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宵月楼-しょうげつろう-

あやかし風味。ミステリー皆無。恋愛要素多少混入。

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【229】

朝一番で図書館を開けるのが私の仕事。
今日は雨だったから、髪や服に付いた水滴が本につかないように払い、扉を開ける。
その瞬間、ふわりと体を包む紙とインクの匂い。
この瞬間が、私は好きだ。
「おはよう」
彼らに声を掛けて、私は足を踏み入れた。

お題:
「早朝の図書館」で登場人物が「くすぐる」、「雨」という単語を使ったお話を考えて下さい。
http://shindanmaker.com/28927

【230】

姫君はご機嫌ななめらしい。
べっ甲の櫛も珍しい星の形をした砂も彼女のお気に召さなくて、侍女たちは困り果てている。
こういう時は僕しか寄せ付けなくなって、でもだから素直な君が顔を出す。
荒れたことなどない指で僕をくすぐって、君はそっと呟いた。
「私も猫になりたい」と。

お題:
「星」、「べっ甲」、「姫君」で創作しましょう。
http://shindanmaker.com/138578

【231】

生まれてくることは、それだけで奇跡だし、感謝してもしたりない出来事だ。
それは君でも、物語でも、キャラクターでも、音楽でも、すべて。
生まれてきた君に祝福を。
その無限の可能性に声援を。
そして、与えてくれる喜びに感謝を。


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【226】

夕方、会議が終わり、浮かれた同僚たちがビールだなんだと騒いでいる。
俺はそいつらの尻を叩いて片付けを終わらせ、会議室から追い出した。
当然一緒に行こうと誘われたが、やんわりと断る。
今日は早く帰ると誓ったんだ。
彼女の気に入っている猫缶を買い込んで、俺は家路を急いだ。

お題:
「夕方の会議室」で登場人物が「誓う」、「ビール」という単語を使ったお話を考えて下さい。
http://shindanmaker.com/28927

【227】

天狗と二人連れで屋台で蕎麦をたぐり、酒を酌み交わす。
こいつは酒を飲むと少々絡み酒だ。
もっとも、悩みを聞いて欲しいときにしか来ないし、酒がないと話せないのだから仕方あるまい。
「聞いてるか、犬神!」
「ああ、聞いている」
長い夜になりそうだ。
空を仰げば、満天の星。

お題:
「星」、「蕎麦」、「天狗」で創作しましょう。
http://shindanmaker.com/138578

【228】

ゲームをしていたら、膝の上にくるりと猫が丸くなった。
そっぽを向いたまま、耳だけがこちらを伺って、ぴこぴこ。
ちょっとほっといたら、今度は尻尾が足や体をぱしぱし。
わかったよ。ゲームはやめようか。
だって、君のぬくもりで何だか眠くなってきた。
一緒に昼寝するなら、いい?

お題:
今日のお題は『ゲーム』『ぬくもり』『耳』です。
http://shindanmaker.com/14509


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【223】

夕方、ひぐらしが鳴く庭で、寄り添っている二本の向日葵が妙に妬ましくて、思いきり水をぶっかける。
逞しい花はたいして揺らぎもせず、むしろ涼しげでますます腹がたつ。
君たちはずっと一緒でいいよね。
呼ばれて振り返ると、この時期だけしか来ないいとこが笑っていた。

【224】

飴は要らぬか。不思議な飴は。
食べれば半日、姿が変わる。
獣、花魁、侍、役者。
望みのものに姿を変えて、誰も気づかぬ。疑わぬ。
噂を聞いた殿様の大きな屋敷に呼ばれたが、飴売り迎えが来る前に、霞のように消え失せた。
時折噂が流れ来る、不思議な飴売り、今いずこ。

お題:
「屋敷」、「飴」、「飴売り」で創作しましょう。
http://shindanmaker.com/138578

【225】

フィルムが、ぷつんと音をたてて千切れた。
映写機の回るリングに合わせてくるくると回り、千切れた先がぱしりぱしりと乾いた音をたてて機械に打ち付けてる。
「もったいないな」
呟くと、技師は少し寂しげに苦笑した。
「今じゃ流行らんからなあ」
フィルムを外し、金属のケースに大事にしまう。
うやうやしくすらあるその動作には、今までの「ありがとう」と「ごめんなさい」と「おやすみ」が溢れていた。
「もう二度と出しちゃやれねえからな」
そう言って、かちりと金具をしめる。
もう「いつか」はないんだね。
それでもいつも通りに丁寧にしまわれたフィルムに、僕はそっとささやいた。

これからは自分だけの夢を見てね。
今まで、ありがとう。
さよなら。


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【220】

朝顔が、明けてゆく空の色で染めた花びらを、ゆっくりと広げる。
誰もいない静かな時間を壊さぬように、音もなく、密やかに。
僕は、そんな彼女たちを邪魔しないように、微かな声で音を紡ぐ。
誰のためにきれいに咲くの?
気づいてもらえなくても花を開くの?
問うた僕に花はかすかに震え、ほろりと落ちた朝露がまるで涙のようだった。

朝顔の蒼が似合うKAITOへ

【221】

雪が降る。
季節は夏。
降るはずのない雪が、空をぼんやりと見上げる翡翠色の瞳には見えている。
そのただ中で、彼は自分を隠してしまうのを待つようにひたすらに空を見上げる。
だが幻の雪は、指先にも頬にも触れることなく、ただ降ってくるのが見えるだけ。

お題:
「雪」、「翡翠」、「見上げる」で創作しましょう。
http://shindanmaker.com/138578

【222】

人肌だったミルクが冷たくなっても、誰も帰ってくることはない。
がらんとした家には家具も食料も何もかも揃っているのに、ただ住む人間が居ない。
家は留守を守り、部屋を掃除し、食事を作り、剥がれかけの住人募集中の張り紙を直す。
化け物屋敷と呼ばれていることにも気づかずに。

お題:
今日のお題は『人肌』『募集中』『留守』です。
http://shindanmaker.com/14509


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【218】

昼なのにベッドにこもって泣く君を、僕は見てることしかできなくて。
僕じゃダメなんだ。
悔しいけど、猫じゃなにもしてあげられない。
だから僕は尻尾で君のケータイを頭の上に落とした。
タイミングよく震える。
ベッドの中じゃ気づかなかったでしょ。
僕からの誕生日プレゼントだよ。

お題:
「昼のベッド」で登場人物が「泣きじゃくる」、「誕生日」という単語を使ったお話を考えて下さい。
http://shindanmaker.com/28927

【219】

狼と呼ばれた男が目の前にいた。
薙刀を構え、一振りする。
だが男は微動だにせず、ただ一筋の髪がそよ風に散った。
「何故、避けない」
「お前にはその権利がある」
そう、殺す理由が。
すべてを奪ったのはこいつだ。
それでも、この手はためらう。
十年間、彼は確かに父だったのだ。

お題:
「そよ風」、「薙刀」、「狼」で創作しましょう。
http://shindanmaker.com/138578


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HN:
宵月楼 店主
性別:
非公開
自己紹介:
オリジナルの短い文章を書いています。アニメ、ゲーム、小説、マンガ、音楽、手作り、すべてそれなりに広く浅く趣味の範囲で。
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