してやろうかと言えば、あの翡翠の目を細めて「やってごらん」と来たもんだ。
惚れた弱みを握られて、情けなや、情けなや。
それでもあの猫又の恋しい人を想う目が切のうて、我の心を締め付けるのだ。

「人など儚い。いっそ、我にしておけ、猫又」
「悪いね。僕は売約済なんだよ、毛羽毛現

今日も笑みを残しただけで、風のようにするりと猫はこの手をすり抜けた。


お題:「和歌」、「組紐」、「猫又」で創作しましょう。  http://t.co/evQperRL

毛羽毛現はけむくじゃらの妖怪ですが、黒髪の長い美女でもいいかなあなどと思ったり。
恋しい男を髪で捕まえるような、そんなイメージで。
でも、猫はそれもするりとすり抜けるのです。


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【877】 泣き桜

花びらが君の涙だと気づいたのはきっと僕だけ。振り仰いだ桜は、誰の目にも可憐で美しく見えるのだろう。でも、彼女はいつも春になると、はるかな昔、自らの根元で命を落とした男を思い出して悲しみにくれる。そして、涙をもたない彼女は代わりに花びらを降らせて記憶を埋めるのだ。

お題:今日の書き出し/締めの一文 【 花びらが君の涙だと気づいたのはきっと僕だけ。 】 http://shindanmaker.com/219046


【878】 最期の賭け

殺されるか仕置きされるか、切腹するか。俺に残された道はこのどれかだ。それでもその死に方には天地ほどの差がある。頭を使え。うまく立ち回れ。闇に葬られるのはごめんだ。俺は生きた証を立てる。口許に笑みを刻んで呟いた。「さあ、勝負といこうか」

書き出しをお借りして。


【879】 恋情

矛盾しているでしょう?こんな気持ちは要らないと何度も思ったはずなのに、気がつけばそれは胸に芽生えて根をはり、花を咲かせてしまうのです。そうなってしまえばもう戻れない。枯れるまでそれに振り回されてしまう。本当に恋情とは厄介なものですよ。

書き出しをお借りして。


【880】

君の心に僕は居るのかな。なんて思っていたあの夏、僕は・・・。そこでいつも思考はぷつりと切れる。思い出しちゃいけないと言われているかのように。目の前の鏡に映るのは君の顔。僕は今、君とひとつだ。心も、体も。でもあの夏に何があったんだろう。

書き出しをお借りして。


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【876】 召喚

「あんたが僕を従えようなんて、百年早いね」
ニヤリと笑って言ってやろうと、陣を描いて僕の足止めをした術士を見下ろす。
「・・・え?」
そこにいたのはまだ五歳くらいの幼子で、陣は色鮮やかなクレヨンで描かれていた。
「ほんとにでてきた!すごおい!」

お題:今日の書き出し/締めの一文 【 「あんたが僕を従えようなんて、百年早いね」 】 http://t.co/8GpUt2o7
いっそそのまま使役されて、振り回されるのも一興(^^)。


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診断メーカーの「手乗り○○を飼い始めたー」をやってみました。

【翡翠の場合】
手乗り翡翠を飼い始めた。
とりあえずお風呂に入れてみたところ、茫然としている。
目の前で手を振っても反応がない。何故だ。

琥珀「猫だからなあ(^^;」

【瑠璃丸の場合】
手乗り瑠璃丸を飼い始めた。
とりあえず手を握ってみたところ、踊りだした。
機嫌がいいらしい。

翡翠「小さかったら、まあ、憎たらしくはないよね」
琥珀「あっはっはっはっは!!」(踊る瑠璃丸に爆笑中)

【琥珀の場合】
手乗り琥珀を飼い始めた。
とりあえず手に乗せてみたところ、
気持ち良さそうに歌いだした。
なかなかの美声。

瑠璃丸「・・・上機嫌だ」
翡翠「・・・上機嫌だね」


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HN:
宵月楼 店主
性別:
非公開
自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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